働いても働いてもなかなか給料は上がらず、銀行金利は雀の涙ほどのご時世。個人が一代で財産を築き上げるのは、容易ではありませんよね。

そんな中、夢があるのは株式投資。1億円以上の利益を得た“億り人”のニュースなどを見るにつけ、「私もやってみようかな?」と興味をそそられる人も多いのではないでしょうか?

しかし、株式投資で裕福になれるのは、ほんの一握り。成功者の影には、大きな痛手を被った敗北者たちが死屍累々といることも、看過できません。そして、なぜこの「差」が発生するのでしょう? 株式投資で儲かる人、損する人には、どのような違いがあるのでしょうか?

そこで、資産230億円をもつ個人投資家cisさんの著書『一人の力で日経平均を動かせる男の投資哲学』を参考に、株式投資で損する人の特徴5つをご紹介します。

負けを認められない人は危険! 株式投資で損する人の特徴5選

■1:勝手な予想をして「事実を客観的に」見られない人

この株価は今後どうなる!?

あなたの適性を見極めるべく、まずは簡単なクイズから。ここに2種類の銘柄A、Bがあります。Aは3日間連続で値上がり、逆にBは3日間連続で値が下がり続けているとしたら、それぞれの株価は翌日、どうなると思いますか?

実際に株価がどうなるのか、翌日になってみないとわからないので、誰も100%正しい予想などできません。ただ、株で損したくなければ、絶対に避けるべき発想はあります。

株で損しやすい人の発想とは、「3日間も上がり続けているAは、さすがに下がるのでは? 逆に、下がり続けているBはそろそろ反転するんじゃないか」と勝手に思い込んでしまうこと。

著者のcisさんは、投資についてアドバイスを求められたとき、「上がり続けるものは上がり、下がり続けるものは下がる」とだけ答えることが多いといいます。

株価が上がるのは買おうとする人や資本が、下がるのは売ろうとする人や資本が多いからであって、多いのには何らかの理由があるはず。その理由が何かは複雑な事情が絡むので一概にいえないものの、少なくとも市場の大きな流れに逆らうのは得策ではありません。

たとえば、コインを投げて裏表を当てるゲームをする際、裏か表が連続すると「そろそろ逆がくるはず」と思ってしまうものですが、株式投資においては、確率やバランスを意識するのは危険。株はそもそも確率のゲームではないので、「バランスは取れないのは当然」と思っておくのがいいと、cisさんは主張します。

株式投資をするなら、自分の「こうあるべきだ」という主観は極力排して、今、値動きがどうなっているのかという「事実」を、直視するようにしましょう。

■2:「お買い得」なものが好きな人

株式の「お買い得」は危険

「上がり続けるものは上がり、下がり続けるものは下がる」といっても、ぐんぐん値上がりしている銘柄Aを買うのは、勇気がいること。マーケットの流れに乗ろうにも、「いくら何でも高すぎるんじゃないか」「買い時を逃してしまった」と主観がじゃまして、なかなか手が出ない人が多いはず。

ところが、ある日、連日高騰していた銘柄Aの勢いが止まり、少し値下がりしたら……? ここで「昨日までとくらべて今がお買い得!」と飛びつくのは、株で損する人の発想です。

ずっと値上がりしていた株が少し下がってきたところを買うのを“押し目買い”といいますが、cisさんはこれを「やってはいけない買い方のひとつ」だと警鐘を鳴らしています。

というのも、下がってきたところを買うというには、「上がり続けるものは上がり、下がり続けるものは下がる」という基本原則に真っ向から反するものだからです。

たしかに、日頃のお買い物では、「欲しいけどちょっと高いから」と我慢していた商品が、たまたま安くなったタイミングで購入するのは賢いショッピング方法といえるかもしれません。

しかし、株式投資の世界においては、欲しいものをなるべく割安で買いたいという思惑は、損するもと。普段の買い物における「お買い得かどうか」という発想は排して、「上がっているものを買い、下がっているものを売る」という基本を重視しましょう。

■3:自分の負けを認められない人

負けを認められないと大損する

「この銘柄は、これから値上がりするだろう」と見込んで株を購入したものの、予想に反してその株価がどんどん下がり始めたら、どうすればいいのでしょうか?

