料亭の女将に教わる、接待の「事前」「最中」「終わり際」に気をつけたいポイントとは?
交流会、お食事会、慰労会、懇親会、親睦会、会食、接待など、呼び名は多々あれど、いわゆる「大切な人と一緒に時間を過ごす食事の席」は、社会人であれば折に触れて、たびたび参加することがあるものですよね。あなたがその仕切りを任される、なんて場合も時としてあるのではないでしょうか?
そんなとき、お相手となる取引先(お客さま、クライアントとも)に、よりいっそう喜んでいただくためには、どのようなことに気をつけておけばいいのでしょうか?
この、知っているようであいまいになっている部分も多い「接待マナー」のポイントを、プロに教わります。
教えていただくのは、ホテル椿山荘東京 和食レストラン課 料亭「錦水」の女将・新盛睦美さん。数々の接待の場を料亭の立場で見てきた経験を活かし、接待に不慣れな方でも、スムーズなおもてなしができるよう気を配っている、プロ中のプロです。
【CHAPTER1】お店を予約するときに、事前に伝えておきたいポイント8つ
【CHAPTER1】では、「大切な場所の設定」、予約の内容について学びます。まずお店には、下記8つの情報を共有するといいそうです。
■お店に伝える情報1:詳細は後でもOK!まずは予約して「日時」を伝える
接待の日程が決まり次第、まずはお店を押さえましょう。詳細は後からでも大丈夫です。この際に、お店のキャンセルポリシー(約款)を確認しておきましょう。
■お店に伝える情報2:未確定でも伝えておきたい「人数」
人数が未確定の場合は「最大で○名、少なくとも〇名」と伝えるのがベストです。
人数が決まっている場合は、合計人数だけではなく、ゲスト側とホスト側の人数、男女の人数の内訳もあるとベター。ゲスト側とホスト側の人数に差がある場合は、上座と下座の人数も伝えておきましょう。
外国人のゲストがいるときは、できれば国籍や宗教、食事のポリシーも事前に確認できると安心です。
■お店に伝える情報3:長め?短め?宴席の「時間」も大切な情報
各店舗で設定された基本利用時間はだいたい、2時間~2時間30分程度。それより短く予定していたり、長く予定している場合は、お料理を出すタイミングなどもあるので、事前にお店に伝えておきましょう。
■お店に伝える情報4:ゲストのNG食材や好みがあるか「料理」をチェック!
初めての接待する相手であれば、宴席の窓口同士で、参加する方の苦手食材がないか、情報を共有しましょう。店舗へは、どの方が該当するのか、その方だけ料理を変更するのか、または全員変更するのかを伝えます。食材アレルギーであれば、わかればどの程度までNGなのか知ることができると良いです。
■お店に伝える情報5:どんな「飲み物」があるか、事前に把握
事前にどんな飲み物があるのか、メニューに目を通しておきましょう。持ち込みの予定がある場合には、お店にどのタイミングで出したいか伝え、持ち込み料の金額も確認しておきましょう。
■お店に伝える情報6:ゲストはどんな交通手段で来る?「お車」を確認して
社用車の場合、それぞれの台数や車番がわかるとベスト。駐車場が必要な場合は、その台数も伝えましょう。
帰りにタクシーを利用予定なら、台数や、もしあれば指定のタクシー会社、タクシーチケットの有無も伝えられるとスムーズです。決まっていない場合は「帰りはタクシーを利用します」だけでも構いません。
■お店に伝える情報7:「お土産」はあり?なし?
事前に宴席の窓口同士で、お互いに用意するかしないか打ち合わせしておくと安心です。お土産を用意する場合は、当日持参または事前送付、そして保存方法(常温、冷蔵、冷凍)をお店に伝えます。
■お店に伝える情報8:支払いはスムーズに!「支払い方法」を指定
当日の現金払いか、またはカード払い、あるいは後日請求なのか、支払い方法をお店に伝えておくとよいでしょう。初めての店舗では後日請求を受け付けていない場合があります。支払いのときに慌てないようにしましょう。
もし心配なら「下見」もおすすめ!
初めての店舗であれば、下見をすることもおすすめです。上座と下座の位置、トイレや喫煙所の場所がわかっていると、当日よりスマートに幹事ができます。会場のレイアウトをもらって、事前に席順を決めておきましょう。
今はカジュアルな接待から、VIP対応の接待まで、さまざまなスタイルがあります。今回ご紹介したのは、どんな方を接待する場合でも一般的に失礼にならないベーシックなポイントです。業界や会の主旨に合わせて、アレンジしてみてくださいね。
【CHAPTER2】「接待当日」のコツ4つ
ある日、大切なお取引先を接待する幹事となった、あなた。今後の関係を円滑にするために、失礼がないように、楽しい宴にしたいものですよね。でも実際に手配してみると、意外と忘れていたり、盲点になっていたり、気づかず相手の気分を害してしまうこともあるかもしれません。
というわけで接待当日、幹事が開宴前から開宴にかけてすると、「相手の気分を上げる」ことができるポイントをご紹介します。
■開演前ポイント1:幹事は開始20分前には、到着しよう!
宴席の20~30分前に会場に到着したら、まずお部屋の確認をしましょう。席次、名札、必要に応じた事前準備や卓上花などをチェックします。お土産がある場合は、小分けの袋に分けていただくお願いとともに、店舗スタッフに預けておきましょう。
■開演前ポイント2:ゲストが到着!お迎えした後はどうする?
ゲストが到着したら、入り口近くでお迎えし、お部屋まで進みます。お部屋で待っている場合は、立ち上がってお迎えします。
お部屋まで進む際に、お店の案内係がいればその誘導に従い、宴席の各トップを先頭に進みます。案内係がいない場合は、幹事が先頭に立って誘導しますが、玄関やお部屋に上がるのは最後にしましょう。
スタートからバタバタしてしまうと、お土産を預け忘れたり、何か抜け落ちてしまいがち。幹事に慣れていない方こそ、なるべく早めに到着して、宴会の流れをシミュレーションしておきましょう。
■開宴開始ポイント1:乾杯の飲み物を用意
着席後に短めに挨拶を住まえたら、乾杯の飲み物をご案内します。事前にメニューに目を通していると、このときによりスムーズに進みます。
■開宴開始ポイント2:上着を脱ぐ声掛け
乾杯後や、少し落ち着いたタイミングで、メインホスト(あなたの上司など)から、上着を脱ぐ声掛けをゲストにしてもらいます。
いよいよ宴会がスタートしたら、ゲストに合わせたペースで箸を進めつつ、相手の飲み物の残量がグラスの1/3~1/4程度になったら、次の飲み物を進めましょう。
最初に会話が弾みにくいときは、事前に献立内容を理解しておくと、話題をふりやすくなります。
会食中は、ホスト側の人間が頻繁に離席するのはマナー違反です。所要でどうしても離席する場合は、静かに退席しましょう。
以上、接待の幹事が当日、心がけておくとスムーズに場が流れるコツを4つ、ご紹介しました。続いては…
- TEXT :
- Precious.jp編集部