車内でヒップホップというと、外にもわざと聴こえるほどの音量で「圧」をかけるヤカラ系の印象が強い。だが、もちろんメンズプレシャスとしてはそんな風潮に迎合することはない。大人が聴くべきは「ヒップホップを通過した」ジャズだ。それはいったいどんなものかを、編集者の菅原幸裕氏が解説する。

現代のいわば「通奏底音」としてのヒップホップ

2006年にアルバムデビューしたフライング・ロータスの大叔父は、ジョン・コルトレーン。ここに、ヒップホップとジャズが結びつく。

 ヒップホップというと、ラッパーがリリックを連ねた音楽を想像しがちだが、必ずしもラップが絡むわけではない。最近はローファイ・ヒップホップと呼ばれる、ヒップホップ的リズムに、ジャズやソウル、フュージョン等のサウンドを交えた音楽が人気を博している。そのシーンの著名なアーティスト、ランデシの新作を聴いて連想したのは、夭折した日本人DJ、ヌジャベスこと瀬場潤だった。2000年代初頭に生み出された、ジャズとヒップホップを融合した彼独自の音楽は、インターネットそしてサブスクリプションの時代となった今、より世界的に広がっている。現代のいわば「通奏底音」としてのヒップホップ、そう考えると、ジョン・コルトレーンが大叔父というフライング・ロータスの音楽は、ヒップホップを土台とした今日的なジャズのように映る。もちろんそれらは、最新のクルマのフィーリングとも好相性といえるだろう。

ドライブで聴くならこの3枚!

『フラマグラ』フライング・ロータス

前作のファンキーで実験的なサウンドはやや後退し、エレクトリックでメロウなグルーヴが印象的。バラエティ感豊かな全24曲の構成。(ビート レコーズ)

『メタフォリカル・ミュージック』ヌジャベス

2010年に事故で他界した日本人DJのファーストアルバム。どこか「侘び寂び」を感じさせるサウンドは、いまなお世界的に評価が高い。(hydeout productions)

『セカンド・ウインド』ランデシ

ヒップホップのリズムにボブ・ジェームスの世界観を組み合わせたようなサウンドは、クールかつノスタルジックな魅力を備えている。(Pヴァイン)
この記事の執筆者
『エスクァイア日本版』に約15年在籍し、現在は『男の靴雑誌LAST』編集の傍ら、『MEN'S Precious』他で編集者として活動。『エスクァイア日本版』では音楽担当を長年務め、現在もポップスからクラシック音楽まで幅広く渉猟する日々を送っている。
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