後席に荷物を置くときなど、ドアは4枚あると便利。でも、あまり後席に人を乗せる機会は少ないという人におすすめなのが、4ドアクーペ。スタイリッシュな佇まいは、いつも颯爽としていたい紳士に合う。BMWの2シリーズに加わったグランクーペは、格好良く、刺激的で、快適。洋服の世界ではビッグシルエットが再び勢いを盛り返しつつあるが、クルマは(特に都市部でさくさく走るなら)ジャストフィットに限る。

スタイルを重視するひとへ

全長4540ミリ、全幅1800ミリ、全高1430ミリ(写真はM235i xDriveグランクーペ)。
全長4540ミリ、全幅1800ミリ、全高1430ミリ(写真はM235i xDriveグランクーペ)。
M235i xDriveグランクーペは、225kW(306ps)@5000rpm、450Nm@1750-4500rpmのパワーを持つ4WD。
M235i xDriveグランクーペは、225kW(306ps)@5000rpm、450Nm@1750-4500rpmのパワーを持つ4WD。

BMWが魅力的なニューモデルを発表した。「2シリーズグランクーペ」という、4ドアクーペ。日本では2019年11月に発表されているが、20年2月のリスボンで、ようやく実車に試乗できた。これがかなりよい仕上がりなのだ。

BMW2シリーズグランクーペは、さきに登場した新型1シリーズと基本的なシャシーを共用。つまり前輪駆動ベースで、フルタイム4WDモデルが設定される点も共通している。

1シリーズもいいクルマで、クラスでトップと評価したくなる出来だった。2シリーズグランクーペは、春を迎えつつあるリスボンの郊外を走りまわった結論として、輪をかけていい出来である。

乗ったのは、トップモデルの「M235i xDriveグランクーペ」と、ディーゼルの「220dグランクーペ」。前者はスポーティさがセリングポイントで、後者は日常の使い勝手が重視されるモデルといえる。

昨今、セダンに乗るひとのなかには、後席はごくたまに、ふだんは荷物を置く場所として使う、というひとが少なくないとか。そういうひとは、スタイルを重視する。

サイズは90年代の3シリーズ級

M235i xDriveグランクーペのダッシュボードはBMWらしく機能的。
M235i xDriveグランクーペのダッシュボードはBMWらしく機能的。
後席もヘッドルーム、レッグルームともに大人に充分な広さがある。
後席もヘッドルーム、レッグルームともに大人に充分な広さがある。

「そういうひとに高く評価してもらえると思います」。リスボンはテージョ川が大西洋にそそぐ河口の、美術館や洒落た商業施設が多く建つエリアに位置するデザインホテルを拠点にした試乗会場。そこでBMWの開発者は、デザインの意図を説明してくれた。

側面からみると、ルーフの前後長は長めで、かつショートデッキ(トランクが短く見えるスタイル)のプロポーション。加えてウィンドウグラフィクスのデザインで、後ろに流れるような印象を強調している。

全長は4526ミリに抑えられていて、90年代の3シリーズ程度のコンパクトさだ。市街地でクルマを使うひとには、適度なサイズだと思う。これも魅力になっている。

加えて、ドライブフィールがいい。M235i xDriveグランクーペはラインナップのトップモデルで、もっともスポーティな仕様だ。1998cc4気筒エンジンは、225kW(306ps)の最高出力と450Nmの最大トルクを持ち、フルタイム4WDシステムが組み合わされている。

高級大型セダンのような快適ぶり

左は220dグランクーペ、右はM235i xDriveグランクーペ。
左は220dグランクーペ、右はM235i xDriveグランクーペ。

足回りはしゃきっとしていて、ステアリングの反応も速く、走りを楽しむクルマに仕上がっている。高速での加速性といい、ワインディングロードでのハンドリングといい、かなり性能は高い。それでいて、乗り心地がいいのだ。

高速では路面に吸いつくように走るいっぽう、路面からのショックはていねいに吸収。車体が不安的に揺れることはいっさいない。ドライバーの目線はブレないし、後席を含めて乗員が突き上げによって不愉快な思いをすることもない。

乗り心地のよさは、220dでさらに驚かされた。こちらもBMWのディーゼル車だけあって、かなりパワフルでキモチよく走る。1995cc4気筒ユニットは140kW(190ps)と400Nmを発生。このクルマは前輪駆動だ。

2500rpmも回せばもりもりとトルクが出て、かつ静粛性は高い。ぼーっと生きてると、ディーゼルエンジンだと気がつかないだろう。そして、ひたすらしなやかに動く足まわり。

まるで高級大型セダンに乗っているような、みごとな快適性だと思った。それでいて、高速域やカーブで不安定性さはいっさいない。BMWのエンジニアに言わせると、「1シリーズよりも乗り心地をよくしようと専用の設定にしています」とのことだった。

おとなが乗るにはちょうどいい

ジャーナリスト向けのプレゼンテーション会場にて(こんなユーザーイメージらしい)。
ジャーナリスト向けのプレゼンテーション会場にて(こんなユーザーイメージらしい)。

エンジン音のみならず、トーボード(前席で足を置くあたりのフロア)からのロードノイズの侵入はないし、高速(ポルトガルは時速130キロが制限速度)での風切り音もごく少ない。

スポティファイとクラウドのストレージがつながっているので、音声入力で、「プレイ」と呼びかけてからミュージシャンの名前を言えば、楽曲をストリーミングで流してくれる。

おとなが乗るには、まさにちょうどいいクルマなのだ。スタイリングも適度にスポーティで、かつエレガントでもある。私は“3シリーズって昔はこんなイメージだなあ”と思い出したほどだ。

日本では、「M235i xDriveグランクーペ」(665万円)と、1498cc3気筒ガソリンエンジンの「218iグランクーペ」(369万円〜)が売られる。後者は今回試乗できなかった。118iがとてもいい出来なので、おおいに期待できる。

ディーゼルの220dグランクーペの当面の発売予定はないそうだ。でも可能性がないわけではない、とBMWグループジャパン。タイミングを見て導入されるのではないだろうか。

問い合わせ先

BMW

TEL:0120-269-437

この記事の執筆者
自動車誌やグルメ誌の編集長経験をもつフリーランス。守備範囲はほかにもホテル、旅、プロダクト全般、インタビューなど。ライフスタイル誌やウェブメディアなどで活躍中。
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