「ディトーズ」が、オープンして間もない頃から人気のモデルのカバーコート。元々、馬に乗って狩猟をするためのアイテムとして誕生したことから、短い着丈の箱型のスタイルだった。後に、洗練されて、ひざにまで届く長い着丈のスタイルに進化。野山に溶け込むような、ブラウンやグリーン系のメランジ調の糸で織り上げた、カバートクロスと呼ばれる生地使いがコートの名称の由来。茂みの草木にひっかかりにくくするため、生地表面を滑らかに仕上げた風合いも魅力となる。1950年代、英国のフォトグラファー、セシル・ビートンも愛用したカバートコートなら、カントリージェントルマンの矜持も体現できる。

こだわりの英国仕立てを貫き通す
Ditto'sディトーズ

 英国のメンズスタイルを歴史的な背景からひもとき、洒落者たちから絶大なる信頼を得ている、「ディトーズ」のマスターカッターでありオーナーの水落卓宏氏。銀座の名店「壹番館洋服店」で学び、イタリア最高峰のスーツブランドのマスターテーラーを務め、自身が最も愛情を注げる英国仕立てに行き着いた、腕利きの職人である。どっしりとした英国産の生地を使って、仕立てても「ディトーズ」のコートは、繊細なバランスが備わる。

 「コートは、ほんの数センチの着丈の違いでも、まったく見栄えが変わります」

 水落氏が、コートづくりで大切にしているのは、着丈のバランス。機能的な意味まで掘り下げた細部のつくり込みに凝ると同時に、着用する人の絶妙な着丈のバランスを摑み取って仕上げるからこそ、男らしさと気品がかもし出される最高のコートに仕上がるのである。カバートコートは、英国のカントリージェントルマンが愛用した、歴史的なスタイルのひとつで、巧みな仕立てを堪能できるディテールの宝庫でもある。「ディトーズ」の超絶技で、一生もののコートを味わいたい。

1.1950年代頃から流行した、フラップをデザインした胸ポケット。同時代的には、モッズコートにも見られるディテールだが、「カバートコート」の象徴的な表情を演出する。2.上襟に用いた気品あるビロード素材は、チェスターフィールドコートのような洗練されたディテール。そして、狩猟用コートの機能的な仕様でもあると、水落氏は解釈する。3.藪のなかでコートのすそを枝などにひっかけても、生地がほつれないように堅牢性を高めるレールドステッチ。4~5本が基本スタイル。そで口にも同様のステッチを施している。
1.1950年代頃から流行した、フラップをデザインした胸ポケット。同時代的には、モッズコートにも見られるディテールだが、「カバートコート」の象徴的な表情を演出する。2.上襟に用いた気品あるビロード素材は、チェスターフィールドコートのような洗練されたディテール。そして、狩猟用コートの機能的な仕様でもあると、水落氏は解釈する。3.藪のなかでコートのすそを枝などにひっかけても、生地がほつれないように堅牢性を高めるレールドステッチ。4~5本が基本スタイル。そで口にも同様のステッチを施している。
ウエストをあまりしぼらずに、カントリースタイルの雰囲気を残したナチュラルシェイプが絶妙。足さばきをよくするための、コート必須のディテールとなるセンターベントも、まるで後ろ身頃に溶け込むような巧みで繊細な仕立て。後ろ姿にも気品が漂う仕上がりだ。
ウエストをあまりしぼらずに、カントリースタイルの雰囲気を残したナチュラルシェイプが絶妙。足さばきをよくするための、コート必須のディテールとなるセンターベントも、まるで後ろ身頃に溶け込むような巧みで繊細な仕立て。後ろ姿にも気品が漂う仕上がりだ。

スーツももちろんだが、一生もののコートはやはりオーダーでつくるべき。何事もはじめが肝心。ぜひ、トライして見てはいかがだろう。

オーダーできる他のコート/フルオーダーの場合、テーラードタイプのコートは、多様なモデルで対応
オーダーの形式/フルオーダー、パターンオーダー
オーダーの仕方/要予約
期間/フルオーダーは約半年(仮縫い2回を含む)、パターンオーダーは約5週間
価格の目安/フルオーダー¥502,000~(写真のカバートコート¥570,000、パターンオーダー¥145,000~(※価格は2016年冬号掲載時の情報です。)
お問い合わせ先
ディトーズ
TEL:03-6438-9313
http://www.dittos.jp

この記事の執筆者
TEXT :
矢部克已 エグゼクティブファッションエディター
BY :
MEN'S Precious2016年冬号 凄腕仕立て職人の渾身の技をフルオーダーで堪能せよ!「一生ものコート」なら、ビスポークすべしより
ヴィットリオ矢部のニックネームを持つ本誌エグゼクティブファッションエディター矢部克已。ファション、グルメ、アートなどすべてに精通する当代きってのイタリア快楽主義者。イタリア在住の経験を生かし、現地の工房やテーラー取材をはじめ、大学でイタリアファッションの講師を勤めるなど活躍は多岐にわたる。 “ヴィスコンティ”のペンを愛用。Twitterでは毎年開催されるピッティ・ウォモのレポートを配信。合わせてチェックされたし!
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クレジット :
撮影/小池紀行(パイルドライバー/静物)、篠原宏明(取材/東京)、 小野祐次(取材/パリ) スタイリスト/武内雅英(code)  構成/矢部克已(UFFIZI MEDIA)