世界的に深刻な状況は続き、いまだ光明は差してきていない。だが現在、様々な企業が社会に、医療に貢献するための努力を続けている。自動車メーカーもしかり。最新の情報では、フォルクスワーゲンが3Dプリンターを利用してフェイスシールドのパーツ生産を始めたとのこと。パーツはスペインに寄贈されるという。そして爆発的な感染者数で国家の存亡に瀕するイタリアでは、ランボルギーニが「いまできること」に取り組んでいる。
インテリアなどを手がける部門がマスクを縫製
新型コロナウィルスによる肺炎の拡大と、感染者の増加は、自動車メーカーにも大きな影響を与えている。販売減のみならず工場停止の措置を採るメーカーが多いなか、医療への貢献に乗り出したメーカーも。
たとえば、イタリアのアウトモビリ・ランボルギーニは、中部イタリアのサンタアガタ・ボロネーゼにあるスポーツカー生産工場の一部を、医療用マスクとプレキシガラス製保護シールド(医療従事者などが、飛沫が顔面にかかるのを防ぐ透明のシールド)の生産部門へと転換。
生産したマスクは、新型コロナウイルスの感染拡大防止と感染患者の治療に従事しているボローニャの「サントルソラ=マルピーギ総合病院」に寄付されるそうだ。
製造を担当するのは、ランボルギーニ車のインテリアや特別なカスタマイズを加工する部門。1日に1000枚のマスクを生産する予定という。たしかに手縫いで革の内装を手がけている部署なので、縫製はお手のものかもしれない。
メディカルシールドは、カーボンファイバー生産工場と研究開発部門の3Dプリンターを使用し、日に200ユニットを生産するそうだ。
マスクはゼネラルモーターズなどが自動車工場を使って製造をはじめているし、3Dプリンターの活用についてはワンオフのレーシングカーなどで知見を積んでいるメルセデス・ベンツがいま、医療器具のパーツを作るために協力している。
人工呼吸器の製造も始まっている
ランボルギーニが生産した医療用具は、ボローニャ大学の「Department of Medical and Surgical Science」が監督する検証試験を受けてから病院に届けられる。
「この緊急事態において、私たちは社会に貢献する必要があると感じています。皆が力を合わせて、日々このパンデミックの最前線で働く人々を支援し、コロナウイルスとの闘いに打ち勝ちましょう」
アウトモビリ・ランボルギーニでチェアマンおよびCEOを務めるステファノ・ドメニカリは上記のようにコメントしている。
新型コロナウイルスによる非常事態に直面しているイタリア全土の団結と支援の象徴として、ランボルギーニではサンタアガタ・ボロネーゼの本社ビルを夕暮れにイタリア国旗の色にライトアップしている。
なお、ランボルギーニと同じフォルクスワーゲン傘下のセアト(SEAT)では、車両のラインを止めてバルセロナ近郊の主力工場で、人工呼吸器の製造を始めている。ゼネラルモーターズは人工呼吸器も作っているし、フォードも同様だ。
テスラのイーロン・マスクが、米国各地の病院に人工呼吸器を無償で提供するとツイートして話題を呼んだのも、最近の出来事である。一日でも早い収束を願うものだ。
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- TEXT :
- 小川フミオ ライフスタイルジャーナリスト