朝の幹線道路を急いで走る、自転車乗りの多いこと。東京23区でもようやく自転車レーンが整備されつつあるが、区の境界線をまたいだ途端になくなってしまい、一貫性がない。それに、もともと道幅が狭いうえ、周りをしっかり見ていないクルマが多いこともあり、危険がいっぱいだ。クルマも、自転車も、歩行者も、自分本位にならずに互いを尊重し、安全に走る。時間はかかるかだろうが、皆が心がけることで、交通の安全は保たれる。

 オランダ王室のメンバーは大の自転車好きだと聞いたことがある。自慢の自転車専用レーンを王室の連中が走っていれば、国民も王室にぐっと親しみを感じるだろう。

 そう、自転車は威張ってないのだ。

 ショーファー無用。税金はゼロ、排出ガスもゼロ。若者も年寄りも、金持ちも貧乏人も等しくえっちらと漕がなければならない。この、なんともデモクラティックなところが現代紳士の価値観とピタリと合ってないか。

 2台、3台を服装に合わせて乗り分けるのも楽しそうだ

飄々と自転車で遊ぶ

クロモリ(クロムモリブデン鋼)は衝撃吸収性と耐久性に長け、古くから自転車のフレームに多用されてきた素材。現在主流のカーボンやアルミよりも重量はかさむものの、体へのダメージが少なく、修復すれば末永く使える。細身で美しい永遠のモダンで、軽快な東京ランを! フレーム価格¥225,000 完成車の参考価格¥375,000(東洋フレーム〈thePARK〉

 いかがだろう。カーボンファイバーを多用したスポーツバイクで風をきるのは、郊外を走るときだけでいい。トラディショナルなクロモリのフレームを使い、シンプルで飽きのこないデザインで、フリップやサドル、収納にレザーを使った自転車ならずっと乗っていられるうえ、お洒落をしても似合う。そして、飄々と走る。紳士たるもの、景色を楽しむ余裕を持ちたい。

※価格は2016年春号掲載時の情報です。

この記事の執筆者
TEXT :
林 信朗 服飾評論家
BY :
MEN'S Precious2016年春号『東京ジェントルマン50の極意』より
『MEN'S CLUB』『Gentry』『DORSO』など、数々のファッション誌の編集長を歴任し、フリーの服飾評論家に。ダンディズムを地で行くセンスと、博覧強記ぶりは業界でも随一。
クレジット :
撮影/戸田嘉昭(パイルドライバー/静物)