レクサスの新しいモデル、UXが好調だ。昨年11月末の発売からおよそ1か月で、受注台数は約8,800台を記録している。レクサスのSUVタイプではもっとも小さく、価格も手頃なのが人気の理由だろう。だが、クルマの価値はそれだけではない。乗ってわかる気持ちよさ、安定感も、UXの重要なポイントだ。

ハッチバックと同等の運動性能を達成

写真は128kW(174ps)の最高出力と209Nmの2リッターエンジンに前輪駆動方式を組み合わせた「UX200 F SPORT」。「GA-Cプラットフォーム」という骨格を持ち、剛性の髙さと重心髙の低さで走りのよさを追究している。
写真は128kW(174ps)の最高出力と209Nmの2リッターエンジンに前輪駆動方式を組み合わせた「UX200 F SPORT」。「GA-Cプラットフォーム」という骨格を持ち、剛性の髙さと重心髙の低さで走りのよさを追究している。
すべての写真を見る >>
全長4495ミリ、全幅1840ミリ、全高1540ミリ。空力的付加物はあまり持たないがじつは空力的なボディ。
全長4495ミリ、全幅1840ミリ、全高1540ミリ。空力的付加物はあまり持たないがじつは空力的なボディ。
写真の「UX250h」は107kW(146ps)の最高出力と188Nmの最大トルクを持つ2リッタ−エンジンに202Nmのモーターの組み合わせ。
写真の「UX250h」は107kW(146ps)の最高出力と188Nmの最大トルクを持つ2リッタ−エンジンに202Nmのモーターの組み合わせ。

 アウトドア用装備のディテールを採り入れると、街着が楽しくなるのはファッションの世界で常識化した感がある。シューレ−スだけでも雰囲気が変わったりする。2018年晩秋に発売された「レクサスUX」にもそんなミックスされたデザインの傾向を感じる。

 全長4.5メートルに抑えられた比較的コンパクトサイズのレクサスUXのスタイリングは、おおきくいえばSUVだろう。ただし、たんにエモーションを喚起するためのものではない。ボディのライン一本とっても「走り」の機能と結びついているのだそうだ。そこが感心するところである。

 私が最初、レクサスUXの実車を見たのは、2018年3月にスイス・ジュネーブで開催された自動車ショーでだった。ルーフの前後長をあえて短めに抑えて躍動感を強調したスタイリングが印象的だった。実際に「ハッチバックとSUVのいいところをとりこもうと開発しました」とレクサスの担当者は語ってくれた。

 同年の12月に日本で運転したとき、ハッチバックと同等の運動性能、という開発担当者の目論見は、なるほど、達成されているように思えたのだった。日本向けには2リッターガソリンエンジンの「UX200」と、2リッターハイブリッドの「UX250h」が用意される。ともにキビキビとよく走るのに感心した。

 走りのよさを感じるのは故あることとレクサスの開発担当者は言う。ボディ骨格をしっかり見直したのだそうだ。ボディの剛性などに影響するパネルの接合方法を検討し、接着剤を積極的に使ったのが注目点である。剛性に加えて、ハンドリングに影響を与える「しなり」もうまく生み出せたとする。

 加えて、新しいダンパーを組み込んだサスペンションシステムや、ステアリングシステムの見直しなどで、ステアリングホイールを切ったときの動きは、じつに気持ちよいものとなったはず、と問われて、たしかに、と私は応じた。エンジンはしっかり力があるうえに、乗り心地と操縦性のバランスがとれているのだ。

空気の流れを巧みに制御!

ダッシュボードのデザインは機能的で使いやすい(写真はF SPORT)。
ダッシュボードのデザインは機能的で使いやすい(写真はF SPORT)。
後席は175センチの男が2人座っていられるがそれでぎりぎり。
後席は175センチの男が2人座っていられるがそれでぎりぎり。
すべての写真を見る >>

 さらにもうひとつ、冒頭に触れたとおり、ボディパネルの空力形状を徹底的に煮詰めたことも特記事項である。車体側面にはエッジのたったラインが数本入っている。これは空気の流れをコントロールする役目を負わされているのだそうだ。

 レクサスの担当者は、小さな渦を生むことで、走行中の動きが軽快になったとする。ルーフを流れる空気の流れを使って走行安定性を生むのはダウンフォースという一般的な手法だが、UXでは、直進安定性とともに、たとえば車線変更するときに動きをうまくサポートするような空力ボディを開発した。

 ステアリングホイールを切ると、たとえば車線変更が気持ちいい。それは空気が助けてくれているからなのだそうだ。時速40キロから効果が表れているというから驚かされるではないか。カタチには理由がある、というのはなんだか大きな魅力だ。

 前席重視のパッケージングのため、二人ででかけるのに最適な存在感というのも美点だろう。大きいとかゴツいとか、そんな理由でSUVを敬遠してきたひとたちにとって、新しい都会型のビークルとして推してみたい。

そういえば、ドアの開口部もよく設計されていて、悪天候でもパンツの裾を汚さず乗り降りできる。つまりオシャレによいパートナーなのである。

 基本は前輪駆動で、ハイブリッド版には4輪駆動も用意されている。どのモデルがベストというのがなかなか指摘しにくい。強いていえば、大きなトルクを持つモーターの守備範囲が広く、加速時の瞬発力がより強いUX250hの「version L」だろうか。駆動方式は使用目的で選んでいいと思う。

「UX200」は390万円から、「UX250h」は425万円からだ。両モデルともに、ベースモデル、装備レベルの上がった「version C」、よりぜいたくな「version L」が用意される。さらにスポーティなものを好むひとには、専用の外観や内装さらにサスペンションシステムを持つ「F SPORT」という選択もある。

〈レクサス・UX 250h version L 〉
全長×全幅×全高:4,495×1,840×1,540㎜
車両重量:1,580〜1,640kg
排気量:1,986cc
エンジン:直列4気筒DOHC+モーター
エンジン最高出力:146PS(107kW)/6,000rpm
エンジン最大トルク:188Nm/4,400rpm
モーター最高出力:109PS(80kW)
モーター最大トルク:202Nm
駆動方式:2WD/4WD
トランスミッション:電気式無段変速
価格:¥4,712,963〜(税抜)

問い合わせ先

この記事の執筆者
自動車誌やグルメ誌の編集長経験をもつフリーランス。守備範囲はほかにもホテル、旅、プロダクト全般、インタビューなど。ライフスタイル誌やウェブメディアなどで活躍中。
TAGS: