ルノーのモータースポーツ部門がチューニング!

小さなボディに高性能を秘めた“ホットハッチ”なれど、過激な雰囲気は皆無だ。

スポーツカーをつくる多くの自動車メーカーは、市販車への技術的なフィードバックと宣伝活動を目的として、何らかの形でレース活動を行なっている。

現在は中・小型の実用車を主体とするフランスのルノーも例外ではなく、「ルノー・スポール」というモータースポーツ部門が、F1をはじめとする数々のレースに関わっている。

それだけに、ルノー・スポールの手が入ったスペシャルモデルというと、ガチガチの硬派なスポーツカーを思い浮かべてしまうが、このたび導入された「ルーテシア ルノー・スポール シャシーカップ」(以下、「シャシーカップ」)に乗ってみると、そんな先入観はあっという間に吹き飛んでしまう。

実用性を維持しながらパフォーマンスを向上

シートやステアリングのステッチ、シートベルトが赤く彩られた専用仕立て。さりげないアピールがフランス車らしい。

「ルーテシア」は1990年から作られている小ぶりな実用ハッチバック車で、現行モデルは4代目。

「シャシーカップ」における標準モデルとの外観上の差は少なく、押し出しの強さでアピールする昨今のスポーツカーとは明らかに違う。

バンパーやホイールのデザインが専用品だったり、シート表皮に「R.S.」のロゴが付いてたりはするものの、エンジンを始動しても音は期待するほど大きくない。

走り出しもいたって普通。それでも、徐々にアクセルを踏み込んでいくと、標準モデルよりも約80馬力高められた1.6リッターターボエンジンが徐々に本性を見せ始める。パワフルなれどスムーズという言葉がぴったりの、上質なエンジンだ。

組み合されるトランスミッションは、EDCと呼ばれるデュアルクラッチ式の6速。ロスの少ない変速はもちろんのこと、ブレーキを踏みながらシフトダウン側の変速パドルを手前に引き続けると、6速→4速といった具合に、一気に複数段落ちる機能も付いている。走行モードは3つ。このうちスポーツモードでは変速が素早くなり、アクセルの反応も向上。同時にステアリングの手応えも増す(もうひとつ上のレースモードはサーキット走行用)。

2ペダルのトランスミッションは素早い変速をみせる。手元のレバーだけでなく、ステアリングのパドルでも操作できる。

上質な足回りは普段使いにも最適!

制動力と操舵性を磨き上げたルノー・スポーツの技術は、同時にしなやかで快適な乗り心地をも実現した。

「ルーテシア」のような前輪駆動車の場合、前輪に荷重がかかった状態でカーブを曲がっていくと、クルマが外側にはらんでいきがちだが(アンダーステア)、「シャシーカップ」では左右輪間の回転差を巧妙に制御し、狙い通りのラインを描ける。

そして、この巧みなスポーツ性能を支えているのが、専用のダンパーだ。ルノー・スポールがラリー分野で培ってきた技術が惜しみなく投入されていて、路面の凹凸にしっかり追従してグリップを失うことなく、乗り心地も極上という、実に凝ったシステムだ。

実用的なハッチバックの姿を維持しながら、スマートで上質なスポーツドライビングが楽しめる「シャシーカップ」は、普段使いでも気持ちいい。フランス人が作るクルマは、いつの時代も知的で奥が深い。

〈ルノー・ルーテシア ルノー・スポール シャシーカップ〉
全長×全幅×全高:4105×1750×1435㎜
車両重量:1290kg 排気量:1618cc
エンジン:直列4気筒DOHCターボ
最高出力:200PS/6050rpm
最大トルク:240Nm/1750rpm
駆動方式:2WD
トランスミッション:6EDC(AT)
価格:309万円(税込)
お問い合わせ
ルノー・コール
TEL:0120-676-365
http://www.renault.jp/

この記事の執筆者
男性情報誌の編集を経て、フリーランスに。心を揺さぶる名車の本質に迫るべく、日夜さまざまなクルマを見て、触っている。映画に登場した車種 にも詳しい。自動車文化を育てた、カーガイたちに憧れ、自らも洒脱に乗りこなせる男になりたいと願う。