今季の着こなしには、新しいブーツは必要不可欠
今季のランウェイでは各ブランドで、ブーツを主役にしたスタイルに注目が集まりました。ショートブーツはバリエーションも豊かに。近年、影をひそめていたロングブーツも、鮮やかにカムバック。ブーツが流行最前線に躍り出た理由を、ファッションジャーナリストの藤岡篤子さんにうかがいました。
「着こなしがベーシックやトラッドへと原点回帰した今、足元にボリュームをもたらし、アクセントとして楽しむ傾向があります。スニーカー人気が一段落したことも理由のひとつに」。
「正統派のスタイリングを完成させるためには、ロングブーツはなくてはならない存在です」
足元のバランスは、おしゃれを左右するもの。ロシャスのルックを見ても、ブラウス×タイトスカートで正統派であっても、ブーツを合わせることで、旬の表情をもたらします。
また、マックスマーラのように、コートの装いも、ブーツまでトータルカラーでまとめることで、よりモダンに。
ロングブーツに人気が集まった理由として、スカートのバリエーションが増えたことも要因になっているそう。藤岡さん曰く「スカートのレングスもひざ下やミディ丈が増え、ギャザーやスリット入りのタイトスカートなどデザインもさまざま。多様化するスカートのデザインを受け止めるという役割でも、ロングブーツが頼りになるのです」。
エルメスのルックのように、ひざ下丈のタイトスカートにロングブーツを合わせて、肌を見せないスタイルも今季らしいバランスに。
「ショートブーツはデザインのバリエーションも広がり、着こなしのアクセントに活躍」
一方、ショートブーツは、エレガントなものからトレッキングタイプまで、バリエーションが増えているそう。
「私自身も、今季はちょっぴりマスキュリンなデザインのショートブーツを新調したいと考えています。ベーシックな着こなしでも、足元から旬を取り入れるだけで、着こなしの鮮度が上がるからです」と藤岡さん。
ザ・ロウのようなボリュームのあるショートブーツをフェミニンな装いに合わせるMIX感にも注目が。 大人にふさわしい今季のブーツスタイル。ホテルのラウンジやレストランなど、フォーマルな場面にも臆することなく楽しみたいもの。
藤岡さんは、今季はシーンレスでブーツを楽しめると断言。
「きちんとしたシーンでブーツを楽しむならば、やはり品のある色や上質な素材にこだわるべき。今季はこれまでになかった色や素材が登場し、ブーツがよりエレガントに進化しています。ベルベットなどドレッシーなタイプを選ぶのも華やかなシーンに映えそうです」。
ジル サンダーのルックのように、上質なコートのサポート役として合わせる着こなしは、今すぐに真似できて、オンからオフまで活躍。
また、フェンディで見つけた、ドレスに合わせたエレガントな着こなしも、冬のパーティシーンなどに変化をもたらしてくれる期待大。
足元のバランスががらりと変わった今シーズン。ブーツから着想するおしゃれは、この時期ならではの楽しみのひとつです。ランウェイのルックを参考にしながら、ぜひ、ブーツを取り入れた新しいおしゃれに挑戦しましょう。
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- TEXT :
- 藤岡篤子さん ファッションジャーナリスト
- BY :
- 『Precious11月号』小学館、2019年
- EDIT :
- 川口夏希、遠藤智子(Precious)