6月に入ってメンズプレシャス編集部に届いたのが、『ポール・スチュアート』のクリエイティブディレクター  ラルフ・オリエンマ氏と新しく就任した日本のポール・スチュアートのディレクター鴨志田康人氏のトークショーが開催されるというお知らせ。6月30日夕方6時から、ポール・スチュアート青山店で開かれた、そのイベントに駆けつけた。

ニューヨークから駆けつけたクリエイティブディレクター ラルフ・オリエンマ氏とのトークイベント

 このイベントのためにセッティングされた同店の2階の特別なスペースには、ポール・スチュアート 2019FWの新作を纏ったトルソーたちが並んで来賓をお出迎え。秋のニューヨークの街並みを思わせるような、シックな空間がつくりだされていた。ふたりのトークイベントは、そんな雰囲気のなかで行われた。

 ラルフ・オリエンマ氏がまず言及したのは、『ポール・スチュアート』が、1938年にニューヨークのマジソン・アベニューに創業した、Madison Avenue at 45th Streetというポストコード(住所表示)をもつ地で、歴史を重ねたブランドであるということの誇り。

 この言葉を受けて鴨志田康人氏は、30代のときに初めて訪れたニューヨークで入ったポール・スチュアート本店の印象を、「扉を開けるのをびびるほど、大人で、“洗練”ということばが似合うブランドだという印象を強く持った」と語る。

 ふたりが何度か顔を合わせたというピッティ・ウォモでの話題も出る。いつも鴨志田氏のブランド『Camoshita UNITED ARROWS』のコレクションを見て、ずっと尊敬していた、というオリエンマ氏。一方の鴨志田氏は、「ラルフさんは早起きなんです」。同じホテルに宿泊していた鴨志田氏は、朝のジョギングを終えてから食事をするオリエンマ氏の姿をレストランで何度も見かけたという。ふたりの柔らかな関係がうかがえるエピソードだ。

 最後を締めくくったのは、鴨志田氏のこんな言葉。「自分が初めてニューヨークのMadison Avenue at 45th Streetの本店の扉をあけたときの感動を、みなさんに感じてもらえるコレクションにしていきたい」。

 注目のコレクションの全アイテムは、ポール・スチュアート青山店に入荷の予定。その一部を、ここに紹介しよう。

ジャケット ¥170,000・パンツ ¥69,000 ※税抜、8月末展開予定

ワイドラペルジャケットに2インプリーツトラウザーズのクラシックなセットアップ。コットンカシミヤのコーデュロイは、リッチなカラーと落ち感の美しさが特徴。クラシックなアイテムにそろえず、起毛加工を施したプレイド柄のセーターやシルクのドット柄リングベルト、スエードのモカシン、ボウタイをコーディネートすることで、コンテンポラリークラシックを表現するスタイリングを完成させている。

コート ¥230,000 ※税抜、予定価格、8月末展開予定

しっとりとした肌触りの良いイタリアンスエードを使用したトレンチコート。テーラード技術を取り入れた設計により、コンフォートで美しいシルエット。少し長めの丈がスエードの柔らかさを引き出し、ラグジュアリー感を高めている。秋口におすすめの一着だ。

鴨志田康人さん
ユナイテッドアローズのクリエイティブアドバイザーを務めるかたわら、2007年に『Camoshita UNITED ARROWS』を立ち上げる。日本だけでなく、欧米、アジアでも多くのファンをもち、世界のカモシタと呼ばれる。2018年に自身の会社を設立、『ポール・スチュアート』の日本におけるディレクターとして参画する。

トークイベントに出席して、ポール・スチュアート2019FWを見た雑誌「メンズプレシャス」クリエイティブディレクター山下英介のコメント

 この日、はじめて見た鴨志田康人×『ポール・スチュアート』の感想は、(いい意味で)可愛くない服だな、というイメージです。ここ数年、アメリカントラッドの持つイメージが健康的で爽やかで若々しく、可愛らしいものに誤解されてしまっている傾向があるのですが、本来は成熟した大人のためのファッションだったはずで、ニューヨークのポール・スチュアート本店こそは、そんな、若者の立ち入りを拒絶するような大人の館だったわけです。
 そういう意味で、鴨志田さんのコレクションの色使いやシルエットは、まさに本来の『ポール・スチュアート』の姿だと思いました。また、コートやジャケットの仕立てに関しては、日本のクラフツマンシップを感じる見事なもので、それを製品化した三陽商会の技術の高さに唸らされました。

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この記事の執筆者
音楽情報誌や新聞の記事・編集を手がけるプロダクションを経てフリーに。アウトドア雑誌、週刊誌、婦人雑誌、ライフスタイル誌などの記者・インタビュアー・ライター、単行本の編集サポートなどにたずさわる。近年ではレストラン取材やエンターテイメントの情報発信の記事なども担当し、ジャンルを問わないマルチなライターを実践する。