今月のMs.Precious……福岡市内と東京都内で2拠点生活を送る45歳会社員。ガチガチのJTC(Japanese Traditional Company)には珍しい「全国どこでもリモート可」という恵まれた勤務形態を活かし、夫の実家がある福岡と東京を行ったり来たりしている。同い年の夫もIT関係でリモートワークが許される環境に加え、両親に介護が必要になったこともあってセミUターンを決意した。長距離をクルマ移動することが少ない上に、CEV補助金+地方自治体の補助金が使えるのが魅力で、目下「親族みんなで乗れる電気自動車」を探している最中。

今月のクルマ……【TESLA MODEL Y L】
テスラはシリコンバレーの技術者たちによって2003年に創業。その動機は「電気自動車を作ること」ではなく、「持続可能なエネルギーへの移行を加速すること」という、自動車産業には似つかわしくないほど大きな使命感でした。100年以上続く産業そのものに喧嘩を売るかのような、とてつもない野望を抱いた企業として産声を上げたのです。「自動車業界の異端児」は、2008年発売の初代ロードスターの発売でひとつの転機を迎えます。「電気自動車は遅い」という当時の常識を覆し、続く2012年のモデルSでは「OTAアップデート」という仕組みを導入。「納車の翌朝、車が昨日より賢くなっている」そんな体験は、自動車の概念を根底から揺さぶるものでした。テスラが試みたのは「四輪のついたコンピュータ」として車を捉え直すこと。オーナーたちは自然と、「テクノロジーの最前線に立つ人間」というアイデンティティを纏うことになります。広告費ゼロにもかかわらずテスラが常に話題の中心にあったのは、所有することが「思想の表明」になったから。今回紹介するモデルY  Lは、従来のモデルYを進化させた6人乗りのSUV。Lの名の通り、長い車体、長い一充電走行距離を持つファミリーカーです。強烈な思想と快適性を共存させることができた、稀有なクルマなのかもしれません。

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テスラは12年以上前から乗っていますが、既成概念を打ち破るブランドですよね――松任谷

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「これは新色のコズミックシルバーで、6色展開だそうです。目が細くて先進的なデザイン」(Ms.P)

松任谷 これが最新のテスラです。

Ms.Precious いい色ですね。

松任谷 そうですね。昔にはなかった色ですね。なにしろ昔はありきたりの色しか選べませんでしたから。

Ms.Precious 白、黒、赤、青、あとは?

松任谷 グレーのような色もありましたけど、それがなくなって暫くしてからマットのダークグレーとかシルバーとかは出たような記憶があります。そして同時にモール類がステンレスカラーから黒に変わった記憶があるなあ。

Ms.Precious 松任谷さんはいつからテスラを?

松任谷 いつからかなあ。最初がモデルSで、まだフロントグリルがあった時代だから、今から12年以上は前だと思います。5年乗って今のXに乗り換えました。

Ms.Precious 早かったんですね。

松任谷 一応、早くに知っておきたかったもので。ところで何で外装色をご存知なのですか?

Ms.Precious なんとなく、勘というか、街中で見たことのある色を言っただけです。

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「パッと見は3列シートに見えないですよね。実家にいる甥や姪が喜びそう。6人乗りは私にとって便利かも」(Ms.P)

松任谷 ということは昔からテスラに興味がおありになったということ?

Ms.Precious そうかも知れません。というよりもイーロン・マスクに興味があったのかも。

松任谷 相当ハイパーな人らしいですね。昔、テスラジャパンにいた人から聞きました。ついて行くのがもう大変だ、って。

Ms.Precious 子供みたいな心を持っているんじゃないかしら。ちょっと前に三角屋根のトラックを発表したでしょう?

松任谷 サイバートラックですね。

Ms.Precious そう。あの発表会の模様をリアルタイムでネットで見ていたんですよ。

松任谷 あ、僕もリアルタイムで見てました。事前にカウントダウンしてましたもんね。

Ms.Precious そしたら、窓が防弾ガラスになっていて……みたいなイーロンの説明があって。

松任谷 ああ、あれね。

Ms.Precious あれ、何でしたっけ? 石かなんかを思い切りぶつけたんでしたっけ?

松任谷 僕もよく覚えていませんけど、こんなことをしても窓は割れない、というデモンストレーションでしたよね。

Ms.Precious そうしたら窓が割れちゃって。

松任谷 そうそう。

Ms.Precious 普通なら、スタッフとか出てきて大騒ぎになるところですよね。

松任谷 まあ、そうなのかなあ……。

Ms.Precious あの時のイーロンの子供みたいな顔を見て、ますますファンになっちゃって。

松任谷 僕も彼がなんと言ったか覚えていないんですけど、お茶目だったことは覚えています。

Ms.Precious 若々しいブランドっていいなあ、って思ったんですよね。歴史に縛られないっていうか、自由なイメージがありますよね。

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「テスラの運転席って、極端に言えば、バンドルとこのモニターしかないのね。クルマといえばオプションやらなにやらいろいろ選ぶのが面倒だけど、モデルY Lは外装とシートの色だけ選べばいい。まるでスマホやラップトップPCを選ぶかのようだわ」(Ms.P)

松任谷 確かに既成概念を打ち破るところはありますよね。ディーラーがないってご存知でしたか?

