ここ数年の我慢のときを経て、レストランでの食事を楽しめる機会も増えてきたこの頃。東京のレストランシーンにも新しい名店が次々と誕生しています。『Precious』3月号・別冊付録『最旬「東京モダンレストラン」17』では、2022年オープンの新店を中心に、美味しいもの好きが通っているお店17軒をピックアップ。

今回ご紹介するのは、フードライター・森脇慶子さんがおすすめする、築地の「鮨処やまと」です。

おすすめしてくれたのは…森脇 慶子さん
フードライター
フードライターの先駆者であり、美味しいものへの探究心からのインタビューは読み応えがある。鮎、フカヒレ、そば、スープをこよなく愛する。著書に『東京最高のレストラン』(共著/ぴあ)など。

鮨処やまと[築地]|直球江戸前寿司がもたらす至福

「銀座小十」「日本橋蠣殻町 すぎた」で修業した安井大和さんが、「多くの人に食べてもらいたい」と税抜き2万円以下で提供するおまかせは、つまみが7~8品、握りが13~14貫。

握りはスペシャリテともいえるコハダをはじめ、マグロの漬け、煮ホタテなど、厳選したネタに江戸前の技を施し、「口の中に余白がないように」と、「すぎた」の親方仕込みの、シャリ多めのふくよかシェイプに。つまみは、タコの刺身、アン肝、白焼きの穴子など、調理も調味もむだを削ぎ落としたシンプルさ。

「映えない寿司屋なんです」と安井さんは笑うが、丁寧な仕事と味は口の中で映えまくる。粋な寿司を求め、国内外から寿司好きが通い詰めている。

「酒肴の表現は抑えめながら手間が感じられ、握りは師匠譲りのコハダにやられます!」(森脇さん)

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コハダの握り

予約困難店にした立役者のコハダは握りのトップバッター。その日の状態によって塩を落とす、酢締めをする時間を1分単位で調整し、切り方も変える。酸味は柔らかく、香りもいい。美味しさに度肝を抜かれる人も。

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煮ホタテの握り

江戸前の技が生きる煮ホタテは、ふわふわでほろほろ。北海道産のホタテを低温の砂糖醤油に漬け込む程度に火入れし、ギリギリレアな状態で仕上げたあと、指で軽く繊維をつぶす。こうすることでシャリとの一体感が増す。

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ネタ箱

ネタ箱も美しい。この日はサヨリ、トロ、スミイカ、コハダ、ホタテ。

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つまみのタラの白子

つまみのタラの白子。かつおだしでさっと火入れしただけだが、だしの優しいうま味に濃厚な白子が溶け、杯が進む。

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店主・安井大和さん

●「鮨処やまと」の推し酒

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「せんきん」の『クラシック仙禽 無垢』

「せんきん」(栃木)の『クラシック仙禽 無垢』は、ほんのりバナナのような香り、乳酸主体の柔らかな酸味とうま味で、魚介と相性がいい。

※掲載価格は、すべて税込みです。

※掲載している料理や商品は、時期によって変更となる場合があります。
※定休日や営業時間など、最新情報は各店舗へお問い合わせ、またはHPやインスタグラムをご参照ください。

〈レストラン詳細〉

  • 鮨処やまと
  • 2021年8月オープン。
  • 営業時間/12:00、17:00、19:30から一斉スタート。
  • 定休日/不定休
    料金/おまかせコース¥20,500~。要予約。
  • 席数/カウンター8席。
  • TEL:03-3543-6311
  • 住所/東京都中央区築地3-7-2-1F

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PHOTO :
長谷川 潤
EDIT&WRITING :
松田亜子、安村 徹(Precious)