いつもの街の景色がステキに変わる! 猪飼尚司の街ぶら、アート散歩

猪飼尚司さん
編集者
(いかい ひさし)大学でジャーナリズムを専攻後に渡仏し、1996年に帰国。現在はデザイン、アート、建築を中心に活動。インテリアスタイリスト・作原文子らとの新著『Tools 2019』(オークラ出版)が好評発売中。

東京の玄関口・丸の内はアートが満載! 美しい駅舎とビルの隙間に隠れる彫刻たち

「麗子像」で知られる画家、岸田劉生の没後90年記念展のために、東京ステーションギャラリーへ。久々の東京駅だったので、散歩がてら丸の内界隈をぐるりと一周。

日本近代建築の祖・辰野金吾が手がけたJR東京駅

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ドーム部分や切妻(きりづま)屋根(三角屋根とも呼ばれる、ふたつの面だけで構成されたシンプルなつくりの屋根)など、今の3階部にあたるところは全面的に復原されたもの。

赤レンガの外壁が印象的なJR東京駅の駅舎は、日本近代建築の祖と呼ばれる辰野金吾が1914年にベースを完成させたものですが、戦火で一部が崩壊。2000年代に入り大規模な復原工事が始まり、耐震や保全を加えて2017年にほぼ創建時の姿に復興されました。

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8角形の天井に施された干支をモチーフにした8つのレリーフは、それぞれに方角を示している。

正統派のたたずまいに加えて気に入っているのは、丸の内の南改札、北改札上にあるドーム。淡いレモンイエローとペパーミントグリーンの壁に、真っ白な鳳凰や干え支とのレリーフが施されていて、なんともかわいらしい。

実は、計16の彫刻作品が立ち並ぶアートストリート、丸の内エリア

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左/イタリアを代表する彫刻家、エミリオ・グレコが1971年に手がけた「うずくまる女 No.3」。三菱一号館美術館裏の中庭に置かれている。右/動物をモチーフにした彫刻作品を2000年ごろから手がけているアーティスト、三沢厚彦の「Animal 2017-01-B2」。等身大の迫力ある作品だ。

駅舎を出て、いくつものブティックやレストランが並ぶ、丸の内エリアへ。実はこのエリア、丸ビルのちょうど裏手にある丸の内仲通りを中心に、計16の彫刻作品が立ち並ぶアートストリートなのです。

エリア再開発の旗手である三菱地所と彫刻の森芸術文化財団とが共同で、近現代の作家をチョイスして設置。定期的に作品の入れ替えも行われているので、訪れるたびに新しいアートに巡り合うことができます。

プロダクトデザインの第一人者・渡辺力がデザイン!第一生命本社ビル前の「ポール時計」

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重厚な建物に調和するように、インデックスには数字の代わりに正方形のブロックをシンプルに配置した。

そして、駅に戻る前に必ず立ち寄るのが、第一生命本社ビル前に置かれた「ポール時計」。この時計は、1972年に渡辺力(りき)がデザインして設置したもの。

渡辺力は、戦後の日本における産業復興と近代デザインの発展に尽力し、家具からバイク、家電に至るまで、幅広い分野で活躍したプロダクトデザインの第一人者。ポップで視認性もいいことから、2年前には腕時計にも展開している人気のデザインです。

※本記事は2019年10月7日時点での情報です。

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EDIT :
剣持亜弥・宮田典子(HATSU)、喜多容子(Precious)