セリーヌが2019年秋、新しい女性像を打ち出しました。それがどんなにシックで、大人の女性の心をときめかせるものだったかは、インターネットを通して世界中を駆け巡ったランウェイの写真で、すでによく知られているところでしょう。
しなやかに進化する、クラシックで新しい、セリーヌが提案する女性像とは?
2019年3月にパリで行われた、エディ・スリマンがアーティスティック、クリエイティブ、イメージ・ディレクターを務めるセリーヌの秋冬コレクション。
近未来的なミラーボックスから登場したのは、テーラードジャケットに英国調チェックのキュロットスカート、白シャツにスカーフを巻くという正統派のトラッドスタイルで、招待客を驚かせました。
ただ、その着こなし方はといえば、アビエイターサングラスにニーハイブーツを合わせ、少し大きめの肩幅のアウターはボーイフレンドから借りたかのよう。
マニッシュでロックな精神性が貫かれ、ベーシックに圧倒的な今を感じさせるものだったのです。
2シーズン目を迎えたエディ・スリマンの今季の提案からは、春夏のナイトシーンを思わせるミニスカートやスキニーは、いったん封印されました。次のシーズンの行方はわかりません。
けれど、ジャーナリストが何を言おうと、リアルにおしゃれをする当事者は私たち女性です。今、着たいかどうかがすべてなのです。心を寄せられる女性像があれば、明日は何をどんなふうに着るべきかがわかります。
創刊から15年、ラグジュアリーマガジン「Precious」が求め続ける女性像は変わりません。知的で上品でエレガント。シンプルでベーシックなものを愛し、しなやかに進化することも恐れない。なによりラグジュアリーを知っている。
そんな女性たちは、ファッションがどんどんカジュアルになっていくなかで、迷いを感じていました。大人もスニーカーは履くけれど、ストリートへの熱狂が少しずつ冷めてきた今、もっとクラシックで端正な着こなしが恋しい。きっと時代はエレガンスを求めている…。
そんな時代にセリーヌは、どこか懐かしい既視感を伴って、わかりやすく「新しい時代のベーシック」のあり方を代弁してくれました。
大人の女性のなかには、'70から'80年代にフレンチブルジョワジーのエレガンス最前線にあった、セリーヌを知っている人も少なくないでしょう。日本には「ニュートラ」という独自のブームを通して、エレガンスを咀嚼していった歴史があります。
しかし今季のセリーヌには、そんなノスタルジーは通用しません。そして良家の子女ほど大胆で、いつもいい子ではいられないのが常。それが今どきの絶妙なサイズ感や小物使いに表れているのです。
さあ、私たちは今、何を選び、どう着るのでしょうか?セリーヌに新たな名品誕生の予感がする今、ベーシックは楽しくてしかたがありません。
シンプルなのに絶妙に新しい!セリーヌのベーシック名品6選
■1:ロング丈ですっきり、テーラードがここまで新鮮に!「 74cm丈ジャケット」
本格的なテーラリングにこだわりのある、エディ・スリマンが、なによりも先に着手した新しいジャケットは少し長めの74cm丈。この長さが今、とてもモダンに見えます。やや広めの肩は自然で、絞りをなくしたボックスシルエットが、すっきりとした印象に。
■2:ウールコットン素材でしなやかなドレープが生まれる「トレンチコート」
セリーヌのコートといえば、フレンチトラッドが流行を席捲した'70年代からの、羨望のアイコン。マニッシュなトレンチコートにも新たな解釈を加えて、上品な女らしさを表現しています。特に襟〜肩〜胸元周りのコンパクトなデザインが軽やか。
■3:ジャケットに女らしさを香らせる「ドレープブラウス」
ジャケットとは常にセットで考えたいのが、女らしいブラウス。新生セリーヌでは、ベーシックなブラウスが豊富。スタンドカラーから流れるようにドレープを寄せているので、ジャケットやカーディガンからのぞく胸元が優雅で、繊細なネックレスも似合います。
■4:美しいテーパードでブーツにも映える、短め丈の「ツープリーツパンツ」
美脚シルエットのパンツに定評のあるセリーヌらしく、新たに考案されたパンツも期待に違わぬ仕上がりです。クラシックな細身とワイドなストレートと、ツープリーツ。特にツープリーツはテーパード加減が絶妙で、だれがはいても様になります!
■5:「カシミヤニット」は、コンパクトなサイズ感が旬のスカートと好相性!
ベーシックなクルーネックニットのなかでも、きちんとして見える比較的コンパクトなレギュラーフィットで、ミドルゲージの黒が長袖と半袖で登場。人気のひざ下丈スカートと合わせやすいサイズ感です。しっかりとしたリブで、ハイゲージにはない趣も新鮮!
■6:ボックスプリーツが優雅に広がる絶妙なひざ下丈の「ツイードスカート」
ハウンドトゥースやツイードなど、メンズライクな英国調の素材も、スカートなら女らしく取り入れられます。今季はロングブーツが映える絶妙なひざ下丈が理想的。ボックスプリーツもこの丈なら広がりすぎず、生地の適度な重みで、優雅で上品な揺らめきが生まれて。
※掲載した商品は、すべて税抜です。
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- PHOTO :
- 佐藤 彩
- EDIT&WRITING :
- 藤田由美、矢野絵梨佳・竹市莉子(HATSU)、喜多容子(Precious)