Ms.Precious ネットで見ていると注文する、っていうボタンがありますよね。えっ? ボタンひとつでクルマを買えちゃうの?って。

松任谷 押してみましたか?

Ms.Precious ええ、恐々。

松任谷 まあ、当然、それだけでAmazonみたいなことにはならないわけで。

Ms.Precious そうですね。その後にスタッフとか登場してくるんでしょ?

松任谷 僕の時はそうでしたけど、今現在はどうなっているのかわかりません。仕組みもどんどん新しくなっているから。

Ms.Precious オンラインで色々とバージョンアップする、というのは聞きましたが、それってどういうことなんですか?

松任谷 センターのモニターディスプレイをWi-Fiで繋いでおくと、新しいソフトウェアが来ています、ダウンロードしますか?なんて出るわけですよ。

Ms.Precious はい。

松任谷 で、内容も書いてあるわけ。こんなところがアップグレードされます。みたいな。

Ms.Precious 面白いですね。

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「路肩の工事も、脇をすり抜ける自転車も、歩行者だって検知してモニターに映る様子は、安全性向上のため云々よりも、単純に見ていて楽しいというか新鮮」(Ms.P)

松任谷 でもね、最近はほかのメーカーもテスラに倣って同じようなサービスを始めているところもあります。

Ms.Precious やっぱりテスラは先駆けなんですね。

松任谷 そうなんでしょうね。で、今すぐインストールしますか?なんて言われて、はい、とか答えると数十分運転出来なくなりますけどいいですか?なんて聞かれるわけです。それでまた、はい、なんて答えると画面が真っ黒になって本当に数十分後に自動的にクルマに電源が入る感じ。まあスマホと同じと考えてください。

Ms.Precious どんなアップデートがあるんですか?

松任谷 僕の場合、いろいろありましたね。メーター類のデザインが変わったりとか、新たな表示が出るようになったり、テスラらしいのは、ユーザーがクルマの中でゲームをすると考えているみたいで、やたら新しいゲームが配られるんですね。僕は一度もやったことありませんけど。

Ms.Precious やっぱり細かいことなんですね。

松任谷 そうでもないんですよ。ある時アップデートするには1時間かかります、なんて言われて、内容を見ると、乗り心地の改善、なんて書いてあるわけ。で、インストールしてみたら乗り心地が柔らかくなっちゃった。

Ms.Precious ええっ、そんなこともあるんですか?

松任谷 楽しいですよ。こんなクルマは他にはありません。

まるで未来から来たクルマのように思えてきました――Ms.Precious

Ms.Precious 逆に不便なことは?

松任谷 そうですね。やっぱりディスプレイに車検はいつまでです。とか突然表示されて、ディーラーがないから自分でサービスに連絡して持っていくわけです。これ、嫌じゃないですか?

Ms.Precious このあいだ、うちの近くにテスラのサービス工場ができたみたいなので多分大丈夫。

Ms.Precious それは羨ましい。では充電も自宅で?

Ms.Precious はい、幸い一軒家なので。

松任谷 ご主人はどうおっしゃってるんですか?

Ms.Precious あまりクルマに興味のない人なので全然大丈夫です。

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「こういった隙間がないホイールは、電気自動車ならではだと聞いたことがあるわ。デザインが凝っていてかっこいいですね」(Ms.P)

松任谷 もうひとつ、これは僕も意味がよく分からないのですが、運転のデータ、まあどこをどんなふうに走っているか、みたいなデータはそのままシリコンバレーのテスラに送られているそうです。

Ms.Precious へえ。

松任谷 昔、クルマの中にキーを置いたままロックがかかっちゃって、サービスに電話したら、どこどこにいらっしゃいますよね、なんて言われて、ドキッとしたことを覚えています。なんだ、日本でも監視されているのか、なんてね。今はできなくなっちゃったみたいだけど。で、その後、人が来ることもなく、リモートでロック解除してもらいました。

Ms.Precious それはいいことなんでしょうか、悪いことなんでしょうか。

松任谷 僕的には未来の1ページだと思いました。クルマに限らず、未来は総合的に監視してもらって、道端で突然倒れたり具合が悪くなった時とかにすぐに対応してもらえるような世界になるのではないか、と思ってるんですよ。

Ms.Precious このクルマが未来からやってきたように見えてきました。実はちょっと前からモデルXが輸入されなくなりましたよね。このあいだ、あれのあまり距離の行っていない中古を見つけたんですが、あれとこれとどちらがいいか、松任谷さんに考えていただこうか、と思ってきたんです。

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「クルマの鍵がカードキーというのも斬新です。モデルY Lの施錠解錠はこのカードキーをピラーにタッチ。従来のキーホルダーって要らなくなりますね」(Ms.P)

松任谷 両者ともSUV。あちらはフルサイズ、こちらはミドルサイズです。運転してもらえれば大きさがかなり違うと思われると思います。

Ms.Precious 大きい車は大丈夫です。でも、これも十分広いですね。モデルXはもっと大きいんですか?

