四分の三世紀近くを生きてきて、様々な物に出会った。美しき物、珍しき物、楽しき物、便利な物や、時には厄介な物にも。そんな暮らしを彩る様々な物との出会いは楽しく、物を探す旅にはいつも心が躍ったものだった。いつの間にか蒐集した物は、小さな博物館のようになっていて、それらひとつひとつとの思い出は尽きないのだが、これでもう満足かといえばそうではなく、まだまだ手に入れたい物があるわけで。
それらを僕はわが『未来遺産』として探し求めようと思うのだ。
ミニマルなデザインが美しいツァイスのコンデジ「ZEISS ZX1」
たとえば十代から始めた写真の世界だと、初めは借り物のカメラによる撮影だったが、やがて自分のカメラを手に入れることができるようになると、様々なカメラやレンズとの出会いがあった。
評価の高いツァイスのコンタレックス系のレンズや、スイスのアルパ用マクロスイター、もちろんライカの様々なレンズなど、フィルムカメラ時代のレンズを、デジタルカメラのボディーに装着し、自分好みの作画を楽しんでいるから、僕の周りには戦前から現代までの、名品や珍品レンズが結構揃ったのだった。
またライカ『Q』というフルサイズのコンパクトカメラも手に入れて、そろそろカメラ集めも一段落と考えていた。
カメラ史に名を刻むであろう名機
しかしここにきて、とても気になるカメラが作られたという情報を得てしまった。それはツァイスが開発した『ZX1』という、35mmフルサイズ・フレームのコンパクトデジタルカメラなのだが、このカメラは撮影機能のほか、カメラ内蔵のライトルームというソフトウエアによって、LAWやJ-PEGの現像ができ、そしてそれをドロップ・ボックスなどのクラウドステージに送信して保存ができるという、そのカメラ一台で完結できる万能さを誇るものなのだ。
また、512GBの内蔵メモリーによって、J-PEGなら5万枚もの画像をストレージできるというからすごい。未来的なフォルムとその性能が、未来遺産にふさわしいと思うのだ。
- TEXT :
- MEN'S Precious編集部
- BY :
- MEN'S Precious2019年秋号より
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- WRITING :
- 松山猛