【目次】
- 「花まつり」とは?いつ・何の日か
- 「花まつり」の意味と由来
- 「花まつり」では何をする?代表的な行事
- なぜ「甘茶」をかけるの?風習に込められた意味
- 「花まつり」が行われる場所と楽しみ方
- 「花まつり」を通してふれたい日本の祈りの文化
【「花まつり」とは?いつ・何の日か】
■4月8日は「花まつり」
「花まつり」は、仏教の重要な年中行事のひとつとされ、仏教の創始者ゴータマ・シッダールダ(お釈迦さま)の誕生を祝う行事のこと。本来は4月8日ですが、4月8日の前後の週末にあてたり、地域によってはひと月遅れの5月8日だったりする場合もあるようです。
■「花まつり」は別称
正式名称は「灌仏会(かんぶつえ)」といいます。別名に「仏生会(ぶっしょうえ)」「降誕会(ごうたんえ)」「浴仏会(よくぶつえ)」「龍華会(りゅうげえ)」「花会式(はなえしき)」などがあり、「花まつり」もそのひとつなのです。
■なぜ「花まつり」と呼ばれる?
「花まつり」という言い方が一般に知られるようになったのは、明治時代末ごろからといわれています。桜の花は平安時代から愛でられていましたが(当時はヤマザクラが主流)、明治時代にソメイヨシノが全国に広まって桜が一般的になり、4月8日ごろは桜の花が美しい季節であることから「花まつり」とも呼ばれるようになって定着しました。
これだけでなく、「お釈迦さまの生まれたインドのルンビニーの花園では美しい花々が咲いていたから」という説など、諸説あります。
【「花まつり」の意味と由来】
■由来・歴史
「花まつり」の由来は、お釈迦さまの誕生秘話にあります。
お釈迦さまには、生まれてすぐに立ち上がって7歩歩き、一方の手で天を指し「天上天下唯我独尊(てんじょうてんげゆいがどくそん)」と言ったという伝説が伝えられているのはご存知の人もいるでしょう。「天上天下唯我独尊」は、人気漫画『呪術廻戦』で子どもたちにも知られるようになりましたね。「この世界に自分よりも尊いものはない」、つまり「この世に生まれた存在はそれぞれにかけがえのない価値をもつ」という意味で解釈されることが多く、「自分を慈しみ、同じように他人を尊重しましょう」という意味で、広く人間の尊厳を言い表しています。「花まつり」は、そんなすばらしい言葉が生まれたお釈迦さまの誕生日を祝い、これからもお釈迦さまに守っていただけるように願うおまつりなのです。
「花まつり」では、たくさんの花で華やかにお飾りした花御堂をつくり、その中心にお釈迦さまの誕生時の姿を表す小さなお像、「誕生仏」を安置します。「誕生仏」は「天上天下唯我独尊」を体現、右手で天を、左手で地を指しています。
【「花まつり」では何をする?代表的な行事】
仏教にはさまざまな宗派があり、「花まつり」は多くの寺院で行われていますが、宗派や寺院の考え方によっては行われないこともあります。では「花まつり」では、どんな行事が行われているのでしょうか。
■誕生仏に甘茶を注ぐ
「花まつり」では、参拝者は用意された甘茶をひしゃくですくい、花御堂の誕生仏に優しくかけて拝みます。これは、かつてお釈迦さまが誕生したときの、「9匹の龍が天から現れ、甘露(かんろ)の雨を降らせた」という伝説にちなみます。
「甘露」とは、不老不死になるとされた神の飲み物。「花まつり」では甘露を甘茶にたとえ、お像にかけることでお釈迦さまの霊力を保ち、この先も長く守り助けていただけるよう願うのです。実は「花まつり」本来の名称である「灌仏会」の「灌」には、「そそぐ」という意味があるんですよ。
■稚児行列(ちごぎょうれつ)
「花まつり」は、お釈迦さまの誕生を祝いつつ、子どもたちの健康を祈る行事でもあります。そのため、寺院のほか、仏教系の保育園や幼稚園では「稚児行列」を行うことも。「稚児行列」では、子どもたちはお釈迦さまに仕える身として、平安装束を模した伝統衣装をまとい化粧を施され、列になって街を行進し、無病息災と成長を願います。
■白象の模型を引いての巡行
お釈迦さまの生母である摩耶王妃は、お釈迦さまを身ごもった際に、体の中に6本の牙をもつ白い象が入ってくる夢を見た、という逸話があります。この言い伝えにより「花まつり」では白い象は神聖な動物として親しまれています。
【なぜ「甘茶」をかけるの?風習に込められた意味】
■小さな子どもや妊婦の方でも安心
甘茶とは、ユキノシタ科の「アマチャ」の葉を蒸して揉み、乾燥させてから煎じてつくるお茶のこと。黄褐色の色合いで、名前のとおり強い甘味があるのが特徴です。ほんのりとしたやさしい甘みをもち、古くから天然の甘味料としても利用されてきました。
