【目次】
- オリーブの日とは?由来と制定の背景
- オリーブ(実・葉・オイル)で何が違う?基礎知識
- オリーブ:なぜ小豆島は“日本のオリーブの聖地”なのか
- オリーブオイルの種類と選び方のコツと使い分け
- 酸化させない保存方法のポイントと注意点
【オリーブの日とは?由来と制定の背景】
オリーブといえば、まず思い浮かぶのがオイルでしょうか。塩漬けの実もおいしいですね。オリーブの樹木は、家庭の玄関や店先などにシンボルツリーとして見かけることもあるでしょう。スペインやイタリア、ギリシャなど、地中海沿岸の国で生産されるイメージが強いかと思います。
■「オリーブの日」とは?
「オリーブの日」は香川県・小豆島のオリーブ産業の振興を目的に、1972年(昭和47年)に小豆島の関係団体によって提唱された記念日です。日付は3月15日、語呂合わせでも、収穫時期でもなさそうですが…。
■記念日が制定された背景
昭和39(1964)年、小豆島におけるオリーブ栽培の面積と収穫量は最盛期を迎えていました。ところがオリーブ製品の輸入の自由化や、オリーブにとっての害虫の駆除に効果的な農薬の使用禁止などによって、オリーブ栽培は急激に減少することに…。オリーブ栽培の減少に強い危機感を覚えた小豆島の人々は「オリーブを守る会」を結成。3月15日を「オリーブの日」と制定しました。
■なぜ3月15日? 日付けの由来
昭和25(1950)年3月15日、昭和天皇が四国地方巡幸の際に、現在の香川県農業試験場小豆オリーブ研究所(当時の畑作試験場)に立ち寄り、オリーブの種子を蒔いたことに由来しています。この時のオリーブは立派に育ち、「道の駅 小豆島オリーブ公園」で見ることができます。
【オリーブ:なぜ小豆島は“日本のオリーブの聖地”なのか】
日本のオリーブ生産にとって、小豆島は「唯一の聖地」であるといってもいいでしょう。地中海沿岸地域で生産されるオリーブがなぜ日本で? なぜ小豆島一択? そもそも、日本食には必要のなかったオリーブオイルはなぜ必要だったのでしょう?
■オリーブオイルの生産は国家プロジェクト!?
地中海沿岸地域の人々にとっては、食用だけでなく石鹸や化粧品などにも使われるオリーブは生活に欠かせないものですが、日本で栽培されるようになったのは国家的なプロジェクトでした。明治政府は食用油の国産化や魚の油漬け(オイルサーディン)、石鹸などの用途を見据え、オリーブ栽培を国家事業として試験導入しました。
魚の保存用オイルとは、オイルサーディンのオイルのこと。日本近海で大量に捕れるイワシの保存に、オイル漬けという方法が適していると考えたのです。保存がきく栄養価の高い缶詰は戦地で不可欠なうえ、輸出もできます。日本でのオリーブ栽培は、オイルサーディンのために始まったのです。
■地中海に似た「瀬戸内の気候」
-
明治41(1908)年、政府はアメリカから輸入したオリーブの苗木を、三重県の現・鈴鹿市と、鹿児島県の現・指宿市、そして香川県の小豆島に配布、各地で試験栽培が始まります。いずれも気候が地中海沿岸に似ていると思われていたのですが、三重県と鹿児島県は育成に失敗。害虫が駆除できなかったことや、冬季の低温、多降雨に台風など、予想以上に厳しい気候条件が合わなかったことが敗因でした。
-
小豆島の西村地区に植えたオリーブだけが順調に育ったのは、四国山地と中国山地に囲まれているため台風の影響が比較的少なく、雨も少なく乾燥しているという点がオリーブ栽培に理想的な土地だったから。大正の初めには搾油が出来るほどの実をつけるまでに成長しました。
■害虫などの「困難に負けない努力」
オリーブの天敵は、オリーブアナアキゾウムシという日本固有の害虫です。小豆島ではこの小さな害虫を、なんと手作業で捕獲し続けたのだとか。気の遠くなるような地道な努力が、小豆島を日本唯一のオリーブの聖地にしたというわけです。
