胸元にユーモアを!ドレイクスのネクタイ

老舗ブランドとはひと味違う、モダンでとぼけたセンスが微笑ましいドレイクスのネクタイ。ロンドン中心部にある本社兼工房でハンドメイドされており、そのクオリティも折り紙付きだ。左から¥23,000、¥23,000、¥19,000(ドレイクス 銀座店)
老舗ブランドとはひと味違う、モダンでとぼけたセンスが微笑ましいドレイクスのネクタイ。ロンドン中心部にある本社兼工房でハンドメイドされており、そのクオリティも折り紙付きだ。左から¥23,000、¥23,000、¥19,000(ドレイクス 銀座店)

往年の英国好きにとってはなじみ深いドレイクスだが、近年そのイメージは大きく変革を遂げた。アメリカやフレンチトラッドのセンスを巧みに取り入れた、懐かしくも新鮮なそのコレクションは、SNSを通じて30代の若き紳士たちの間で爆発的に流行っているのだ。なかでも2代目社長、マイケル・ヒル氏のセンスが爆発しているのが、上質かつユーモラスなプリントタイ。ビジネスシーンはもちろん、休日にこそ締めたくなってくる。

雨音は喜びの調べ!マリア フランチェスコの傘

1854年にミラノで創業し、今もなお家族経営を貫くイタリアきっての傘メーカー。天然木を使ったハンドルと厚手の撥水ポリエステル生地を組み合わせたこちらの傘は、すべて手作業でつくられる。¥39,000(コンドッティ〈マリアフランチェスコ〉)
1854年にミラノで創業し、今もなお家族経営を貫くイタリアきっての傘メーカー。天然木を使ったハンドルと厚手の撥水ポリエステル生地を組み合わせたこちらの傘は、すべて手作業でつくられる。¥39,000(コンドッティ〈マリアフランチェスコ〉)

よい傘を持っていれば雨の日の憂鬱さはいくぶんか晴れるものだが、マリア フランチェスコの傘に関しては、むしろ雨の日が待ち遠しくなる。だって素材こそ防水性の高いポリエステルを使っているものの、その生地はまるでお洒落なジャカード織りのネクタイ。その日のファッションに合わせて、何本でもほしくなるのだ。日本にも英国にも素晴しい傘メーカーはほかにも存在するが、粋という観点で見れば、このミラノの老舗にかなうものはない。

キズすらも愛おしい!グローブ・トロッターのトラベルケース

1920年後半に誕生したモデルのリバイバル『サファリ』シリーズ。アイボリーホワイトとナチュラルレザーの組み合わせは、昨今人気のコロニアルファッションと相性抜群だ。写真は最大サイズの33インチ。¥288,000(グローブ・トロッター 銀座)
1920年後半に誕生したモデルのリバイバル『サファリ』シリーズ。アイボリーホワイトとナチュラルレザーの組み合わせは、昨今人気のコロニアルファッションと相性抜群だ。写真は最大サイズの33インチ。¥288,000(グローブ・トロッター 銀座)

革張りトランクをポーターに持たせていた豪華客船時代のダンディには負けるが、そんな時代の優雅さを追体験させてくれるのが、グローブ・トロッターのトラベルケースだ。現代仕様に車輪こそ付いているものの、素材もデザインもほぼ創業当時(1897年)のまま。イニシャル刻印だってできるのだから。ヨーロッパの石畳の上を転がすのは正直いってしんどいが、年配のホテルマンに褒められるのがうれしくて、やっぱりこちらを選んでしまうのだ。

傘のように、家のように!アクアスキュータムの『キングスゲート』

ミリタリーアウター本来のディテールを決して省略することなくフル装備している、数少ないトレンチコートが『キングスゲート』。どんなにトレンドが変遷しても、手放してはいけない。参考商品(レナウン プレスポート〈アクアスキュータム〉)
ミリタリーアウター本来のディテールを決して省略することなくフル装備している、数少ないトレンチコートが『キングスゲート』。どんなにトレンドが変遷しても、手放してはいけない。参考商品(レナウン プレスポート〈アクアスキュータム〉)

彫刻家のジャコメッティが、土砂降りの中レインコートを頭からかぶって、道路を横切る写真がある。そう、これこそがレインコート本来の使用法。コートが濡れないように逐一気を遣うなんて、ナンセンスだ。近年のファッション化の波に流されず、トレンチ本来の無骨さを残したアクアスキュータムの『キングスゲート』こそは、そんなラフな扱い方が映える名品。ときには大きな傘として、ときには簡素な家として、男を雨風から守ってくれるだろう。

ドラマチック製造機!ボルサリーノのパナマハット

ソフトハットの代名詞として君臨するボルサリーノ。やわらかな本パナマ素材と長めのブリムを生かして、自分だけのかぶり方が楽しめる。写真は抜群にしなやかな最上級クオリティだ。¥180,000(ボルサリーノ ジャパン)
ソフトハットの代名詞として君臨するボルサリーノ。やわらかな本パナマ素材と長めのブリムを生かして、自分だけのかぶり方が楽しめる。写真は抜群にしなやかな最上級クオリティだ。¥180,000(ボルサリーノ ジャパン)

ありきたりな日常に飽きたら、ボルサリーノのパナマハット―それもとびきり上質なやつをかぶってみよう。他ブランドと較べるとちょっと長めのブリムから生まれるその陰は、見慣れた自分の顔に新しい表情を与えてくれるから。強風で飛ばされても慌ててはいけない。あなたの装いにみんなが注目しているから。そう、この帽子は日々の生活にドラマを与えてくれるのだ。

着こなすクルマ!ヴィンテージの『ポルシェ911』

1964年に『356』の後継車として発売された『ポルシェ911』。初期モデルの901型、通称「ナロー」から1993年に生産された993型までが、数寄者を虜にする空冷ポルシェの系譜である。近年では投機対象として、その価値は年々高まっている。
1964年に『356』の後継車として発売された『ポルシェ911』。初期モデルの901型、通称「ナロー」から1993年に生産された993型までが、数寄者を虜にする空冷ポルシェの系譜である。近年では投機対象として、その価値は年々高まっている。

「空冷の乾いて重いエキゾーストサウンド、今でも速くて乗っていて楽しいこと、たたずまいに贅肉がないこと……」と、「グローブスペックス」代表の岡田哲哉さんが絶賛するのが、1964年から生産され続けるこの名車。「着る」クルマと言われるほどタイトな乗り心地だが、ひとたびマシンと呼吸が合ったときの速さは、現代のクルマと遜色がない。熟練した運転手が自在に操る『ポルシェ911』は、どんなに古くても見惚れるほどに生き生きしている。

※価格はすべて税抜です。
この記事の執筆者
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MEN'S Precious編集部 
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MEN'S Precious2019年春号
名品の魅力を伝える「モノ語りマガジン」を手がける編集者集団です。メンズ・ラグジュアリーのモノ・コト・知識情報、服装のHow toや選ぶべきクルマ、味わうべき美食などの情報を提供します。
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クレジット :
撮影/戸田嘉昭、小池紀行(パイルドライバー/静物) スタイリスト/四方章敬 構成/山下英介(本誌)