今、日本でグラントゥーリズモを追体験するなら、少なくとも往復1000kmくらい走る旅でなくてはならない。東京を起点とした場合、能登半島を目ざす行程なら距離も十分だ。関越、上信越、北陸自動車道を通るルートは比較的渋滞が少なく、山と海を望みながら、情感あふれるドライブを愉しめる。そして、鉄道網が半島の東側中央付近の穴水で終わるため、クルマでの移動が便利なこと。貴族的な品格漂うマセラティ『レヴァンテ』なら、大陸を横断する豪奢な馬車の現代版のようで、気分も高まる。
19世紀の欧州では、良家の若者たちが教育の一環として大陸を長期間旅し、大いに見聞を広めた。この大旅行がすなわちグラントゥーリズモであり、高出力エンジンを積み、大きな荷物を収容できて、長時間の高速走行に適したGTという呼称は、これに由来する。今、日本でグラントゥーリズモを追体験するなら、少なくとも往復1000kmくらい走る旅でなくてはならない。東京を起点とした場合、能登半島を目ざす行程なら距離も十分だ。
土地に学び、語らい、人生の糧とする旅に『レヴァンテ』を
マセラティ『レヴァンテ』
能登半島を目的地とする理由はほかにもある。関越、上信越、北陸自動車道を通るルートは比較的渋滞が少なく、山と海を望みながら、情感あふれるドライブを愉しめることがひとつ。そして、鉄道網が半島の東側中央付近の穴水で終わるため、クルマでの移動が便利なこと。さらに、この地には欧州、特にイタリアに縁のある地が少なからずあること。だから、旅のパートナーに選ぶべきは、断然イタリア車だ。貴族的な品格漂うマセラティ『レヴァンテ』なら、大陸を横断する豪奢な馬車の現代版のようで、気分も高まる。
ホイールベースを長くとった全長およそ5mの『レヴァンテ』は、抜群の安定感で高速道路を駆け抜けていく。一定の速度をキープしている間、キャビンは至極快適で、風切り音や路面からの雑音が気になることもない。エンジンがその本性を現すのは、車線変更や本線への合流時にアクセルペダルを踏み込んだとき。分厚いトルクで大柄なボディをぐいぐいと加速させながら、見事に調律されたサウンドがとめどなく流れる。いわば、イタリアが生み出した、豊穣で壮大なバロックの進化形だ。
洒落者がこぞってオーダーする七尾の名店
耽美で官能的な高速クルーズを堪能し、石川県に入ったら、まず最初に訪ねたいのが、七尾市にある「サルトリア カブト」。オーナーは、フィレンツェの名店リヴェラーノ&リヴェラーノで腕を磨いた、甲 祐輔氏。改装した古民家に北欧家具を配置した、氏の美意識が凝縮された空間で一張羅を誂える贅沢な時間は、出向いた者だけが味わえる悦楽だ。
能登の伝統食材を使った絶品イタリアンの宿
生地選びと採寸を済ませて次回の訪問を約束したあとは、富山湾に面した能登半島の内湾を北上し、1日4組限定の静かな宿「ふらっと」へ。豪州でイタリア料理のシェフだった主人がつくる里山・里海の食材を生かした能登イタリアンは、イタリア北部で始まった、それぞれの土地で育まれた食文化を見直すスローフードの思想に通じるもの。土地に学び、語らい、人生の糧とする旅。そこにグラントゥーリズモの真理がある。
魚介料理とも合う赤ワインの産地が能登に!
宿を出たら、広大なぶどう畑を有する「能登ワイン」で土産をまとめ買い。帰京の途中、気になる場所を見つけたら、時間の許す限り立ち寄ろう。退屈とは無縁で、予定外の荷物も無理なく積めるマセラティ『レヴァンテ』は、そんなわがままも許してくれる、懐の深い「ラグジュアリー・スポーツカー」だ。
マセラティ『レヴァンテ S』
マセラティ『レヴァンテ S』DATA
ボディサイズ:全長5,000×全幅1,985×全高1,680㎜
車両重量:2,250kg
エンジン:V型6気筒DOHCターボ
総排気量:2,979cc
最高出力:430PS/5,750rpm
最大トルク:580Nm/5,000rpm
トランスミッション:8速AT
価格:¥11,961,112~(マセラティ ジャパン)
※価格はすべて税抜です。※2018年夏号掲載時の情報です。
- TEXT :
- MEN'S Precious編集部
- BY :
- MEN'S Precious2018年夏号ラグジュアリー・ スポーツカーを味わい尽くす
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- クレジット :
- 撮影/柏田芳敬 構成/櫻井 香