さまざまな局面を乗り越えてきた、まつ毛エクステサロン経営者・垣内綾子さんに聞く! 迷いや困難に直面したときの思考法とは?
人生、よいときばかりではありません。うまく物事が進まないときでも、いかに気持ちを切り替えていけるかがとても大切です。
今回お話を伺ったのは、芸能人も多数通う人気のまつげエクステサロン「マンハッタン(MANHATTAN)」を経営し、目元プロデューサーとしても活躍する垣内綾子さん。
一見、華やかに見えますが、その裏では経営への迷い、不妊治療の苦悩、そして今は新型コロナウイルスによるサロンの一部休業など、さまざまな困難が……。
どのように気持ちを奮い立たせて前へと進んできたのか、「コロナ禍」はどう乗り越えるのか、現在の率直な想いを伺いました。
「考えるより行動」で確信した、まつ毛エクステの力
Precious.jp 編集部(以下同)――昔から、まつ毛エクステを扱う仕事をしたいと考えられていたのでしょうか?
いえいえ、まつ毛エクステの魅力に気づいたのは、10年ほど前のことです。17歳でスカウトされたのをきっかけに関西で雑誌モデルやアイドル活動をして、その後は芸能活動と掛け持ちで営業の仕事をしていました。
やりがいを感じることもありましたが「このままでいいのだろうか? 本当に自分がやりたいことって?」と自問自答する日々で……。すべてをリセットして答えを探そうと思い、向かった先のニューヨークで出合ったのが、まつ毛エクステです。
――ニューヨークで? ピンときたのは、どんな瞬間だったのですか?
何か思いついたらすぐに書き留められるよう、メモを片手に街を歩いていたときでした。目に入ってくるのはイキイキとしたNYの女性たち。なぜこんなにもイキイキと見えるのか考えたら、目力が違うんですよね。
印象を決めるうえで「目」はいかに大事なパーツであるか、そしてまつ毛エクステは、目力の手助けに素晴らしい効力を発揮するのではないか?と思ったんです。
――そんなきっかけがあったのですね。現在、垣内さんが経営するサロンは8店舗あるということですが、店舗数を増やし、事業を拡大することに迷いはありませんでしたか?
30歳で1店舗目をオープンし、いざ2店舗目へとなったときには迷いました。小さなパーツなのに印象を大きく変えられるまつエクの素晴らしさを広めたいけれども、すべての女性を笑顔にできるという確信が持てなかったのです。
「たとえば発展途上国の人も、目元が変わると喜んでいただけるのかな? 日本人だけ?」と疑問に思い、確信が持てないなら、実際に行って確かめればいいんだと思いました。「考えるより行動」というタイプなので(笑)。
――すごい行動力ですね! それで結果はどうでしたか?
アフリカのセネガルを訪れたとき、黒い肌に映えるキラキラしたグリッターのまつ毛エクステをつけてあげた女性が、鏡で自分の目を見て、驚きの声をあげたんです。そして、はじけるような笑顔でこちらを見て「ありがとう」と言ってくれました。
この瞬間「目元には人生を変える力がある」ということを確信して、店舗を増やし、経営を拡大することに迷いがなくなったんです。あの笑顔は忘れることができないですね。
――垣内さんの肩書を拝見すると、サロンの代表だけでなく「目元プロデューサー」とありますが、これはなぜでしょうか?
目元はすごく年齢が出やすい箇所なので、ふと鏡を見たとき自身の老け込みようにショックを感じて、なぜかあきらめモードになってしまう方も多くいるのですが、あきらめるなんてもったいない!
そのために、まつ毛エクステだけでなく、目元に関して総合的に情報を発信していきたいと思い、目元プロデューサーとさせていただきました。初めは少し恥ずかしかったのですが、インパクトがあって覚えてもらいやすいので、よかったかなと思っています(笑)。
「ないならつくってしまえ」で開発した、クマやドライアイに効く「目育マスク」
――最近、目元に特化した商品を新たに開発したと伺いました。
はい、そうなんです! メイクやまつ毛エクステなど目力アップのメソッドは色々ありますが、まずは目元の土台づくりをしっかりしなければなりません。具体的にいうと「目元を温めること」がとても大事なので「目育マスク」というアイマスクをつくりました。
――気合いを入れてアイメイクをするだけじゃ、やっぱりダメなんですね(笑)。
30代以降の方は、メイクより目元ケアに時間を割いてほしいです。目元の温めケアは眼精疲労・睡眠導入効果・クマやドライアイの改善など、いいこと尽くめ! 近年、増えているスマホ老化にも効果的です。
でも「目を温めるためのホットタオルを用意するのが面倒」「売っているものはコスパがよくない」などさまざまな声が聞こえてきましたので「ないならつくってしまえ!」と思い、開発させていただきました。
新型コロナウイルスの影響で自宅にいる時間が長い今、特にPCなどの画面を見る時間も長くなっていると思いますので、ぜひ活用してほしいです。
――「目育マスク」はレンジで簡単に温めることができるのがうれしいですね! 目元を温めること以外にすべきことはありますか?
