スーツと靴は表裏一体のものだ。互いを高め合う関係性を成立させることで、紳士の格を上げる。では、今、買うべき靴は何か? かつての高級靴ブーム以来、靴への注目が高まっている最中、ここでキーワードとなるのがクラシックだ。それはスーツのトレンドとも密接に関わり、靴にも波及した潮流。ディテールばかりにこだわったマクロな視点ではなく、定番、新作にかかわらず、スタイルとして正統を貫いた靴に心が動かされる。メンズプレシャスでは、それを究極の「本格靴」と呼ぶことにした。そうして、吟味を重ねた12足をここに紹介する。

紳士が履くべき究極の12足

1.揺るぎない伝統を宿し、男の盟友となる存在|ジョン ロブ

¥170,000(ジョン ロブ ジャパン)※参考価格
¥170,000(ジョン ロブ ジャパン)※参考価格

最高峰の靴である。異論を挟む余地はないだろう。英国生まれ、フランス育ちと表現されることもあるジョンロブだが、この定番モデル『シティ Ⅱ』は脈々と受け継がれてきた英国式本格靴の流儀を体現する。時代を超えた普遍的なキャップトウオックスフォードシューズである。ハイエンドなカーフを用い、190もの工程を経て完成する。細部に目を配れば、精緻なツインステッチに高度な職人技がうかがえる。そして、何より見事なのは、全体のプロポーションの美しさである。フォーマルな黒靴としての役割を完璧に果たす。つまり、スーツを下支えし、男の格を上げる。それこそが、究極の靴であるゆえんだ。


2.フランス流のエレガンスが色気となって男を輝かせる|ジェイエムウエストン

靴¥157,000(ジェイエムウエストン 青山店) スーツ¥180,000〈リングヂャケット〉・タイ¥20,000〈ドレイクス〉/以上リングヂャケットマイスター 青山店 シャツ¥22,000(ブライスランズ&コー〈ブライスランズ〉) チーフ¥3,000(ストラスブルゴ〈ムンガイ〉)※参考価格
靴¥157,000(ジェイエムウエストン 青山店) スーツ¥180,000〈リングヂャケット〉・タイ¥20,000〈ドレイクス〉/以上リングヂャケットマイスター 青山店 シャツ¥22,000(ブライスランズ&コー〈ブライスランズ〉) チーフ¥3,000(ストラスブルゴ〈ムンガイ〉)※参考価格

『シグニチャーローファー』や『ゴルフ』など、ジェイエムウエストンにはシンボリックなモデルが数多い。その存在感が高いがゆえに、カジュアル寄りのイメージを抱く人もいるだろう。しかし、それは改めなければならない。この『ウルトラウエストン』のワンピースオックスフォード『344』を知ったならば。昨秋に発表されたコレクションの一足であり、究極のエレガンスを追求。これまでよりもディテールへのこだわりを深め、高い技術のフィニッシングを施す。ハンドポリッシュによるトウとヒールの輝き、アウトソールのWの飾り釘など、見惚れる仕上がり。それが、オーラとなってスーツを包み込むのである。


3.紳士道を体現する、生粋の英国式本格靴|ダンヒル

靴¥171,000・スーツ¥290,000・シャツ¥45,000・タイ¥29,000・チーフ/参考商品(ダンヒル) 眼鏡¥40,000(コンティニュエ〈オリバー ゴールドスミス フォー コンティニュエ〉) 時計¥1,070,000(カルティエ カスタマー サービスセンター)※参考価格
靴¥171,000・スーツ¥290,000・シャツ¥45,000・タイ¥29,000・チーフ/参考商品(ダンヒル) 眼鏡¥40,000(コンティニュエ〈オリバー ゴールドスミス フォー コンティニュエ〉) 時計¥1,070,000(カルティエ カスタマー サービスセンター)※参考価格

スーツの装いはトータルバランスで完成する。それを知るダンヒルゆえに、自ら本格靴に向き合った。そうして完成したのがこのオックスフォードシューズだ。ロンドンから北西に約100km、ノーサンプトンは言わずと知れた英国靴の聖地。彼の地の歴史ある小さな工房で一足一足、ていねいにつくられている。スタイルは英国の伝統を踏襲し、まさにタイムレスなデザイン。フレンチカーフを用い、オークカラーがヴィンテージ調の表情をたたえる。履き込み、そして磨きをかけ、さらに履く。それを繰り返して、この靴は魅力的な経年変化を遂げる。10年先に真価を実感する。それもまた、究極の本格靴だけが持つ資質である。


