「フォルテ・ノワール」には、多くの革新的な技術が搭載されているが、まず興味を引くのが、バランスドアーマチュア(BA)型ドライバーの大手メーカーとの共同開発から生まれた、独自設計の「tia(Tubeless In-ear Audio)テクノロジー」だ。従来のイヤホン設計では、BA型ドライバーにサウンドチューブを使用し、このチューブを通して音導孔から音を出す構造になっているが、「フォルテ・ノワール」は、このサウンドチューブを使わない、独自のチューブレス設計を実現。ドライバーから発信されるリアルな音を直接、耳に届けるだけではなく、チューブ内で発生する音の共鳴や、ダンパーによる音の減衰といった、サウンドの劣化要素を排除することも可能にしている。
ドライバーから放たれる音をリアルに届ける「tiaテクノロジー」が実現した音の新世界
4基のドライバーに最適化された「アコースティック・チェンバー」
また、チューブレスによる音の共鳴を抑えるため、音の出口である音導孔を複数ではなく、一つの“大口径音導孔”にする「シングルボア・デザイン」を開発。大口径音導孔はアコースティック・チャンバーとしても働き、より正確なサウンドチューニングを実現している。ドライバーはダイナミック型とBA型のハイブリッドで、ダイナミック型ドライバーを再チューニングすることで、低周波成分を大きく改善し、「ティア・フォルテ」を超える低域の質を実現している。
本機に搭載される4基のドライバーに最適化された、この「アコースティック・チェンバー」も「フォルテ・ノワール」のサウンドを支える大きな技術の一つ。これは音楽を制作する際、スタジオルームが、各部屋のモニタースピーカーに最適化されたルームチューニングを持つのと同し考えのもと作られた、64AUDIOならではの発想だ。さらにアコースティック・チェンバーの採用で、今までのイヤホン設計とは大きく異なる「パッシブ ラジエーター技術」を可能にし、不要な共鳴の除去にも成功している。
さらに、BA型ドライバーの筐体一部を切り開き、密閉されたBA型ドライバーの筐体設計で問題となる共振問題も解決し、ドライバー本来の高解像なサウンドが楽しめる。
加えて、小型スピーカーが外耳道の密封された空間に発生させる空気圧をなくし、難聴リスクも低減する「apex(エイペックス)」技術もまた、他のIEMでは実現不可能な画期的なテクノロジーである。
「Fourté Noir」64A-8021
アルミボディを純銅のプレートで飾る独創的なデザイン
筐体設計も独創的。ボディには堅牢なアルミニウム素材を用い、指紋のように、二つとして同じ模様のない、純銅で作られたフェイスプレートで飾ることで、上品かつ斬新な外観に仕上げている。また、付属の純正8導体プレミアム・イヤホンケーブルには銀素材を含んだムンドルフ社製のハンダを使用。内部回路の電導率を大幅にアップグレードすることで、より低いインピーダンスを実現し、高域特性も改善されている。
すべてが新しく、すべてが革新的な設計により、上質なサウンドでお気に入りの音楽を聴きたい人にとって、「フォルテ・ノワール」はベストな選択肢といえるだろう。
問い合わせ先
- ミックスウェーブ TEL:03-6804-1681
- TEXT :
- 安藤政弘 ライター