もうひとつ大切なことは「眼輪筋運動」です。眼輪筋というのは目の周りの筋肉のことで、アイラインが引きにくい・パンダ目・たるみなどほとんどの原因は、眼輪筋のたるみにあることがわかりました。
そのため眼輪筋に直接アプローチできる美顔器として「リスタートアイ」という商品を監修させていただいたので、お悩みの方には試していただきたいです。でも、まずは手軽に「温め」からスタートしてみてくださいね!
――「目育マスク」や「リスタートアイ」の開発など、どんどん新たなことに挑戦するモチベーションはどこから生まれてくるのでしょうか?
お客様やスタッフの声を生で聞いたり感じたりするうちに、いろいろなドラマが生まれます。時には感動させられたり、時には心を動かされたり……。そういったできごとが原動力となり、情熱的な感情が生まれて「なんとかお手伝いしたい」という想いで突っ走っている感じです。
努力と結果が比例しないことがいちばん辛かった「不妊治療」
――プライベートでは、1歳の男の子のママなんですよね。ご家族のことを教えてください。
主人も私も子どもが好きなので早く欲しいと思っていたのですが、なかなかできず、35歳のときに産婦人科で検査を受けたら「子宮年齢が40歳」と言われてしまったんです。これは急がないとまずいと思って、人工授精に踏み切りました。
でも不妊治療は、頑張ったからといって、必ずしも子どもが授かれるものではないんですよね。終わりの見えないトンネルにいるみたいでつらくて、病院から帰るときは、ポロポロと自然に涙が出てきました。
――不妊治療をお休みする選択肢はなかったのですか?
心から妊娠を望んでいたので、今できることはなんでもしたいという気持ちが強く、治療を休むことは考えられませんでした。最初の病院では4回人工授精してもうまくいかず、その後体外受精を行いましたがそれもダメで。転院をすすめられて行った次の病院で妊娠することができました。
――その間、お仕事はどうされていたんですか?
不妊治療中は特に「ストレスがよくない」と言われるので、「うまくいかない原因は、仕事のストレスかも」と思い、仕事をセーブする方もいます。実際、私も仕事を減らそうと考えた時期もあったのですが、不妊治療も仕事も何もかもうまくいかなくなってしまって……どんどん自分らしさが失われていきました。
ノーメイクで髪はボサボサ、暗い表情。そんな自分をあるときショーウィンドウで見て愕然としたんです。「私は仕事が大好きなんだから、仕事をしよう! それで子どもができないのであれば仕方ない」と吹っ切れました。私にとっては、あのとき仕事を続けるという選択をしたことがよかったのかもしれません。
――これだけお仕事が忙しいと、育児との両立は大変じゃないですか?
仕事も以前のようにはできず大変ですが、息子の笑顔を見たらそんな大変さは吹っ飛んでしまいますね。私が陰から「ばぁ!」と顔を出すと、ケタケタ声を出して喜んでくれるので、今はその声を聴くのが楽しみです。
――家事・育児・仕事とフル回転なのに、肌がお綺麗ですよね。これだけは欠かさない美容法があれば教えてください。
酵素洗顔と炭酸パックはおすすめ。年齢とともにターンオーバーが悪くなると古い角質が溜まってきてしまうので、それを優しくとってあげる方法として酵素洗顔は有効かと思います。炭酸パックはいろんな種類を使いますが、酵素洗顔は「オバジC 酵素洗顔パウダー」一択です。
コロナの影響でサロンは休業の店舗も。でも「どうしよう」と悩む時間はもったいない!
――現在、新型コロナウイルスの影響で、垣内さんのサロンも店舗を休業されたり、大変な状況かと思います。今の率直なお気持ちを伺えますか?
今の状況は、終わりが見えない闘いのようなところがあると思っています。サロンに関していえば、休業している店舗があったり、休業していなくても、売り上げは見るのも恐ろしい結果です。ただ、これに関して言っても仕方がない。今、いちばん大切にしなければいけないのは「心のケア」です。
悪い状況下ではみんな落ち込んで、思いやりを持ったひと言も出なくなり、どんどん負の方向に進んでしまう。これを食い止めて方向転換できるよう、毎日のようにスタッフとオンラインミーティングを行っています。
「この1か月、2か月の売り上げはどうでもいい。それよりもコロナ禍が収束したあと、お客様が来てくれるかは今の私たちで決まる」、そしてもしも会社が潰れるようなことがあれば、「マンハッタンらしく、お客様を笑顔にできたよね」って、最後に言えるようやり切ろうとも話しています。組織として前を向き始めているところです。
――万が一のときのことまでスタッフと話されているんですね。垣内さん自身、「どうしよう」という不安な気持ちはないですか?
経営者として最悪のことも考えますが、もちろん会社を継続するために、私はどこかで売り上げをとらなければいけません。不安な気持ちがないと言えば嘘になりますが、「どうしよう、どうしよう」と思っていても何も解決しないので、そんな時間はもったいない! 「ピンチはチャンス」と自分自身を鼓舞しています。
――最後に今後の目標をお聞かせください。
「目元が変われば人生が変わる」――これは実際にたくさんの方の人生が変わるのを見てきたので、自信を持って言うことができます。なので、これからも誰かの人生を変えられるようなツールをつくりたい。
私自身、小さい頃からアトピー体質に悩まされていたこともあり、まずは同じように肌の弱い方に喜んでもらえる商品をつくることが、今後一番の目標です。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- WRITING :
- 篠原亜由美
- EDIT :
- 小林麻美