セリーヌが2019年秋、新しい女性像を打ち出しました。それがどんなにシックで、大人の女性の心をときめかせるものだったかは、インターネットを通して世界中を駆け巡ったランウェイの写真で、すでによく知られているところでしょう。

しなやかに進化する、クラシックで新しい、セリーヌが提案する女性像とは?

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2019-2020年 秋冬セリーヌパリコレクションより

2019年3月にパリで行われた、エディ・スリマンがアーティスティック、クリエイティブ、イメージ・ディレクターを務めるセリーヌの秋冬コレクション。

近未来的なミラーボックスから登場したのは、テーラードジャケットに英国調チェックのキュロットスカート、白シャツにスカーフを巻くという正統派のトラッドスタイルで、招待客を驚かせました。

ただ、その着こなし方はといえば、アビエイターサングラスにニーハイブーツを合わせ、少し大きめの肩幅のアウターはボーイフレンドから借りたかのよう。

マニッシュでロックな精神性が貫かれ、ベーシックに圧倒的な今を感じさせるものだったのです。

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2019-2020年 秋冬セリーヌパリコレクションより
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2019-2020年 秋冬セリーヌパリコレクションより

2シーズン目を迎えたエディ・スリマンの今季の提案からは、春夏のナイトシーンを思わせるミニスカートやスキニーは、いったん封印されました。次のシーズンの行方はわかりません。

けれど、ジャーナリストが何を言おうと、リアルにおしゃれをする当事者は私たち女性です。今、着たいかどうかがすべてなのです。心を寄せられる女性像があれば、明日は何をどんなふうに着るべきかがわかります。

創刊から15年、ラグジュアリーマガジン「Precious」が求め続ける女性像は変わりません。知的で上品でエレガント。シンプルでベーシックなものを愛し、しなやかに進化することも恐れない。なによりラグジュアリーを知っている。

そんな女性たちは、ファッションがどんどんカジュアルになっていくなかで、迷いを感じていました。大人もスニーカーは履くけれど、ストリートへの熱狂が少しずつ冷めてきた今、もっとクラシックで端正な着こなしが恋しい。きっと時代はエレガンスを求めている…。

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2019-2020年 秋冬“セリーヌ”パリコレクションより
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2019-2020年 秋冬“セリーヌ”パリコレクションより

そんな時代にセリーヌは、どこか懐かしい既視感を伴って、わかりやすく「新しい時代のベーシック」のあり方を代弁してくれました。

大人の女性のなかには、'70から'80年代にフレンチブルジョワジーのエレガンス最前線にあった、セリーヌを知っている人も少なくないでしょう。日本には「ニュートラ」という独自のブームを通して、エレガンスを咀嚼していった歴史があります。

しかし今季のセリーヌには、そんなノスタルジーは通用しません。そして良家の子女ほど大胆で、いつもいい子ではいられないのが常。それが今どきの絶妙なサイズ感や小物使いに表れているのです。

さあ、私たちは今、何を選び、どう着るのでしょうか?セリーヌに新たな名品誕生の予感がする今、ベーシックは楽しくてしかたがありません。

シンプルなのに絶妙に新しい!セリーヌのベーシック名品6選

■1:ロング丈ですっきり、テーラードがここまで新鮮に!「 74cm丈ジャケット」

本格的なテーラリングにこだわりのある、エディ・スリマンが、なによりも先に着手した新しいジャケットは少し長めの74cm丈。この長さが今、とてもモダンに見えます。やや広めの肩は自然で、絞りをなくしたボックスシルエットが、すっきりとした印象に。

ジャケット_1
ノッチドラペルにふたつボタンのベーシックタイプ。シワになりにくいウールフランネル。ジャケット¥295,000/予定価格(セリーヌ ジャパン〈セリーヌ バイ エディ・スリマン〉)
  • 名品DETAILS ジャケット_2 肩から胸周りの仕立てが見事。なだらかなパッドや、すっきりとした細巻きの袖山、腕の可動域を広くとるなど見た目と機能性を両立。

■2:ウールコットン素材でしなやかなドレープが生まれる「トレンチコート」

セリーヌのコートといえば、フレンチトラッドが流行を席捲した'70年代からの、羨望のアイコン。マニッシュなトレンチコートにも新たな解釈を加えて、上品な女らしさを表現しています。特に襟〜肩〜胸元周りのコンパクトなデザインが軽やか。

