いいものに触れていると、とても気分がいい。その点で、アウディは細かな部分まで配慮がなされ、それがひとつの売りになっている。小さなA1スポーツバックも然り。試乗する機会があれば、作り込みの良さ、走りの気持ち良さを確かめて欲しい。
数値以上の迫力がある
モノはサイズの大小にかかわらず、クオリティが大切だ。ことはクルマでも同様である。はずなのだが、品質感の高いコンパクトカーには、なかなか巡りあえない。そこにあって、「アウディA1」は希有な存在だ。
クオリティ感抜群のハッチバックとして注目に値するのが、新型「アウディA1スポーツバック」である。2011年に初代がデビュー。19年11月に2代目へとフルモデルチェンジして日本にも登場した。
2代目はホイールベースが95ミリ延ばされて室内空間が広くなった。エンジンが1.4リッターから新開発の1.5リッターに換装されてパワーアップした。そしてフロントマスクが精悍になった。これらが特徴だ。
外観で目をひくのは多角形グリルの上に設けられた3つのスロットだ。1983年に世界ラリー選手権挑戦のための認証用モデルとして限定生産された、スポーツクワトロという特別モデルをイメージさせるデザインである。
バンパー一体型エアダムには巨大なブラックパネルがはめこまれていて、たくさんエアを入れて、前輪へのダウンフォースと、エンジン冷却に使うスポーツカーのような雰囲気すら強く漂う。
もうひとつ特徴的なのが、ルーフとピラーのデザインだ。AピラーとBピラーをブラックアウトした、いわゆるカンチレバー型ルーフが採用されている仕様もあるなど凝っている。さらに、ブラックの「コントラストルーフ」(+ブラックのドアマウンテッドミラー)を選べば、全長4040ミリという数値以上に迫力のある雰囲気なのだ。
細かい部分にまでこだわったつくり
走りは、積極的にエンジンを回して走ると、このクルマの持ち味が出る感じだ。「A1 35 TFSI COD」の1497cc 4気筒エンジンは、3000rpmあたりで力強いトルクを発生。このあたりの回転域での加速感は気持いい。
数値としては、110kW(150ps)の最高出力と、250Nmの最大トルク。最大トルクは1500rpmから3500rpmにかけて発生する設定なのだ。かつ、デュアルクラッチ式の7段「Sトロニック」変速機はスムーズなシフトフィールで、まるでマニュアル変速機のように、エンジンパワーを引き出して走る感覚を味わわせてくれる。
車名に入っているCODは、エンジン回転数がアイドリングに近い、いわゆる低負荷時に気筒が休止する「シリンダーオンデマンド」の略である。高速ではぽんぽんっと高めのギアが選択され、燃費モードに入る。
なによりいいのは、冒頭でも触れたクオリティ感だ。エッジを強調したアウディ独特のボディパネルをはじめ、ドアの開閉音、室内各種の操作系のタッチといい動作音といい、あらゆる部分に気配りされている。
アウディは1990年代に、乗るひとの感性に触れる部分を徹底的に作りこむことによる、いわゆる「アウディクオリティ」を実現して、自動車界に衝撃を与えた。いまでもアウディはトップクラスであることが、コンパクトなA1からでもわかるのだ。
オプションで、フルデジタルの計器盤や、ダッシュボード中央にはめこまれるインフォテイメント用のタッチスクリーン式モニターを選ぶことも出来る。
細かいけれど大事な点として、中央のモニターと計器盤が水平に並べられていることを指摘しておきたい。ドライバーにとって、視線を移動させるさい水平だと焦点を合わせる時間がごく短いのだ。安全な設計として評価できる。
価格は365万円から。「1st edition」(443万円)は、「ナビゲーションパッケージ」、アダプティブクルーズコントロールなどの「アシスタンスパッケージ」、コントラストルーフなどの「デビューパッケージ」:そしてリアビューカメラやデラックスオートエアコンなどの「コンビニエンスパッケージ」を備えている。
【アウディA1 Sportback 1st Edition】
ボディサイズ:全長4040×全幅1740×全高1435㎜
駆動方式:FWD
トランスミッション:7段ツインクラッチ
エンジン:14978cc直列4気筒DOHCターボ
最高出力:110kW(150PS)
最大トルク:250Nm
価格:¥4,430,000(税込)
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- 小川フミオ ライフスタイルジャーナリスト