また、民間では日常のお茶として親しまれ、穏やかな味わいから気分を落ち着かせたいときにも飲まれてきたといわれています。カフェインやタンニンを含まないため、小さな子どもや妊婦の方でも比較的取り入れやすいお茶です。
■甘茶を飲むと無病息災が叶うという言い伝えから
「花まつり」には、子どもたちの健康を願う行事としての一面もあります。古くから、「甘茶をすくった手で赤ちゃんの頭をなでると、元気で丈夫な子どもに育つ」「甘茶を飲むと無病息災に過ごせる」という言い伝えがあることから、人々にふるまわれるようになったといわれています。
【「花まつり」が行われる場所と楽しみ方】
規模の大小はあれど、お釈迦さまの誕生を祝う「花まつり」は全国各所で行われます。東京と京都で行われる「花まつり」のイベントをいくつかご紹介しましょう。詳細はHP等でご確認ください。
■築地本願寺(東京)
日時・場所/2026年4月11日(土)10:00~16:00、築地本願寺本堂・境内
やきそば、わたあめ、カレーなどの飲食、わなげやスーパーボールすくいといった縁日的なコンテンツのほか、ステージではインド大使館・スリランカ大使館による古典舞踏、大道芸や太鼓演奏などのショーも。
■浅草寺(東京)
日時・場所/2026年4月8日(水)本堂内、本堂前、五重塔前
毎年多くの参拝者で賑わう浅草寺の花まつり。本堂内陣では「仏誕図」が掛けられ、法要が執り行なわれます。参拝者は各所に置かれた「花御堂」に安置された誕生仏に甘茶をかけ、お釈迦さまの遺徳に感謝します。
■知恩院(京都)
日時・場所/2026年4月8日(水)御影堂にて
御影堂外陣に、色とりどりの花を美しく飾った「花御堂」が設けられ、誕生仏に甘茶を注いでお釈迦さまの誕生を祝います。
■壬生寺(京都)
日時・場所/2026年4月8日(水)11:00~
本堂前に置かれた白象の背に華やかに飾られた花御堂が載せられ、その中のお釈迦さまの誕生仏に甘茶をかけます。式典が行われたのち、お稚児さんや壬生寺保育園の園児がこの白象を引いて寺周辺道路を練り歩くのが恒例です。
【「花まつり」を通してふれたい日本の祈りの文化】
宗派の違いや信仰心の有無にかかわらず、日本に暮らす私たちの生活には意識せずとも「祈る」ということが日常生活に根付いています。食事の前に「いただきます」と唱和するのもそのひとつですね。4月8日の「花まつり」にちなみ、日本の祈りの文化について少々触れてみましょう。
■あらゆるものに「神が宿る」
日本に根付く祈りの文化には、仏教だけでなく神道的な自然観も重なり合っています。特定の神仏だけを崇めるのではなく、山や川、石や木、さらには道具に至るまで、あらゆるものに「神が宿る」とする考え方が息づいています。厳しい自然環境のなかで、それらは人間を生かしてくれる尊い存在として敬われてきました。自然や周囲の人、先祖などの助けがあって生かされているという「おかげさま」の精神、謙虚な姿勢が、日本の祈りの原点といえるでしょう。
■日常になった「祈り」
「いただきます」や「ごちそうさま」と口にする(あるいは心のなかで唱える)のは、最も日常的で身近な祈りの形といえるでしょう。私たちの食事はその多くが動植物や海産物など命あるものからの恵みだからです。意識せず習慣として口にしている人も多いかもしれませんが、改めてその意味や意義を考えてみるのもいいでしょう。
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「花まつり」は4月8日前後に全国で行われる行事ですが、すべての寺院で実施されるわけではありません。訪れてみたいお寺の開催状況を事前に確認し、足を運んでみてはいかがでしょうか。春のやわらかな空気のなかでほっこりあたたまる、穏やかな時間を過ごせそうです。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- 参考資料:『日本国語大辞典』(小学館) /『デジタル大辞泉』(小学館) /『日本大百科全書 ニッポニカ』(小学館) /『世界大百科事典』(平凡社) /築地本願寺HP「花まつり開催のお知らせ」(https://tsukijihongwanji.jp/news/8599/) /法眞山 妙昌寺HP(https://www.myoushoujitemple.website/花まつり/) /総本山 智積院HP(https://chisan.or.jp/chishakuin/event/schedule/子ども花まつり#:~:text=花まつりとは、お釈迦様,によるスクリーン紙芝居があります%E3%80%82) :

