コート_1
小さく鋭角的なガンフラップ、ラグランスリーブ、ひざ下の長めの着丈で女らしいシルエットに。ウールとコットン混でシワになりにくく、ドレープもきれいです。トレンチコート¥395,000/予定価格(セリーヌジャパン〈セリーヌ バイ エディ・スリマン〉)
  • 名品DETAILS コート_2 深い後ろスリットは動きやすさと優雅さの証。プリーツを調整できるボタンも付いて、伝統的トレンチのディテールが高級感を演出。

■3:ジャケットに女らしさを香らせる「ドレープブラウス」

ジャケットとは常にセットで考えたいのが、女らしいブラウス。新生セリーヌでは、ベーシックなブラウスが豊富。スタンドカラーから流れるようにドレープを寄せているので、ジャケットやカーディガンからのぞく胸元が優雅で、繊細なネックレスも似合います。

ブラウス_1
一枚で着ても存在感があり、細部まで美しいつくり。カフの幅も程よく、はおりものに合わせやすい。色は肌なじみのいい上品なアイボリー。ブラウス¥170,000/予定価格(セリーヌ ジャパン〈セリーヌ バイ エディ・スリマン〉)
  • 名品DETAILS ブラウス_2 スタンドカラーで首元を包むと、控えめでレディライクな印象に。襟の中心からの細やかなタックはふくらみすぎず、絶妙な落ち感が。

■4:美しいテーパードでブーツにも映える、短め丈の「ツープリーツパンツ」

美脚シルエットのパンツに定評のあるセリーヌらしく、新たに考案されたパンツも期待に違わぬ仕上がりです。クラシックな細身とワイドなストレートと、ツープリーツ。特にツープリーツはテーパード加減が絶妙で、だれがはいても様になります!

パンツ_1
シワになりにくいウールギャバジンの黒。やや短め丈でブーツに合わせやすいです。パンツ「ツープリーツ ニューウエーブパンツ」¥110,000/予定価格(セリーヌ ジャパン〈セリーヌバイ エディ・スリマン〉)
  • 名品DETAILS パンツ_2 ミドルウエストで、プリーツ(=タック)の向きが内ヒダなので、腰周りが外に張りすぎず、すっきりと程よいテーパードシルエットに。

■5:「カシミヤニット」は、コンパクトなサイズ感が旬のスカートと好相性!

ベーシックなクルーネックニットのなかでも、きちんとして見える比較的コンパクトなレギュラーフィットで、ミドルゲージの黒が長袖と半袖で登場。人気のひざ下丈スカートと合わせやすいサイズ感です。しっかりとしたリブで、ハイゲージにはない趣も新鮮!

ニット_1
トップをコンパクトにまとめたい、今のバランス感覚にフィットするレギュラーフィットのカシミヤクルーネックニット。ストレートなアームホールで重ね着もしやすいです。ニット左から/長袖¥140,000・半袖¥130,000/予定価格(セリーヌ ジャパン〈セリーヌバイ エディ・スリマン〉)
  • 名品DETAILS ニット_2 ミドルゲージニットならではのしっかりとしたリブ。程よく詰まった襟ぐりは品がよく、フリルシャツやボウタイ、スカーフが似合う。

■6:ボックスプリーツが優雅に広がる絶妙なひざ下丈の「ツイードスカート」

ハウンドトゥースやツイードなど、メンズライクな英国調の素材も、スカートなら女らしく取り入れられます。今季はロングブーツが映える絶妙なひざ下丈が理想的。ボックスプリーツもこの丈なら広がりすぎず、生地の適度な重みで、優雅で上品な揺らめきが生まれて。

パンツ_3
細かなハウンドトゥースのツイード素材。腰周りはフィットして、ボックスプリーツが描き出す程よい分量感が今年らしいです。スカート¥275,000/予定価格(セリーヌ ジャパン〈セリーヌ バイ エディ・スリマン〉)
  • 名品DETAILS
    スカート_1 ウエストには控えめに「トリオンフ」モチーフをあしらったチェーン飾りが付いて、端正にウエストマークをして着こなしたい今の気分を満たしてくれる。

※掲載した商品は、すべて税抜です。

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PHOTO :
佐藤 彩
EDIT&WRITING :
藤田由美、矢野絵梨佳・竹市莉子(HATSU)、喜多容子(Precious)