4.チャーチ/グレードアップした容姿端麗な英国靴¥184,000(チャーチ 表参道店)5.エドワード グリーン/フォーマル感を突き詰め、ビスポークのような存在感¥170,000(ストラスブルゴ〈エドワード グリーン〉)6.エンツォ ボナフェ/華やかさを秘めた控えめな姿が紳士的¥99,000(リングヂャケットマイスター 青山店〈エンツォ ボナフェ〉)※参考価格
4.チャーチ/グレードアップした容姿端麗な英国靴¥184,000(チャーチ 表参道店)5.エドワード グリーン/フォーマル感を突き詰め、ビスポークのような存在感¥170,000(ストラスブルゴ〈エドワード グリーン〉)6.エンツォ ボナフェ/華やかさを秘めた控えめな姿が紳士的¥99,000(リングヂャケットマイスター 青山店〈エンツォ ボナフェ〉)※参考価格
7.ガ ヴォチ 1969/イタリアンクラシックの系譜に連なる正統派¥130,000(ラ ガゼッタ 1987 青山店〈ガヴォチ 1969〉)/8.ストール マンテラッシ/美しい曲線に見惚れる、イタリア流エレガンス¥150,000(トレーディングポスト青山本店〈ストール マンテラッシ〉)9.ガジアーノ&ガーリング/英国靴の本質を追求した先に並ぶもののない色気が漂う¥180,000(トレーディングポスト青山本店〈ガジアーノ&ガーリング〉)10.ジョージ クレバリー/職人技の象徴であるトウに老舗の美学が連綿と続く¥125,000(伊勢丹新宿店〈ジョージ クレバリー〉)※参考価格
7.ガ ヴォチ 1969/イタリアンクラシックの系譜に連なる正統派¥130,000(ラ ガゼッタ 1987 青山店〈ガヴォチ 1969〉)/8.ストール マンテラッシ/美しい曲線に見惚れる、イタリア流エレガンス¥150,000(トレーディングポスト青山本店〈ストール マンテラッシ〉)9.ガジアーノ&ガーリング/英国靴の本質を追求した先に並ぶもののない色気が漂う¥180,000(トレーディングポスト青山本店〈ガジアーノ&ガーリング〉)10.ジョージ クレバリー/職人技の象徴であるトウに老舗の美学が連綿と続く¥125,000(伊勢丹新宿店〈ジョージ クレバリー〉)※参考価格

11.オーダースーツの品格に寄り添う、イタリアン・エレガンスの頂点|アルティオリ

靴¥300,000(ワールド フットウェア ギャラリー GINZA SIX店〈アルティオリ〉) スーツ¥480,000~〈ダルクオーレ×ブライスランズ〉・タイ¥28,000〈ブライスランズ〉/以上ブライスランズ&コー シャツ¥35,000(ビームス ハウス 丸の内〈アヴィーノ ラボラトリオ ナポレターノ〉) チーフ¥3,000(ストラスブルゴ〈ムンガイ〉) 時計¥2,960,000(ヴァシュロン・コンスタンタン)※参考価格
靴¥300,000(ワールド フットウェア ギャラリー GINZA SIX店〈アルティオリ〉) スーツ¥480,000~〈ダルクオーレ×ブライスランズ〉・タイ¥28,000〈ブライスランズ〉/以上ブライスランズ&コー シャツ¥35,000(ビームス ハウス 丸の内〈アヴィーノ ラボラトリオ ナポレターノ〉) チーフ¥3,000(ストラスブルゴ〈ムンガイ〉) 時計¥2,960,000(ヴァシュロン・コンスタンタン)※参考価格

もう靴のワードローブは完成している。そういう男の心に新たな熱を注ぐのがアルティオリのオックスフォードシューズだ。顧客であった往年のハリウッドスター、ゲイリー・クーパーが1950年代からオーダーし続けたスタイルを、当時そのままに復刻。本人の専用木型をベースとしながら、モディファイした木型を使用している。製法はハンドソーンウェルテッド。職人技が細部に息づく、アルティオリの最高級ラインからの一足だ。ベビーカーフの上質さと、イタリアらしいロングノーズのフォルムが相まって、ただならぬ色気を漂わせる。オリジナルのシューツリーが付属することも、気持ちを高ぶらせる。


12.フランスの粋を継承する、定番モデルの進化版|ベルルッティ

靴¥274,000・ソックス¥7,800(ベルルッティ・インフォメーション・デスク) 時計¥2,960,000(ヴァシュロン・コンスタンタン)※参考価格
靴¥274,000・ソックス¥7,800(ベルルッティ・インフォメーション・デスク) 時計¥2,960,000(ヴァシュロン・コンスタンタン)※参考価格

まるで芸術品のような佇まい。それがフランスの至高の靴、ベルルッティだ。特筆すべきは独自のベネチアレザー。超絶的な色付け技法、パティーヌを施すためのレザーとして1990年代初頭に開発された。手に吸い付くような感触も特別で、それが類いまれなフィット感を生み出す。そして、この一足は新たな木型を採用した『アレッサンドロ』。シンプルさを極めたワンピーススタイルはそのままに、従来よりもトウのフォルムがシャープになり、コンテポラリーな雰囲気に仕上がっている。トウのハイシャインは顔が映り込むほどで、艶かしい。特別なひもの結び方にも、美学が投影されている。

※価格はすべて税抜、参考価格です。※2018年春号掲載時の情報です。
この記事の執筆者
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MEN'S Precious編集部 
BY :
MEN'S Precious2018年春号より
名品の魅力を伝える「モノ語りマガジン」を手がける編集者集団です。メンズ・ラグジュアリーのモノ・コト・知識情報、服装のHow toや選ぶべきクルマ、味わうべき美食などの情報を提供します。
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クレジット :
撮影/川田有二 スタイリスト/四方章敬 ヘア&メーク/MASAYUKI (the VOICE) モデル/Adrian構成/鷲尾顕司