昨今、「健康住宅」という言葉を、目にしたり耳にしたりすることはありませんか?

将来、新築で家を建てる予定のある方や、リフォームを考えている方。理想の家づくりを叶えるために、広くて使いやすい、オシャレさなどの視点も大切ですが、「健康」というキーワードも気にしていきたいものです。

今回は、その「健康住宅」=「健康を考えた住宅」に住むことで得られる効果や、一生、満足できる家を建てるために、絶対に譲ってはいけないポイントなど、家を建てるときの秘訣を、千葉県で40年の歴史をもつ、健康住宅を手がける工務店、早稲田ハウス株式会社の社長・金光容徳さんに伺いました。

「健康住宅に住んだら、お肌の調子が良くなった!?」体験者のリアルな声

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健康住宅で悩みが改善

健康住宅とは何か、ということを知るために、まず健康住宅に住むと何が変わるのか、金光さんに伺ったところ、健康面での改善効果はたくさんあるといいます。

実際、健康住宅に住むようになった人からは、次のようなリアルな声が挙がっているのだとか。

「お肌の調子がよくなり、お化粧のノリもよくなった」
「朝起きたとき、髪の毛がパサつかずしっとりしていた」
「アトピーが改善した」
「喘息の咳が止まった」
「花粉症が改善した」
「アレルギー性鼻炎が改善した」
「朝起きたとき、鼻をかまなくてよくなった」
「鼻詰まりが無くなり、よく通るようになった」
「偏頭痛がよくなった」
「血圧が正常になった」
「不眠症が解消され、よく眠れるようになった」

多くの人が悩まされている症状が、改善された人もいるなんて聞くと、気になってしまいますね。

「みなさんに共通するのは、健康住宅に住んでよく眠れるようになったということです。つまり『寝室』が変われば生活が変わり、やがて人生までもが変わるということです。

実際、『69歳で人生が変わった』『家族3人、今が人生で一番幸せ』『息子が生まれたのはこの家のおかげ』などの、うれしいお言葉をいただいています」と金光さん。

健康は最大の財産といわれますが、住宅が健康に与える影響も大きいのですね。

後悔しない家づくり・家の購入のためのチェックポイント5つ

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後悔しないために知っておきたいこと

ますます健康住宅のことが、知りたくなってきましたね。 一体、どんな工夫がされている家なのでしょうか? 金光さんは次のように話します。

「WHO(世界保健機関)は、『住まい』は住む人の健康を決定する、大切な要因のひとつである、と位置づけています。つまり、住まいは人の健康に大きな影響を及ぼすということですが、日本では、あまりそのことを意識して住まいづくりをしているようには思えません。住めば住むほど健康になれる住まい。そんな住まいが、今の時代は求められているのではないでしょうか」(金光さん)

では一体、どんな住まいが健康に良いのでしょうか? 具体的なポイントを、さらに金光さんに伺います。

■1:床、壁、天井などの「素材」は限りなく自然に近いものを!

「人が起きているときも、寝ているときも、一秒たりとも欠かすことのできないのが『呼吸』です。つまり空気が、きれいかどうかが大変重要となります。まず何といっても第一にこだわりたいのはは『素材』です。室内の床、壁、天井などの素材は人体に多大な影響を及ぼしますので、よく内容を吟味していただきたいところです」

【素材の選び方】

限りなく自然に近い・化学物質の含有率が限りなくゼロに近い「素材」

「選び方の基準は、その素材が『限りなく自然に近いものであるか』という点と、『化学物質の含有率が限りなくゼロに近いか』という点です。ひと口に健康住宅といっても千差万別で、自然素材の質は大きく異なります。化学物質が多く含まれていることもありますので、ここは詳しくチェックしていただきたいと思います」

やわらかい「床材」

「床材は従来、硬めの素材が多く用いられていましたが、それは傷がつきにくいという理由と、耐久性が重要視されていたからです。

しかし、住まいは誰が主役なのでしょうか? それはまぎれもなくそこで暮らし生活を営む『人』です。そうすると硬い素材よりは、むしろやわらかい素材を使ったほうが、体にやさしいのではないかと思います。

これまでたくさんの床材を使ってきましたが、宮崎県産のオビ杉はとても好評です。実際に住んでいただいたお客様の多くは冬でも素足で歩き、腰痛もちのお客様は、歩いても腰に負担がかからないので楽でうれしい、とのお言葉を頂戴しました。やわらかいので傷がつきやすいなどのデメリットはありますが、それを補っても余りあるものがあるようです」

仕上げ材は「珪藻土」

「壁・天井の仕上げ材ですが、ここにはぜひ、調湿効果と消臭効果が抜群の、稚内産の珪藻土をおすすめいたします。珪藻土はそれ自体では塗ることができませんので、接着させるための材料が混入されています。

その接着剤に化学物質が入っていることがよくありますので、ここはしっかりと確認していただきたいところです。ちなみに弊社の珪藻土は“天然のり”を使っています」

■2:これ以上に大切な空間はない!「寝室」はもっとも重要

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寝室は最も大切な部屋

「次に住まいをプランニングする際、最も大切なお部屋はどこか?ということに着目してみましょう。注文住宅などでよく見られる光景は、お客様がキッチンや洗面、お風呂などの住宅設備やリビングダイニングなどについて、目を輝かせながら打ち合わせをしているシーンです。

