クラシックからカジュアルなアイテムまで、しかも服だけに限らず靴やアクセサリーにいたっても、世界有数のブランドがピッティに集う。世界最大級のメンズファッションの展示会といわれる理由のひとつである。

 なかでも最近では、靴ブランドの出展が目覚ましい。かつて、ミラノで開催される靴専門の巨大な展示会、ミカムにも出展していたブランドが、ピッティ出展へ鞍替えし、新たなターゲット(売り先)を求める。つまり、ミカムは、靴ブランド同士の比較がバイイングの目安になるが、ピッティでは、発表されたトレンドのアイテムと靴がいかに似合うか、ということがバイヤーたちの関心事になる。コーディネートを念頭においた靴の選び方が、ピッティではより鮮明なのだ。

夏の季節にふさわしい、ふたつの靴ブランド

コントレアリー

コントレアリーのタッセルスリッポン
コントレアリーのタッセルスリッポン

 まず、見るからに涼しげで色彩も華やかなタッセルスリッポン。初出展を果たしたモロッコの“コントレアリー”というブランドで、2016年に設立したばかり。

 アッパーに使用した素材は、バッグや帽子などでも使われるラフィアというもの。パームツリーを原料とし、その繊維を撚ってひも状にしたものを編み上げ、靴のアッパーとする。ラフィア独特の柔らかさによって、足になじむ感触は抜群だ。

 しなやかなはき心地を残しつつ、ソールには薄手のレザーを付け、街ばきでも楽しめる耐久性を備える。なにより、これだけの色(写真参照)から選べるため、夏の装いも多彩に楽しめるのがうれしい。

ロトゥセ

スペイン最大手靴ブランド“ロトゥセ”
スペイン最大手靴ブランド“ロトゥセ”

 もう一足は、スペインのブランド“ロトゥセ”。1877年に創業した、スペイン最大手靴ブランドのひとつ。マヨルカ島に本社と巨大な工場を構える。長い歴史と充実した生産背景を持つものの、まだまだ日本ではなじみが薄い。巧みな技でつくり上げたメッシュの靴が圧巻だ。

 一般的にメッシュ加工のレザーといえば、牛革が中心だが、“ロトゥセ”が選んだレザーはカンガルー。牛革に比べ、5倍程度の強度を備えるのがカンガルーレザーの特性だそうだ。グッドイヤーウェルト製法でしっかりとした靴づくりとなっているが、革のしなやかさは絶妙であり、メッシュの表情が実に涼しげだ。ブランドのなかでも最高峰に位置する「プレミアムライン」での展開となる。写真は、デザインのバリエーションを見せるため、あえて違うデザインの靴を左右に並べて撮影した。

 軽やかさがポイントになる夏のスタイル。足元も軽快で清涼感を備えた一足にこだわりたい。

第96回ピッティ・ウォモに関する記事はこちら

この記事の執筆者
ヴィットリオ矢部こと本誌エグゼクティブファッションエディター矢部克已。ファション、グルメ、アートなどすべてに精通する当代きってのイタリア快楽主義者。イタリア在住の経験を生かし、現地の工房やテーラー取材をはじめ、大学でイタリアファッションの講師を勤めるなど活躍は多岐にわたる。 “ヴィスコンティ”のペンを愛用。Twitterでは毎年開催されるピッティ・ウォモのレポートを配信。合わせてチェックされたし!
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