日産「エクストレイル」が追求する 安心で安全というラグジュリー
車高があり、あらゆる路面での走破性に長けた4WD車のことをSUV(スポーツ用多目的車)と呼ぶようになって久しい。1990年代前半頃までは、そういったクルマを指す言葉は、主に「クロスカントリー4WD」だった。当時は、頑丈な車台の上にボディを載せたラダーフレーム構造が中心で、デザインも武骨なものが多かったが、今ではボディ全体で強度を保つモノコック構造が主流だ。
「古き良きクロカン」からモダンSUVへ
ラダーフレームを続けているのは、メルセデス・ベンツ「Gクラス」、ジープ「ラングラー」、トヨタ「ランドクルーザー」など少数派になってしまった。ちなみに、なぜこれらのクルマが古典的なフレーム構造なのかというと、軍用車由来だったり、海外の未舗装路が多い地域で大きな需要があるからだ。クルマが走行不能になると命にかかわる状況では、横転などでボディが損傷してもラダーフレーム構造なら走行はできる。反面、モノコック構造の場合、同じような状況ではホディに歪みが生じ、最悪の場合、走行不能になってしまう。もちろん、舗装率が高く、トラブルが起きてもレスキュー体制が確立されている現在の日本では、モノコック構造で何ら問題はないし、技術の進歩はかつてないほど強固なモノコックボディを可能にした。
別荘への往復で威力を発揮する「プロパイロット」
現在、日本で一番売れているSUVが日産「エクストレイル」で、当然モノコックボディだ。昔のラダーフレーム構造の4WDよりも乗り心地は快適だし、電子制御4WDをオートモードにしておけば、路面状況に応じて最適な駆動力を配分してくれる。しかも、3世代目となる現行モデルには、エンジンやブレーキを制御して、起伏の激しい路面での振動を抑える機能(インテリジェント・ライドコントロール)まで付くうえ、ハイブリッド車も選べる。自然豊かな場所に構えた別荘に通う場合、当然ながら長距離を走るわけで、経済性に加えて静粛性にも優れるハイブリッドシステムは、快適性を高める。さらに、今年6月に登場した改良型では、高速道路の同一車線上における自動運転支援技術「プロパイロット」も装備された(一部グレードにオプション設定)。週末の住み処に向かったり旅をするとき、その行程のほとんどは高速道路なわけで、簡単操作で設定でき、速度と操舵を自動制御するこのシステムの恩恵を受ける機会は多い(注:支援システムが稼働しているときもステアリングに手を添えていなければならない)。昔ながらの本格派に憧れるのは男の性とはいえ、やはり安全にかかわる機能が強化された最新SUVに勝るものはない。ドライバーを全方位で支援する「エクストレイル」は、いわば冒険好き紳士のための、ラグジュアリーな遊び道具なのである。
〈日産・エクストレイル 20X ハイブリッド(4WD)〉
全長×全幅×全高:4690×1820×1730㎜
車両重量:1640kg
排気量:1997cc エンジン:直列4気筒DOHC+モーター
最高出力:147PS/6000rpm
最大トルク:207Nm/4400rpm モーター
最高出力:30kW モーター最大トルク:160Nm 駆動方式:4WD
トランスミッション:CVT 価格:309万8520円(税込)
問い合せ 日産自動車 TEL;0120-315-232
- TEXT :
- 櫻井 香 記者