キャデラックが誇るフルサイズSUV、エスカレード。迫力ある押し出し感にゆとりのあるエンジンパワー、そしてゴージャスという表現がもっともふさわしい上質なキャビンなど、日欧のSUVとはひと味違った世界観が人気となっている。昨年は全世界で3万台以上が販売され、アメリカを含め世界でも高級SUVセグメントをリードする存在だ。
巨体にひるむことはない
そんなエスカレードの特長のひとつが、クロームで大胆に仕上げられたプラチナムグリルのフロントマスクを始め、全身が煌びやかな雰囲気に仕上げられた点。
キャデラックは昔から本当にクロームの使い方が上手く、外観をエレガントに仕上げる名手といえる。この独特の外観があるため、大柄な迫力あるボディのSUVであってももっさり感がなく、ファッショナブルに見えるのである。
一方、日本の道で使う際に懸念されるのが、ボディの大きさ。何しろ全幅が2,065mmもあるのだ。この数字を聞いて購入をためらう人は少なくないと思う。とはいえ、近頃は他社の大型SUVでも全幅1,900mm台は少なくない。単に大きいから、エスカレードだから特別に使いづらいという評価は適切ではないだろう。
それに、実際に走り出してみると実感できるが、スクエアなボディはむしろ見切りがよく、路地裏などに入り込まない限り、ストレスを感じることは少ない。
アメリカ流のおもてなしを満喫!
ゆったりと回るV8・6.2リッターエンジンの623N・m という大きなトルクを使いながら、アクセルペダルをちょんと操作するだけで十分に流れに乗る走りは、快適そのもの。ボディが大きいからアメリカ的というよりも、このトルクを有効に使ったユルユルとした走りこそ、アメリカンSUVの特徴だ。もちろん、高速に乗り込めば、堂々たる走りの良さはさらに輝いてくる。
アクセルペダルを一気に踏み込めば十分に流れをリードできるだけの加速力を示し、その後はゆったりとクルージング。頑丈なボディフレームに静粛性や乗り心地を優先したコイルスプリングのサスペンションが使われるなど、最近のキャデラックはさらに高速走行時の乗り心地が良くなっている。
3m近いホイールベースは確かに小回りなどでは不利になるが、高速や郊外モードでゆったりとした乗り心地を味わいながら走る際には有利に働いてくる。
この走りを、空調もシートも静粛性でも、どこを見ても“これぞ本当のおもてなし”といえるキャビンで味わう。風切り音や細かな振動などをほとんど感じることのない状況で、ゆったりとした快適移動を実現できるのは、やはりキャデラックのSUVならでは。この特別感は、国産SUVはもちろん、ヨーロッパのSUVでも決してマネのできない世界観なのである。
【キャデラックエスカレードプラチナム】
ボディサイズ:全長×全幅×全高:5,195×2,065×1,910㎜
車重:2,670kg
駆動方式:4WD
トランスミッション:8速AT
V型8気筒OHV:6,153cc
最高出力:313kw(426PS/5,600rpm)
最大トルク:623Nm/4,100rpm
価格:¥13,770,000〜(税込)
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- TEXT :
- 佐藤篤司 自動車ライター
- PHOTO :
- 尾形和美