英独のテクノロジーを注入!

ちょっと手軽なアストンマーティン

英国産GTに導入された新たな試み

「DB11」にメルセデスAMGのパワーユニットを注入!
「DB11」にメルセデスAMGのパワーユニットを注入!

英国車と映画版のジェームズ・ボンドが好きなら誰もが知っている、アストンマーティン。その中核モデルにして、かつての経営者だった実業家のデヴィッド・ブラウンのイニシャルを冠した「DB」シリーズは、昨年登場した最新世代の「DB11」において、爆発的な加速をみせるパフォーマンスと、実質的にオーダーメイドで仕立てられた神々しいほどのたたずまいを身に着けた。その洗練度は素晴らしく、英国の伝統であるバックヤードビルダー(ガレージでクルマを組み立てたりチューニングする作り手)を発祥とし、プレミアムなスポーツカーブランドとして名を馳せたのちも、ひと昔前までは手仕事ならではのある種の荒々しさ(いい意味で)を感じさせたのが嘘のようだ。

見た目はほとんど同じだが…

V12モデルとの外観の差異はわずか。ホイールは専用デザインの20インチを履く
V12モデルとの外観の差異はわずか。ホイールは専用デザインの20インチを履く

近年、アストンマーティンが洗練を極めた要因として、1980年代後半から2007年までフォードグループに所属していたことが挙げられる。手仕事の良さは残しつつも効率的な生産方法を取り入れ、特にエンジンなどのパワートレインはフォード時代の遺産を元に、自社でうまくアレンジしてきた。2013年からはメルセデス・ベンツの高性能車部門、メルセデスAMGと技術提携を結び、パワートレインや電装系部品が供給されるようになった。その成果が、6月末に日本で披露された「DB11」のV8エンジンモデルで、自社製の5.2リッターV12ツインターボエンジンを積む“スタンダードな” 「DB11」との違いは、メルセデスAMG製の4リッターV8ツインターボを除けば、外観のわずかな差異のみ。日本での価格は公表されていないものの、V12モデルよりも200万円ほど抑えられるはずだ。

エンジンの違いよりも大事なこと

ほどよくタイトでラグジュアリーなインテリア。プロトタイプにはインディゴブルーレザーがあしらわれていた。鮮烈な色使いやウッディーな素材で仕立てることもできる。
ほどよくタイトでラグジュアリーなインテリア。プロトタイプにはインディゴブルーレザーがあしらわれていた。鮮烈な色使いやウッディーな素材で仕立てることもできる。

お披露目されたのはプロトタイプにつき、現時点で両モデルのパフォーマンスの違いを確認することはできないが、少なくともV8モデルがいきなりドイツ車的な乗り味になることは決してないし(搭載にあたってはアストンマーティンのエンジニアリングがしっかり投入されている)、そもそも英国の至宝を欲する紳士にとって、もはやV8かV12かは大きな問題ではないはず。すでに受注は始まっていて、今年の後半には東京の新たな本拠地が青山に開設されるなど、アストンマーティンの販売体制が強化されることも含め、「モデルの選択肢が増える=納期が早まる」と受け取ることもできなくはない。試乗の機会を待ちながら、まずは英国車ならではの豊富なカラーバリエーションやインテリアの素材を吟味して、自分だけの1台を夢に描いておこう。

〈アストンマーティン・DB11(V8エンジン搭載車)〉
全長×全幅×全高:4750×1950×1290㎜
車両重量:1760kg
排気量:3982cc
エンジン:V型8気筒DOHCツインターボ
最高出力:503bhp/6000rpm
最大トルク:675Nm/2000~5000rpm
駆動方式:2WD
トランスミッション:8AT
参考価格:2115万5400円(英国での販売価格を1ポンド=146円で計算) 
問い合せ アストンマーティン東京 準備室(南麻布) TEL:03-5410-0070
アストンマーティン オフィシャルウェブサイト https://www.astonmartin.com/ja/aston-martin

この記事の執筆者
TEXT :
櫻井 香 記者
2017.7.5 更新
男性情報誌の編集を経て、フリーランスに。心を揺さぶる名車の本質に迫るべく、日夜さまざまなクルマを見て、触っている。映画に登場した車種 にも詳しい。自動車文化を育てた、カーガイたちに憧れ、自らも洒脱に乗りこなせる男になりたいと願う。