昭和の男たちが憧れたキャデラックは、その思い出をかき消すように進化を続けている。このたび日本へ導入が始まったXT5クロスオーバーは、マイノリティであることに誇りを抱く者なら、きっと欲しくなる。

クルマは目立つものだからこそ個性を主張したい!

車名にクロスオーバーと付くものの、駆動方式は走破性に優れる4WD。
車名にクロスオーバーと付くものの、駆動方式は走破性に優れる4WD。

街で見かける洒脱な男が着ている服や小物は、好き者ならある程度のブランドを類推できるが、ファッションに興味のない人が見たら、「なんだか普通とは違うな」程度で終わってしまうかもしれない。

だが、ひときわ大きく、ブランドのエンブレムや車名が刻まれたクルマは、大抵の人がどんなものかを当てられる。しかも、信号待ちなどで自分とまったく同じクルマが横に並ぶと、どうにも気恥ずかしい。

好きで乗っているのだから気にしなければいいのだが、生き方を主張する手段として、あるいは天邪鬼的な価値観で、あまり街で見かけないブランドのクルマを選ぶ人は少なくない。

日本だと、イタリア車やフランス車がそれにあたるだろう。いや、もっと珍しいのがある。アメリカ車だ!

知的で若々しいスタイリングに変身!

ウッドとレザーを多用した、アメリカ車らしいインテリア。ステアリングヒーターも付く。
ウッドとレザーを多用した、アメリカ車らしいインテリア。ステアリングヒーターも付く。

昭和の時代は成功者の証として好まれたアメリカ車だが、それも今は昔。

フォードは日本市場から撤退し、クライスラーとGM(ゼネラルモーターズ)がセダンやSUVを販売しているが、全体に占めるシェアはごくわずか。

そんななか、GMがこの夏から日本へ導入を始めたのが、ミドルサイズSUVのキャデラック「XT5 クロスオーバー」だ。

縦目のヘッドライトに代表されるモダンなスタイリングを見て、キャデラックってこんな雰囲気だったのか? と感じるのも無理はないが、重厚長大なサルーンばかり作っていた時代はとうの昔に卒業し、近年のGMはターゲットユーザーの若返りを狙った、モダンで先進的なクルマ作りに執心している。

「XT5 クロスオーバー」の魅力は、ドイツ車とは一味違う大胆なスタイリング。ややいかつめだが、そこはかとなく漂うインテリジェンスは、今やニューヨークに本社機能を構えるGMのなせる技である。

アメリカ車にはやっぱりBOSE

前席、後席ともに抜群の広さを誇る。特に頭上空間が十分に確保されていて、標準装備のサンルーフが開放感を向上させている。
前席、後席ともに抜群の広さを誇る。特に頭上空間が十分に確保されていて、標準装備のサンルーフが開放感を向上させている。

インテリアはゴージャスで、ふかふかとした柔らかなレザーシートはアメリカ車の変わらぬ伝統。

ボストン発のオーディオブランド、BOSEがクルマの設計段階から共同開発した専用のサウンドシステムが装備されているのも大きな魅力だ。肝心の走りについては現段階で試乗できていないため何ともいえないが、昨年発売されたセダン、「CT6」同様、おおらかな気分になれる乗り味に違いない。

ちなみにエンジンも大昔の「大排気量・ガソリンがぶ飲み仕様」ではなく、高効率で静粛性にも富む3.6リッターのV6DOHCだ。ただし、ハンドルだけは昔ながらの左仕様のみ。

RVの文化を牽引してきたアメリカ車だけあって、ラゲッジスペースの広さは別格。4:2:4分割可倒式の後席は、背もたれの角度調整と最長14㎝のスライド機能を備えている。
RVの文化を牽引してきたアメリカ車だけあって、ラゲッジスペースの広さは別格。4:2:4分割可倒式の後席は、背もたれの角度調整と最長14㎝のスライド機能を備えている。

おそらく(間違いなく)、街で見かける機会はそう多くないだろうが、だからこそこのクルマを選ぶ甲斐はあるし、乗り味やデザインが気に入れば、きっと満足できるに違いない。

〈キャデラック・XT5 クロスオーバー プラチナム(上級グレード)〉
全長×全幅×全高:4825×1915×1700㎜
排気量:3649cc
エンジン:V型6気筒DOHC
最高出力:314PS/6700rpm
最大トルク:368Nm/5000rpm
駆動方式:4WD
トランスミッション:8AT
価格:754万9200円(税込)
お問い合わせ
GMジャパン・カスタマーセンター
TEL:0120-711-276
https://www.gmjapan.co.jp/faq/

この記事の執筆者
男性情報誌の編集を経て、フリーランスに。心を揺さぶる名車の本質に迫るべく、日夜さまざまなクルマを見て、触っている。映画に登場した車種 にも詳しい。自動車文化を育てた、カーガイたちに憧れ、自らも洒脱に乗りこなせる男になりたいと願う。