しかし、なんといっても一番は『寝室』です。理由は、一日約7時間、人生のおよそ3分の1を過ごす、大切なお部屋だからです。一般的に、寝室を最重要視しているハウスメーカーさんはあまり多くありませんが、健康を第一に考えたとき、寝室以上に大切なお部屋はない、といっても過言ではありません」

■3:勉強よりも睡眠できる環境をつくってあげたい「子ども部屋」

「第3のポイントは、子ども部屋です。子ども部屋はひとりでこもって勉強する部屋というよりも、お子様の成長には欠かすことのできない、良質の睡眠が摂れるお部屋にし、2番目の『寝室』と同じような環境をつくってあげていただきたいと思います。

今は、子どもの睡眠が危ないと言われていますが、私はその大きな原因のひとつが、『子ども部屋の室内環境』にあるのではないかと思っています。お子様がぐっすり眠れる環境さえ整えてあげさえすれば、お子様方は自然と眠れるようになる、と私は考えています。昔から言われるように、『寝る子は育つ』です」

■4:広めの空間を確保することをおすすめしたいのが「トイレ」

「第4のポイントはトイレです。一般的にトイレは狭いところが多いのですが、ここは思い切って広くしてみてはいかがでしょうか? 理由は、人が世界でたったひとつの『ひとりきりになれる、かけがえのない場所』だからです。

ほっとひと息つけるトイレは、アイデアが浮かぶ場所にもなります。そして、ご自身の健康状態を、毎日確認できる場所でもあります。その意味で、トイレは設備を充実させることも大切ですが、広めの空間を確保することもぜひ行ってみてください。床はタイル、壁と天井には抗菌と消臭効果のある稚内産の珪藻土(けいそうど)がおすすめです」

■5:「床暖房」で空気をきれいに保つ

「第5のポイントは、室内の空気をできるだけきれいに保つという意味で、『床暖房』の設置をおすすめいたします。冷暖房は埃を舞い上げるため、空気が汚れてしまう恐れがあるためです。冬の寒い時期でも、足元から温まるのは、本当に気持ちのよいものです。よほど寒いときでなければ、ほかの暖房器具を使わなくても大丈夫。もちろんトイレもです。

そして一般的には床暖房を使用するとき、無垢材はむずかしいといわれて敬遠されがちですが、無垢材のうち、『オビ杉』は床暖房との相性もピッタリです」

以上、後悔しない家づくり・家の購入のための5つのチェックポイントをご紹介しました。最後に金光さんは、これらを実現するために必要な態度が「五感で判断すること」、実践したいことが「試しに住む」だと提言してくれました。

自分の五感で判断する

「どの健康住宅がよいかということは、見た目だけではく、ご自身の五感で判断されることが、最も大切だと思います。赤ちゃんやお子様がいらっしゃる方は、その様子をつぶさにご覧になっていただければ、自然とわかります。赤ちゃんやお子様方は、居心地のよい環境に包まれると、泣いたりぐずったりすることなく、静かで穏やかにお過ごしになります。

みなさんも海や山へ出かけ、きれいな空気を吸ったとき、いつの間にか深呼吸していて、疲れた心と身体がスーッと楽になるのを、経験したことがあると思います。この深呼吸できるような、自然豊かな森のような環境こそが、住まいに求められているのではないでしょうか」

「試住」のススメ

「住まいは一生ものなので、必ず一晩ご家族で宿泊体験されることをおすすめいたします。飲み物には『試飲』があり、食べ物には『試食』が、着るものには『試着』があり、車には『試乗』があります。これはと思う健康住宅がありましたらぜひ『試住』されてください」

「健康住宅」購入のポイントまとめ

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五感を信じ、居心地のよさを肌で確認

健康住宅を建てる際のポイント、これから家を建てるときに大切なことがなんとなくつかめたのではないでしょうか? 改めてまとめますと…

1.「健康住宅」という言葉に惑わされず、自身の目で素材のひとつひとつに化学物質が含まれていないかを、成分表などで確認する。

2.自身の五感を信じ、居心地のよさを肌で確認する。

3.建ててしまってからでは遅いので、一生住んでも大丈夫な住まいかどうかを家族全員で宿泊し、ぐっすり眠れるかどうかを確認する。

以上、「本当に良い住まいとは、家族全員が『ぐっすり眠れる家』のこと」と力を込めて話してくれた、健康住宅を手がける工務店、早稲田ハウス株式会社の社長・金光容徳さんのお話をまとめてみました。

住宅の購入・建築を検討される際には、ぜひこれらのことを思い出していただき、健康かつ心地よく住まうための家づくりを重視してみてはいかがでしょうか?

金光容徳さん
早稲田ハウス株式会社社長
(かねみつ・ようとく)1951年、千葉県生まれ。1977年に早稲田ハウス株式会社を設立、30周年を機に「健康住宅専門店」にシフト、「究極の寝室」を開発。寝室から社会を変えるをモットーに鋭意活動中。
この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
WRITING :
石原亜香利
EDIT :
安念美和子、榊原淳
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