車内でヒップホップというと、外にもわざと聴こえるほどの音量で「圧」をかけるヤカラ系の印象が強い。だが、もちろんメンズプレシャスとしてはそんな風潮に迎合することはない。大人が聴くべきは「ヒップホップを通過した」ジャズだ。それはいったいどんなものかを、編集者の菅原幸裕氏が解説する。
現代のいわば「通奏底音」としてのヒップホップ
ヒップホップというと、ラッパーがリリックを連ねた音楽を想像しがちだが、必ずしもラップが絡むわけではない。最近はローファイ・ヒップホップと呼ばれる、ヒップホップ的リズムに、ジャズやソウル、フュージョン等のサウンドを交えた音楽が人気を博している。そのシーンの著名なアーティスト、ランデシの新作を聴いて連想したのは、夭折した日本人DJ、ヌジャベスこと瀬場潤だった。2000年代初頭に生み出された、ジャズとヒップホップを融合した彼独自の音楽は、インターネットそしてサブスクリプションの時代となった今、より世界的に広がっている。現代のいわば「通奏底音」としてのヒップホップ、そう考えると、ジョン・コルトレーンが大叔父というフライング・ロータスの音楽は、ヒップホップを土台とした今日的なジャズのように映る。もちろんそれらは、最新のクルマのフィーリングとも好相性といえるだろう。
ドライブで聴くならこの3枚!
『フラマグラ』フライング・ロータス
『メタフォリカル・ミュージック』ヌジャベス
『セカンド・ウインド』ランデシ
- TEXT :
- 菅原幸裕 編集者