豊島区目白。学習院をはじめとする多くの教育機関があるせいか、折り目正しい印象が強い。しかし夜な夜なのど自慢の大人がある店があると、今宵のパートナー木村さんが教えてくれた『バー エミーズ』へ。

カラオケ好き常連のため、できるだけ最上の設備を

『バー エミーズ』常連の木村さん。女性客でも入りやすいスマートなエントランス
『バー エミーズ』常連の木村さん。女性客でも入りやすいスマートなエントランス

木村さんが通い始めて5〜6年になる『バー エミーズ』の扉を開ける。バックバーで優雅に咲き誇るユリの花が美しい。

ユリの花やリカーが規則正しく並べられている
ユリの花やリカーが規則正しく並べられている

カウンター8席、10人ほどが座れるソファ席がある、黒を基調にした品のある店内では先客たちが思い思いに歌っている。木村さんからの前情報どおり、皆一様にうまい。懐メロやアニソンと、元の歌をなぞるような歌い方ではなく、自分らしくアレンジした技巧者ばかり。

元々客だった宮野さんが2代目オーナーを引き継いだ『バー エミーズ』は、1997年オープン。客同士で点数勝負をよくしていたほど、歌好きで上手な常連が多かった。

2代目オーダーの宮野さん。学生時代にここでのバイトを経て、店を引き継いだ
2代目オーナーの宮野さん。学生時代にここでのバイトを経て、店を引き継いだ

「カラオケ好きなお客さんに、できるだけ音響のいい環境で楽しんでほしい。だから可能な限り最新のカラオケ機器を導入しています」

プロも歌手やPAエンジニアに音の調整までしてもらっているのがこだわりだ。

バーとスナックの中間のようなスタイル、清潔な内装も、一見や女性ひとり客が安心してすごせるための配慮だろう。しっかりと心配りをしながらも宮野さんの態度は押しつけがましくない。女性の常連が多い店ならではの繊細な気遣いが感じられた。

イギリス留学時代に、スナックを恋しく感じるように

木村さんがキープしていたボトルが切れていたので、新たにザ・グレンリベットをオーダーしてハイボールで乾杯だ。

ボトルキープしたザ・グレンリベットにサインする木村さん
ボトルキープしたザ・グレンリベットにサインする木村さん

のどを湿らせたら、木村さんのスナック遍歴から尋ねよう。

「子どもの頃、父に新宿の店へよく連れられて行っていたのが最初のスナック体験ですね。20代の頃はイギリスに住んでいて、飲みに行くとなったらパブやバー。イギリスにスナックはなくて『スナックって日本独自の文化なんだ』って知ると同時に、あのしっぽり歌う感じが懐かしくて(笑)」

「お酒が強いタイプではなかったのですが、スナック通いをするうちに飲めるようになりました」と木村さん
「お酒が強いタイプではなかったのですが、スナック通いをするうちに飲めるようになりました」と木村さん

帰国した30代中盤の頃から、友人に連れられて行くようになり、改めてスナックの素晴らしさに目覚めたという。

「ゆっくり飲めるし、いろんな人とおしゃべりできて、もちろんカラオケもできる。スナック最高だー、って(笑)」

そこから自分でも地方を手始めに、スナック通いを始めたそうだ。

「東京よりも地方の方がアットホームな印象があって、出張や旅行のついでに攻めていました。そうしたらどんどんスナックの魅力に取り憑かれて(笑)。東京でも店を探すようになりましたね」

BOSEの音響をはじめ、こだわりの設備。スタンドマイクで歌うこともできる
BOSEの音響をはじめ、こだわりの設備。スタンドマイクで歌うこともできる

そんな中、友人に教えてもらったのがこの店。女性ひとりでも訪れやすい雰囲気だったことから、多いときは週に1度のペースで通っていた時期もあったという。

「ひとりで来る常連さんが多いからすぐ仲良くなれちゃう。そんなところが通う理由ですね」

壁には常連をはじめとする客の思い出が貼られている
壁には常連をはじめとする客の思い出が貼られている

「そろそろ歌いませんか?」

そう木村さんに促されて、後編はお待ちかねのカラオケタイムだ。

【バー エミーズ】

バー エミーズ

問い合わせ先

  • バー エミーズ TEL:03-5906-5241​
  • 住所/東京都豊島区目白3-5-11 NOBビル2F
    営業時間/18:00〜26:00
    定休日/日曜
    メニュー/ショットチャージ¥2,000、グラスワイン¥900〜、瓶ビール・ウイスキー・焼酎・リキュール¥1,000〜 ボトルキープチャージ¥4,000、焼酎ボトル¥5,000〜、ウイスキーボトル¥8,000〜、カラオケ無料
この記事の執筆者
フリーランスのライター・エディターとして10年以上に渡って女性誌を中心に活躍。MEN'S Preciousでは女性ならではの視点で現代紳士に必要なライフスタイルや、アイテムを提案する。
PHOTO :
小倉雄一郎