堂々スカーフ宣言

 ファッションを存分に楽しむには慣れと少しばかりの勇気がいる。
 以前プロを目ざすジャズシンガーのライブにいったことがあるが、なんと彼女はマイクを手にしてモジモジしているのである。主役が恥ずかしがると、こちらまで落ち着かなくなってくる。
 昨今人気の男のスカーフ姿も、見た目はけっこうなインパクトがある。だからといって巻いているご本人がビクついていると、少しも着映えがしない。
 歩くときは大またで。身振り手振りも少々オーバーに。「成りきる」ことでスカーフを味方につけるのである。

精緻なプリントを施し、艶やかな発色が絶品!

サイズ100×100㎝。スカーフ¥58,000・ジャケット¥321,000・ニット¥172,000・パンツ¥108,000・ベルト¥114,000(エルメスジャポン)
サイズ100×100㎝。スカーフ¥58,000・ジャケット¥321,000・ニット¥172,000・パンツ¥108,000・ベルト¥114,000(エルメスジャポン)

上質なスカーフをエレガントに襟元に飾れば、それだけで存在感のある伊達男が演出できる。全身ブラックのコーディネートで、スカーフの色と柄、ツヤを大胆に生かしたい。スカーフの素材はシルク&コットン。

いかがだろうか? スカーフは女性だけのものではなく、男ぶりを上げるキーアイテムなのである。そういえば、冬場のマフラーだって、立派な巻物だ。マフラー姿に男の色気を感じる女性は多い。そこから発想を少しだけ広げれば、スカーフやストールなどが、男のエレガントさを際立たせる鍵になることがわかっていただけるだろう。

女性的な色や柄を避け、幾何学模様や、ストイックな色味のスカーフを選ぶと、女性に対して、冬場のマフラーと同じような、男の色気出し効果を得られるのだ。例えば、ここで紹介したようなエルメスのスカーフが一枚あれば、グッとエレガントな印象がつくれる。王道のエルメスなら失敗もなく、スカーフ初心者にも扱いやすい。まずは堂々スカーフ! これが新しいジェントルマンの装いだ。

※価格はすべて税抜きです。※価格は2016年春号掲載時の情報です。

この記事の執筆者
TEXT :
林 信朗 服飾評論家
BY :
MEN'S Precious2016年春号『東京ジェントルマン50の極意』より
『MEN'S CLUB』『Gentry』『DORSO』など、数々のファッション誌の編集長を歴任し、フリーの服飾評論家に。ダンディズムを地で行くセンスと、博覧強記ぶりは業界でも随一。
クレジット :
撮影/川田有二(人物)ヘア&メーク/YOBOON(coccina)モデル/Trayko