「E.マリネッラ」の創業は1914年、初代エウジェニオ・マリネッラ氏がナポリに小さなショップをオープンした。当初は、シャツとネクタイを製造・販売するほか、イギリスから輸入した傘やフレグランスを販売していた。その後、ネクタイの製造と販売に専業化した。

創業者のネクタイづくりの哲学が今も宿る「E.マリネッラ」

小紋・ストライプ・ソリッドタイのすべてに品格があふれている

ネクタイを締めたその瞬間、だれもがすぐに虜になる! 「E.マリネッラ」の持ち味は、なんといってもネクタイを結んだときのノットのボリューム感。プレーンノットで結ぶ際、滑らかにシルクの生地が舞い、丸い形のノットの中に引き込まれるように剣が入る。一瞬のうちに綺麗なふくらみをつくりながら、バランスのよいノットが完成する。シルク地と芯地とのバランスのよさでなせる業。
ネクタイを締めたその瞬間、だれもがすぐに虜になる! 「E.マリネッラ」の持ち味は、なんといってもネクタイを結んだときのノットのボリューム感。プレーンノットで結ぶ際、滑らかにシルクの生地が舞い、丸い形のノットの中に引き込まれるように剣が入る。一瞬のうちに綺麗なふくらみをつくりながら、バランスのよいノットが完成する。シルク地と芯地とのバランスのよさでなせる業。

「E.マリネッラ」がここまで有名になったのは、1994年に開催されたナポリサミットが切っ掛けであった。当時のホスト役、シルヴィオ・ベルルスコーニ伊国首相のお気に入りのネクタイ、「E.マリネッラ」を各国首脳にプレゼントしたのである。1939年初代エウジェニオ・マリネッラ氏が、イギリスのシルク生地の調査などのため、ロンドンに渡った。

これを機に、「E.マリネッラ」の名前が世界に浸透。ネイビーのネクタイは、ブランドの中心をなす色となった。現当主は3代目のマウリツィオ・マリネッラ氏。ネクタイを核にして、スカーフや小物類の展開も積極的だ。以前、オバマ米国大統領に「E.マリネッラ」のネクタイをベルルスコーニ伊国首相がプレゼントしたというニュースが飛び込んだ。ネクタイの品質ばかりでなく、話題のブランドとしても注目が集まっている。

カプリ島を望む、ヴィットリア広場の対面に「E.マリネッラ」のナポリ本店がたたずむ。わずか20平米程度の小さなショップは、ネクタイの専門店にもかかわらず、早朝の開店から客がひしめきあう。そんな状況が、今やナポリの名物にもなっているほどだ。

店内には、夥しいネクタイの新作が並ぶ。いつも活気に満ちていて、上質なプリントタイは、めぼしいデザインがあると一瞬のうちに売り切れる。

近年、本店の裏に広々としたショップもつくり、オーダーメイドの対応などを行っている。イタリアでは、ミラノにもショップがある。

ルキノ・ヴィスコンティは、数多くのネクタイをオーダーし、マルチェロ・マストロヤンニは、映画のなかでも自分が「E.マリネッラ」の顧客だと答え、今話題のファッション・プロデューサーのラポ・エルカンは、直接ナポリのショップまで顔を出すなど、錚々たる顧客たち。

一方で、シルヴィオ・ベルルスコーニ伊国首相をはじめ、フィアット会長のルカ・コルデーロ・ディ・モンテゼモロなど、政財界の愛用者も多い。

※2010年春号取材時の情報です。
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