松任谷 乗り込んだ感じは似たようなものだと思いますが、走り出すとずいぶん大きさの違いは感じます。圧倒的にこちらの方が使いやすいです。

Ms.Precious 操作は同じなんでしょうか?

松任谷 どうかなあ。僕のモデルXは一世代古いからな……。

Ms.Precious スタートボタンがないけどエンジンはどうやってかけるんですか?

松任谷 モーターですね。ボタンはありません。ただ、ブレーキペダルを踏んでDに入れて、と言いたいところですが、これはそれもありません。モニター横のクルマのマークを上にスライドさせれば前進、下にスライドさせれば後退。真ん中を長押しすればパーキング。ニュートラルなんてものもありませんし、サイドブレーキなんてものもありません。ただ、Pを長押しして降りてそれでおしまい。僕のXはちゃんとシフトレバーがあったんですが……。

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「とにかく操作は9割以上がこのモニター。指を上にスライドさせれば前進、下にスライドさせれば後退、止まりたい時はその真ん中を長押し。不思議な感覚!」(Ms.P)

Ms.Precious スイッチがどんどんモニター上に移ってしまったということですか?

松任谷 そうですね、モデル3とかが出た時は、ウインカーまで変なところに移動してしまったんですが、それは普通のかたちに戻されてます。

Ms.Precious いずれにせよ、慣れますよね?

松任谷 慣れると思います。あとXには色々なオプションがあって、キーを持って近づくだけでドアがスーッと開くとか、中から全部のドアをコントロールできるとか、ドアはバタンと閉めなくてもスーッと閉まってくれるとか、あとは、あの特徴的なファルコンドアとかあるわけですけど、そういうものはこれにはなさそうですね。

Ms.Precious あ、ちょっと残念ですね。では後席の広さはどうでしょうか? これは広いと聞いているのですが。

松任谷 まあ似たようなものでしょう。でもこちらの方が後席のリクライニング角度は大きいです。走ってみますか?

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「解放感ある室内は3列シートの窮屈さが皆無」(Ms.P)
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「荷物が多い時は3列目を畳めば大容量の荷室に」(Ms.P)

Ms.Precious はい。わっ、これスポーツカーみたいですね。

松任谷 力がありますからね。踏み込むとスポーツカーも真っ青です。

Ms.Precious Xもこんなに速いんですか?

松任谷 モデルにもよりますが、パフォーマンスというモデルではludicrousとludicrous +などという聞いたことのないような名前のモードがあって、それにするとロケットですね。でもそんなもの要りますか?

Ms.Precious 確かに要らないですね。では運転したフィーリングの違いはどうでしょうか?

松任谷 基本的には似てますね。でもあちらの方がずっと大味です、というかずっと荒い。

Ms.Precious やはり新しいブランドだけあって最新のものが一番お勧めなんでしょうね。

松任谷 僕も買い換えようかな、と思っているくらいですから。

Ms.Precious これにですか?

松任谷 はい、イーロン・マスクはちょっと苦手ですが……。

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今月のクルマ
【Tesla Model Y L】

ボディサイズ:全長×全幅×全高:4,980×1,920×1,670mm
車輛重量:約2,090kg
車両本体価格:¥7,490,000
(CEV補助金¥1,270,000適用対象車)

※掲載商品の価格は、すべて税込みです。

問い合わせ先

Tesla Japan

この記事の執筆者
1951年、東京都生まれ。1974年 慶應義塾大学・文学部卒。4歳からクラシックピアノを習い始め、14歳の頃にバンド活動を始める。20歳でプロのスタジオプレイヤー活動を開始し、バンド「キャラメル・ママ」「ティン・パン・アレイ」を経て、数多くのセッションに参加。その後アレンジャー、プロデューサーとして松任谷由実、松田聖子、ゆず、いきものがかりなど多くのアーティストの作品に携わる。1986年には音楽学校「MICA MUSIC LABORATORY」を開校。ジュニアクラスも設け、子供の育成にも力を入れている。松任谷由実のコンサートをはじめ、JUJU、平原綾香など様々なアーティストのコンサートやイベントを演出、映画、舞台音楽も多数手掛ける。2021年よりバンド「SKYE」に参加。日本自動車ジャーナリスト協会に所属し、長年にわたり『CAR GRAPHIC TV』(BS朝日・毎週木曜23:00~)のキャスターを務める他、『日本カー・オブ・ザ・イヤー』の選考委員でもある。ラジオ『松任谷正隆のちょっと変なこと聞いてもいいですか?』(TOKYO FM・毎週金曜17:30~)にも出演。好きなもの:朝のお茶の時間、夜の昼寝。
PHOTO :
小倉雄一郎(小学館)
WRITING :
松任谷正隆
EDIT :
三井三奈子