ゴールデンウィークの頃になると、「メーデー」という言葉をよく耳にします。ニュースなどで取り上げられるメーデーですが、何となく意味がわかるような、わからないような…という方もいらっしゃるかもしれません。

また、「メーデー」の意味はひとつではないようです。そこで当記事では、メーデーの意味や違い、メーデーの歴史や日本での成り立ちなどをご紹介します。

■メーデーの意味

メーデーの意味
メーデーの意味

メーデーとは、100年以上前に制定された、国際的な労働者の祭典のことを指します。メーデーには、労働環境の改善や賃金のベースアップなど、労働者の権利を訴えるべく、平年では大規模な集会やデモが行われます。日本でのメーデーは、1920年に上野公園で行われたものが最初で、その後全国に広がりました。

メーデーはいつ?

メーデーは5月1日。その日は、「労働者ののための日」として、世界の80か国以上で祝日に制定されています。日本では、メーデーは祝日ではありません。ゴールデンウィークの谷間にあたる5月1日のメーデーを祝日とし、連休にしようという意見もあったようですが、実現にはいたっていません。

英語で言うと?

メーデーは英語で「May Day」と表記します。直訳すれば「 5月の(May)日(Day)」。メーデー起源の国と言われているアメリカ合衆国のように、メーデーとは別に「レーバーデー(労働者の日)」を定めている国もありますが、メーデーの別名としてレーバーデーと呼ぶ国もあります。その違いは追ってご紹介します。

■メーデーの意味の違い

同じメーデーでも、意味が違うものもあります。日本語でも英語でも同じ発音とスペルにも関わらず、共通点のないもうひとつのメーデーとはどんな意味があるのでしょうか。

非難信号の「メーデー」

労働者のための日のメーデーとは違う、もうひとつのメーデーの意味は、遭難信号。これは、遭難信号を無線電話で発信する際に国際的に使われる共通の緊急用符号語です。

このメーデーは、フランス語の「助けに来て」と言う意味のvenez m'aider(ヴネ・メデ)に由来しています。

映画などで「メーデー、メーデー、メーデー!」と助けを求めるシーンを見たことがある人は多いと思いますが、雑音や周波の混線があっても間違いなく受信できるように、3回繰り返すことが決まりになっています。

歌のタイトルや歌詞、キャラクター名としても使われる「メーデー」

歌の歌詞やキャラクターの名前でもメーデーを使っているものが多く見られます。 日本のロックバンド「BUMP OF CHICKEN」の13枚目シングルや、同じく日本のロックバンド「coldrain」がリリースしたTVアニメ『炎炎ノ消防隊』のオープニング曲、17歳のラップアーティスト「さなり」さん、レゲエdeejay「apollo」さんが、「メーデー」というタイトルの曲を発表しています。

また、台湾の5人組ロックバンド「メイデイ(MayDay)」のバンド名や、『スパイダーマン』の登場人物で、「スパイダーガール」こと「メイデイ・パーカー(Mayday Parker)」の名前に使われたり、VOCALOID系動画のプロデューサー「DECO*27」さんの『ゴーストルール』という曲の歌詞でも「メーデー」と言う言葉が出てきます。

■メーデーの歴史

ここまでメーデーについて説明してきましたが、メーデーの歴史をさらに紐解いていきたいと思います。メーデーの由来、起源と言われるアメリカでのメーデー、レーバーデー(労働者の日)との違いについて解説します。

ヨーロッパの五月祭に由来

ヨーロッパでは、春の訪れを祝う日として、5月1日に「五月祭(May Day:メーデー)」が催されていました。五月祭は古代ローマの祭りに由来しており、春の時期にあえて先回りして夏の豊穣のお祝いして、その年の豊作を祈る祭りと考えられていました。 時代が変わり、現在では五月祭だった日が、労働者の権利を主張する日に変化していきます。

メーデーはアメリカが起源

メーデー起源の国であるアメリカでは、1886年の5月1日のメーデーに「8時間労働」を要求してストライキが起こりました。当時のスローガンは「第1の8時間は労働のために、第2の8時間は休息のために、そして最後の8時間は自分たちの好きなことのために」。当時12~14時間の長時間労働が当たり前だった労働者が、人生を豊かにするために行ったストライキが、今に続くメーデーの起源と言われています。

「レーバーデー(労働者の日)」との違い

ヨーロッパなどでは、メーデーのことを「レーバーデー(労働者の日)」と呼ぶ国もあります。しかし、カナダやアメリカではメーデーとは別の祝日として、9月の第一月曜日に「レーバーデー」が定められています。

アメリカやカナダのレーバーデーは、労使交渉を行うメーデーとは違い、休養も兼ねたピクニックやバーベキュー、芸術イベントなどが行われることが多いようです。

また、全米人気No.1のスポーツ「NFL(National Football League:プロアメリカンフットボールリーグ)」のシーズン開幕も、レーバーデーの前後に行われます。

■日本のメーデー

日本のメーデー
日本のメーデー

では、日本のメーデーはいつから、どのような理由で始まったのでしょうか。日本のメーデーの成り立ち、日本ではメーデーが祝日ではない理由についてもご紹介します。

日本のメーデーの成り立ち

1920年5月2日、上野公園で5,000人が参加した集会が行われたのが、日本での最初のメーデーです。このときは、失業の防止、最低賃金制の確立、8時間労働制などがスローガンに掲げられました。

戦時中は開催の禁止を余儀なくされましたが、戦後、労働組合の活動の再開、そして経済復興とともに改めてメーデーが開催され、労働者の地位向上や労働条件の改善などを求め、働く人を守り、尊重する社会づくりを目指します。

高度経済成長を遂げた後は、複数の労働組合が合同で「統一メーデー」を開催していました。しかし、1989年(平成元年)以降の実施はありません。その理由は、日本が経済的に豊かになったこと、社会人による労働組合の参加率低下、労働組合のない企業の増加、メーデーへの参加者の減少などが挙げられます。

しかし、近年でも全国各地でメーデーは開催されています。労働者の権利を主張する日、という意味合いは含まれながらも、参加者によるブースの出展や参加者同士の交流、子供向けイベント開催など、多くの人が楽しめる内容となっているようです。

日本ではメーデーが祝日ではない理由

ヨーロッパやアメリカではメーデーが祝日に設定されていますが、日本ではメーデーの5月1日は祝日ではありません。理由としては、5月1日はゴールデンウィーク中であり、その日を祝日にすると、超大型の長期連休になってしまいます。金融市場などの経済活動も休止となってしまった場合の懸念や、日本にはメーデーと同じ趣旨の「勤労感謝の日」が祝日のため、メーデーは平日とされているようです。

また、日本ではメーデーが祝日ではないので、メーデーの開催は5月1日前後の土日祝日に行われています。

変わっていくメーデーの意味

当記事では、メーデーはいつなのか、そして、メーデーの意味をご紹介しました。また、メーデーにはふたつの意味があることやそれぞれの違い、歌のタイトルや歌詞、キャラクター名としても使われる「メーデー」についてもチェックしています。

さらに、メーデーの歴史や「レーバーデー(労働者の日)」との違い、日本のメーデーの成り立ち、日本ではメーデーが祝日ではない理由なども調べてみました。

5月1日のメーデーには「メーデーとは何か」を知り、自身の労働環境や働き方について考える機会にしてみてはいかがでしょうか?

この記事の執筆者
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