■「平和のシンボル」として愛された
ノアの箱舟など旧約聖書のエピソードや、女神アテナからの贈り物という古代ギリシャの神話によって、オリーブは「平和のシンボル」とされてきました。そのオリーブを天皇自ら植えたことが、小豆島の人々の大きな誇りと希望になりました。昭和29(1956)年には香川県の県花に、昭和41(1966)年には県木にも指定されています。
【 オリーブ(実・葉・オイル)で何が違う?基礎知識】
「オリーブは捨てるところがない」といわれる樹木です。それぞれの活用方法をチェックしてみましょう。
■オイルは「食べる・塗る美容液」
現代の私たちの生活にいちばん身近なのがオイルですね。料理に使うだけでなく、精製したオリーブオイルを化粧油として使用したり、美容液や化粧水などに活用した商品もあります。オリーブオイルには、悪玉コレステロールを抑制するオレイン酸や、抗酸化作用にすぐれたビタミンEやポリフェノールが豊富。腸活にも効果的で、動脈硬化やアンチエイジングにも期待できるというわけです。
料理の仕上げにかけるなど加熱しないで摂るのが、オリーブオイルの栄養を壊さないベストな方法。冷ややっこや納豆、味噌汁などに少量加えるのもおすすめです。
■果実は「スーパーフード」
生の実は渋みが強くて食べられませんが、塩漬けや酢漬け(ピクルス)などに加工すると植物繊維が豊富なスーパーフードに! 鉄分やカルシウムなどのミネラルも含まれているので、貧血気味の人は積極的に食べてみては?
-
-
おつまみとしてそのまま、刻んでドレッシングやソースに加えたりも。
-
■葉には「抗菌・抗ウィルス」作用も
オリーブの葉には、オレウロペインというポリフェノールが果実より数倍から数十倍も含まれています。このポリフェノールには強力な抗菌・抗ウイルス作用があるとされ、ウィルスの増殖を抑え、風邪やインフルエンザの予防、血圧を下げる効果についての研究が進められています。また、糖の吸収を穏やかにする作用、免疫機能をサポートし、動脈硬化の予防にも効果が期待されています。肌のコラーゲン生成を助け、紫外線によるダメージを軽減するはたらきも――と、いいことづくめ!
「オリーブ葉エキス」は要注目アイテムですが、乾燥させた葉自体にも活用法があります。煮出して飲めばお茶として楽しめ、お茶パックなどに入れて入浴剤として使えば肌がしっとりするのだとか。
【 オリーブオイルの種類と選び方のコツと使い分け】
■エクストラ・バージン・オリーブオイル
いわゆる「一番搾り」のオリーブオイル。果実をすり潰して絞っただけの天然のジュースです。「エクストラ・バージン」を名乗るためには加熱処理しないことが条件で、 一般的に27℃以下の低温で抽出される「コールドプレス」が品質保持に優れるとされています。圧搾過程で摩擦熱などによって温度が上がってしまうと、オリーブ特有の繊細な香りや、ポリフェノールやビタミンといった栄養素が失われてしまうのです。オリーブオイルの風味や栄養を守るためには、「コールドプレス(低温圧搾)」という方法が最適とされています。
オリーブ本来のフルーティな香りやピリッとした辛み、爽やかな苦みが特徴で、ドレッシングや料理の仕上げに、バター代わりにパンにつけたり。酸化しにくいオレイン酸が主成分なので加熱調理に使用しても問題はありませんが、わざわざ風味も栄養も壊しているようなもの…ではあります。
■ピュア・オリーブオイル
香りを抜いて精製したオイルに、バージン・オイルをブレンドして調整したものを「ピュア・オリーブオイル」と呼びます。「オリーブオイル」とだけ表記する場合も。
香りや癖がなくさらっとしているので、さまざまな料理に使いやすいのがこのタイプ。エクストラ・バージンに比べて安価なので、「生で使用はエクストラ・バージン、加熱調理にはピュア」と使い分けるのがよさそうですね。
■国別で味わいが違う?
