「清楚でピュアな表情に潜む芸術家の情熱を誘うふたつの香り」

想像力を掻き立てるような、物語のある香りがそろい、人生のさまざまなシーンに寄り添い、芳しく満たしてくれる『メゾン クリスチャン ディオール』のコレクション。

彩り豊かなボトルのなかから、Preciousゆかりの人々にお気に入りの香りを選んでいただき、自身の幸福な香りの記憶をひもときながらコレクションを紹介してきた連載も、今月で最終回を迎えました。

締めを飾るのは日本舞踊家で、女優の尾上紫さん。清楚で奥ゆかしい雰囲気と芸術家としての情熱をうちに秘めた"両極"の魅力をもつ美しい人は、やはり相反する個性をもつ2つの香りと、この季節にふさわしいウッディな癒しのキャンドルを手に取りました。


役者として、ひとりの女性として、私を誘う香り

メゾン クリスチャン ディオール ラッキー

「毎年5月に夫が贈ってくれるスズランは幸運を運ぶ香り。清楚で爽やか、小さくて可憐なのにしっかりと香りを放ちます。そんなひたむきさに心惹かれます」(尾上さん)
香水_2
『メゾン クリスチャン ディオール 』オードゥ パルファン 40ml 各¥11,500~(パルファン・クリスチャン・ディオール)・奥のグリーンのキャンドルホルダー[L]¥28,000・キャンドルホルダー[S]¥20,500・手前のスズランのオーナメント¥38,500(クリスチャン ディオール<ディオール メゾン>)

ムッシュ ディオールがラッキーチャームとしてドレスに縫い込んだスズランの花をイメージ。艶やかなシルクと清潔感あふれる白い花を表現した香り。爽やかな青い葉を想起させる淡いグリーンのジュースにもうっとり。空間を豊かに満たします。

ラッキーの詳細

 

透き通るような肌に薄化粧をした尾上紫さん。着物姿で静かに足を滑らせて踊り始めると、かすかに頬が紅潮していく。結い上げた髪にはスズランのかんざし…。

「スズランの花が好きで、結婚式のブーケもスズランでお願いしたのです」 そう語る紫さんにはスズランの花をベースにした香り『ラッキー』がよく似合う。"谷間の姫百合"の別名をもつこの花は、紫さんの清楚なイメージそのもの。

メゾン クリスチャン ディオール ディオラムール

「恋の情熱を語るセンシュアルな甘い香りは、女性としての憧れ、役者としての願望。何センチか気分が上がります」(尾上さん)
香水_1
『メゾン クリスチャン ディオール 』オードゥ パルファン 40ml 各¥11,500~(パルファン・クリスチャン・ディオール)

ディオール パフューマー クリエイターである、フランソワ・ドゥマシーが、愛する女性が枕に残した跡や、ベッドリネンのパウダリーなやわらかさをイメージして創った香り。ジャスミンの動物的なまでの官能性にアイリスが重なって、恋する高揚感が楽しめます。

ディオラムールの詳細

 

実は紫さんが22本のボトルのなかから真っ先に選んだのが、恋する胸の高鳴りを表現した『ディオラムール』でした。動物的な官能性を漂わせる、ジャスミンにアイリスを重ねた香りです。

「情熱的で、甘く温かい。母である私の日常とは異なる香りです。心ときめくのは、こんな女性になりたいという憧れかもしれません。恋に生きた女を演じるように」 清楚な姫百合のような紫さんには、上品でひたむきに生きる女性の役が多い。

でも時おり、イメージとは正反対の情念の女を演じることがあります。たとえば、八百屋お七。そんなときはまるで憑依したかのように激しい表情になるそう。スズランのように清楚で凛とした佇いのなかに、表現者としての情熱と狂気を秘めた、紛れもないアーティストなのです。

「カルメンでいえば、私の役は素直な許嫁のミカエラ。まさにスズランのイメージ。でも情熱的で奔放なカルメンにも憧れるのです。そんな気持ちを引き出してくれるのが『ディオラムール』なのかもしれません。母になった今も、ひとりの女性でいたいから、いつもと違う服を着て、心華やぐ香りを選びます。」

今は幼い子の母としての慌ただしくも幸福な日常があるけれど、ひとりの女性でありたいという思いも、芸術家としての願望も満たして寄り添う香りが、紫さんには必要なのです。


メゾン クリスチャン ディオール ボア ダルジャン、ボア ブリュレ

「子供のころ、楽しいイベントの終わりにはいつも火が灯っていました。今はウッディなキャンドルの香りと揺れる炎に心癒やされます」(尾上さん)
香水_4
キャンドル 250g 各¥9,800(パルファン・クリスチャン・ディオール)・本『Dior &Moi』¥3,400(クリスチャン ディオール<ディオール メゾン>)
香水_3
キャンドル 250g 各¥9,800 (パルファン・クリスチャン・ディオール)

ムッシュ ディオールが愛した暖炉の火を思わせるキャンドル。ウッディなエッセンスが心を解きほぐす。ミッション系の学校に通っていた尾上さんにとって、林間学校のキャンプファイヤー、クリスマスの聖歌隊など、期末やイベントの締めくくりにはいつも「火」があり、キャンドルには懐かしさや癒しを感じます。

『ボア ダルジャン』はほんのりとしたウッドとアイリスが密かな空気を演出。より力強いウッドの香りが欲しい日は『ボア ブリュレ』がおすすめです。

ボワ ダルジャンの詳細

ボワ ブリュレの詳細


3歳から踊りを始めた紫さんにとって香りとの出合いといえば、幼いころから親しんできた日本髪の鬢びん付け油の甘い匂い。着物に香水がつけられないうえ、今は亡きお母様が匂いに敏感で、香水を好まなかったため、香りは非日常の世界へと誘う、ひそかな楽しみだったそう。

そんな香りを避けていたはずのお母様には、後日談があります。

「母の洋服には香水の匂いが残っていました。今もその匂いを嗅ぐと安心します。亡くなる前に病院で受けたアロマテラピーのマッサージを"気持ちよかった"と言ってくれたことがなによりもうれしくて。次の予約を楽しみに息を引き取りましたが、"香りの力"を改めて感じるのです」とのこと。


尾上 紫さん
日本舞踊家、女優
(おのえ ゆかり)1974年生まれ。東京・銀座で生まれ育つ。日本舞踊尾上流三代家元、尾上墨雪の長女。3歳で初舞台を踏む。幼少期には歌舞伎興行で故・中村勘三郎の『鏡獅子』出演。16歳で尾上紫の名を許される。以降、日本舞踊家として国内外のさまざまな舞台に。2000年、TBSドラマ『あっとほーむ』で主演を務め、大河ドラマに出演するなど、女優としても活動を開始。舞踊には体幹も必要。水泳や筋トレに励む体育会系の素顔も。舞踊会では「姫音羽!」の声がかかる。http://onoe-ryu.com/yukari/

問い合わせ先

パルファン・クリスチャン・ディオール・ジャポン

03-3239-0618

※掲載した商品は、すべて税抜です。

関連記事