このとき、最もやってはいけないのは、「今下がっているのは一時的なこと。いつかは反転するはず」「せめて自分が買った値段まで戻ってくるのを待とう」と、株で損した事実を直視せず、塩漬けにしてしまうこと。

「いつかは反転するはず」という希望的観測にすがるばかりでは、どんどん損失が拡大し、大火傷を負うことにもなりかねません。1,000円で買った株を950円か900円で売っておけば、損失はその程度で済んだものを、塩漬けにして株価が200円、100円になると目もあてられませんし、株式市場では実際にそういうことが起こりえます。

cisさんの場合、自分の保有する株の雲行きが怪しいと見るや、すぐに売って損失を確定してしまう(損切りする)とのこと。あまりにも損切りが早すぎて、売った直後にその株が当初の予想通り値上がりし、結果的に儲けを逃してしまう失敗もかなり多いそうなのですが、それでも「すばやい損切りは、ものすごく重要」と力説します。

「損したくない、損を認めたくない」というのは人間の自然な感情ではありますが、どんなに凄腕のトレーダーでも予想が百発百中ということはまずありません。その証拠に、cisさんでさえも、勝率は3割くらいで、迅速な損切りで大けがをしないようにする、という方針で今の資産を築いたといいます。

つまり、トレードで負ける、損すること自体は避けられません。重要なのは、いかに損失を最小にとどめるかです。

自分の予想がはずれたら素直に負けを認めて、傷が深くならないうちに潔く撤退しましょう。

■4:すぐに「利確」したがる人

目先の利益より大事なことは?

前項では、損切りの重要性について述べましたが、逆に、自分の買った株が値上がりした場合、どう振る舞えばよいのでしょうか?

cisさんによれば、利確(購入時よりも値上がりしている株を決済して現金化すること)においてのNGパターンは、ちょっと儲かったからといって、すぐに売りたがること。

繰り返しになりますが、cisさんの提唱する投資の基本原則は「上がり続けるものは上がり、下がり続けるものは下がる」。上昇中の株なのに、目先の利確に走るのは、まさしくこのルールに反する行為で、今日の勝利を確定することはできても、明日や明後日の勝利を捨ててしまうことにつながります。

なぜ、もっと儲かったはずの上昇中の株を、安易に手放してしまうのか? それは、人にとって1万円を得る喜びよりも、1万円を失う悲しみのほうが大きいから。その悲しみを避けるために、トータルで見ると損な選択をとってしまうのです。

1万円の利益が出たら、さらに値上がりするのを待って株を持ち続けるよりも、目先の利益をまず確定してしまいたくなるのが人情。前項の“負けを認められない”とあいまって、「儲けは小さく、損失は大きく」というトレードが続くと、資産はみるみる減る一方です。

株で儲けたいなら、損切りは素早く行う一方、上昇中の株は安易に手放さず、利を大きく伸ばすことを目指しましょう。

■5:メディアの情報ばかり頼る人

情報を鵜呑みにするのは考えもの

株式投資についてネット上で情報をチェックしたり、相場や経済学の本を読み漁ったり、あるいはセミナーに参加したりなど、勉強熱心な人も少なくないはず。

しかし、cisさんは、「マスメディアに載ったネタを追いかけるのではスピードが遅すぎるし、多数の人が知っている知識で他人を出し抜けるわけがない」「知られていない攻略法が眠っているのが相場」などと指摘しています。言われてみれば、公にリリースされた情報だけで儲けられるのであれば、億万長者がどんどん出ていておかしくありません。

「相場に関しては、メディアはアテにしないほうがいい」と断言するcisさん。実際に、こんなエピソードもあったといいます。

以前、ソフトバンクグループの株が大きく値下がりした際、テレビ番組では中国企業と関連付けて、まことしやかにその解説がなされました。しかし、実際のところ、値下がりの真相は、cisさん自身が同株式を50億円分、損切り目的で売ったことだったのだとか……。

もちろん、自分のフィーリングだけで勝ち続けられるほど、投資の世界は甘いものではないのではありませんし、徒手空拳でトレードするよりは、さまざまな知識や情報を得るほうが安心といえば安心。しかし、「これを知っていればきっと儲かるはず!」と知識や情報をやたらありがたがったり、鵜呑みにしたりするというのも考えものです。

ちなみに、cisさんの場合、「こんなことが起きたら、こんな展開で儲かる」という仮説を常に考えていて、アイデアを何十個か持っているとのこと。株で儲けたいなら、ただ情報を追い求めるばかりではなく、とことん自分の頭で考え、実際にトレードを行い、リアル相場での損得から学んでいく、というのが王道なのかもしれません。

これから株を始めたい人、あるいは、過去に株で失敗したけれど、もう一度トライしたいと考えている人は、上記の特徴に当てはまるものがありましたか?

株で絶対に得する方法はありませんが、考え方を変えることで大損するリスクを減らすことは可能です。後悔する前に、大損する思考パターンを改善しましょう。

cisさん
個人投資家
2018年11月現在、資産約230億円。1979年3月生まれ。大学4年生の2000年夏に口座を開き300万円で株式投資を始める。01年法政大学卒業後、親族が経営する企業に就職。02年デイトレを開始。一時期資産を104万円まで減らすもスタイルを変えてからは勝ち続け、資産6000万円で04年6月に退職。以後専業トレーダーとして04年内に2億円、05年内に30億円弱の資産を築き、トッププレイヤーの仲間入りを果たす。その取引の影響力の大きさから「一人の力で日経平均を動かせる男」とも言われる。
『一人の力で日経平均を動かせる男の投資哲学』cis著 KADOKAWA刊
この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
EDIT&WRITING :
中田綾美
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