ほかの食品同様、いやそれ以上に、この1~2年でオリーブオイルは高騰! 高価なオリーブオイル選びに失敗しないため、エクストラ・バージン・オリーブオイルの大まかな国別の味わいの違いを覚えておきましょう。
・スペイン産:産出量世界一のスペインでは完熟した果実を使用することが多く、フルーティな風味やナッツのような甘みをもつのが特徴。煮込み料理や肉料理に向いています。
・イタリア産:スパイシーな味わいで、ピリッとする刺激も。サラダやパスタ、グリル野菜などにかけると美味。
・ギリシャ産:摘み立てのハーブや青草、青りんごのようなフルーティで強い風味と、刺激的な辛みをもちます。なかでもコロネイキ種という品種によるオイルは、ほかの品種に比べて抗酸化成分が非常に多く、鮮度が落ちにくいという優れた特徴も。
・日本産:青りんごのような上品で繊細な香りが特徴。サラダはもちろん、白身魚のカルパッチョや和食の隠し味、お菓子づくりにも。
【 酸化させない保存方法のポイントと注意点】
食用にしろ、化粧用にしろ、オイルは酸化させないことがポイントです。家庭での上手な保存方法をご紹介しましょう。
■大敵1:光
太陽光や蛍光灯などの光は、「光酸化」と呼ばれるほどオイルを劣化させます。エクストラ・バージン・オリーブオイルが色付きガラスなどのボトルに入っていることが多いのは、この光酸化を避けるため。それでも、自然光が入る窓際や、蛍光灯が当たる場所での保存は禁物です。透明なボトルの場合は、アルミホイルなどを巻いて遮光したり、箱に入れるなどの対策を。
■大敵2:空気
オイルは酸素に触れると酸化が進みます。オリーブオイル特有の香りではなく油臭いと感じたら、酸化が進んでいる証拠。使用したらすぐに蓋をしっかり閉めること。大きなボトルのものは、少量入る遮光瓶などに移し替えて使うと、使わないボトルのほうは空気に触れないので、酸素による酸化を防ぐことができます。
■大敵3:熱
変質を避けるためには熱にも注意しなくてはなりません。調理中にコンロの近くに出しっぱなし…は厳禁です。 コンロのすぐ脇はNG、熱がこもりやすいガス台下のストッカーでの保存にも注意が必要です。コンロからは離れた棚の中などの冷暗所保存がベスト。
■大敵4:時間
-
早めに使い切るのが美味しく食べるコツ。十分な保存対策をとっても、開封した瞬間から劣化は始まります。一般的な目安は3~6か月ですが、理想は開封後1~2か月以内。高価な場エクストラ・バージン・オリーブオイルほど、たっぷり使って早く使い切ったほうが、美味しく健康にもいい状態で楽しめます。
***
ギリシャ・クレタ島は世界有数のオリーブの産地として知られ、紀元前から栽培が続いてきました。なかには樹齢数千年という古木が、今もなお実をつけているといわれています。クレタ島では心臓疾患が比較的少ない地域としても知られ、その背景には野菜や魚、オリーブオイルを中心とした「地中海食」の食文化があると考えられています。なかでも良質なオリーブオイルを日常的に取り入れる習慣は、この地域の健康的な暮らしを支える要素のひとつ。「オリーブの日」をきっかけに、料理や暮らしに上質なオリーブオイルを取り入れてみてはいかがでしょうか。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- 参考資料:『デジタル大辞泉』(小学館)/『日本食材百科事典』(講談社)/小豆島町( https://www.town.shodoshima.lg.jp/gyousei/kakuka/oribu/2/7975.html )/小豆島オリーブ株式会社( https://www.s-olive.co.jp/ ) :

















