命を守り、未来につなげるために。さまざまな角度から行われているラグジュアリーブランドの「コロナ禍」対策プロジェクト

爆発的な感染被害のピークは越えたという報道も増えてきている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ですが、「コロナ禍」の終息までには、まだ長い道のりとなりそうです。

世界が「アフターコロナ」といえる日を迎えるためにできることは、何か? 多くのラグジュアリーブランドが取り組んでいる対策支援は、マスクや防護服の製造や医療関係機関への寄付にはじまり、ウイルス研究支援、感染被害の影響で生活が困窮している子どもたちを守るための取り組みなど、より広い視野に立ったものへと進化しています。

今回はその中から、「ロエベ」「ドルチェ&ガッバーナ」「ヴァレンティノ」「ボッテガ・ヴェネタ」「デビアス グループ」の取り組みについてご紹介します。

■1:「ロエベ」の人気コレクションの売り上げが、教育プロジェクトへの寄付につながる

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スペイン・マドリッドのヘタフェにあるロエベの工場で行われているマスクの生産

ロエベ(LOEWE)は2020年5月から8月の間に、ロエベの店舗とオフィシャルサイト「loewe.com」で販売される人気コレクション「パウラズ イビザ コレクション」の全商品を対象に、商品ごとの売り上げから 40ユーロを教育プロジェクトに寄付することを発表しました。最初の寄付は50万ユーロになる見込みです。

この教育プログラムは、子どもと青少年の権限を守るために活動しているスペインの社会組織「Plataforma de infancia」によるもので、2020年夏から不平等(差別)と学校中退を減らすためのプログラムのスタートを予定しています。

またロエベは医療用マスクをスペイン赤十字社に寄付したほか、マドリッドのヘタフェにある自社工場で非外科用マスクを製造し、ボランティア労働者やロエベの従業員とその家族に配布しています。

■2:「ドルチェ&ガッバーナ」は、新プロジェクト「DGFATTOINCASA」などでウイルス研究支援を強化

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支援プロジェクト「DGFATTOINCASA」のイメージビジュアル ©Dolce&Gabbana

2020年2月より、イタリア・ミラノのウマニタス大学による新型コロナウイルスに対する免疫システム研究への資金援助を行ってきたドルチェ&ガッバーナ(Dolce&Gabbana)は、さらなる支援強化のために2つのプロジェクトを始動しました。

ひとつは、ブランドアイコンの「ディヴォーション バッグ」にフォーカスしたもので、公式オンラインストアで対象となる「ディヴォーション バッグ」の売り上げの一部がウマニタス大学に寄付されます。

もうひとつは、2020年5月6日よりドルチェ&ガッバーナのソーシャルメディアにてスタートした「DGFATTOINCASA ― ホームメイド ―」と名付けられたプロジェクト。

ドルチェ&ガッバーナの卓越した技術を支える職人と、メゾンのスタッフによるデジタル・ワークショップを通じたクラウドファンディングにより、ウマニタス大学を支援します。

■3:100万ユーロが寄付される「ヴァレンティノ」の広告キャンペーンに、多数のセレブが参加

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「#ValentinoEmpathy」キャンペーンに参加するグウィネス・パルトロー、レティシア・カスタ、ナオミ・キャンベル

ソーシャルディスタンスが求められている今、ヴァレンティノ(VALENTINO)のクリエイティブ ディレクター、ピエールパオロ・ピッチョーリは「共感」をテーマとする新たなプロジェクトとして、「#ValentinoEmpathy」と題した広告キャンペーンを実施。

このプロジェクトより、100万ユーロがイタリアの新型コロナウイルス感染症指定病院であるローマのラッツァロ・スパランツァーニ病院に寄付されます。

キャンペーンには、グウィネス・パルトローやレティシア・カスタ、ナオミ・キャンベルをはじめ、20名以上のセレブリティが無償で参加。

2020-21秋冬のウィメンズ&メンズコレクションのルックを着用し、大切な人たちと暮らしている場所で、この困難な時期を共有する人たちによって撮影されたビジュアルには、「いかに ソーシャルディスタンスが叫ばれようとも、私たちから感情を消し去ることはできない」というピッチョーリ氏の強い思いが反映されています。

■4:「ボッテガ・ヴェネタ」は、最前線で戦う医療従事者を2年間の奨学金で支援

ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)は、イタリアにおける現在の新型コロナウイルス感染被害対策と将来に備えるために、3つの医療機関に2年間の奨学金を提供することを発表しました。

30万ユーロを拠出して、パドヴァ大学での心臓、胸部、血管、公衆衛生分野の研究職に就いている1名を2年間財政的に支援するほか、ローマのラッザロ・スパッランツァーニ国立感染研究所におけるウイルス研究所、およびナポリのドメニコ・コトゥーニョ病院における微生物学およびウイルス学研究所にも、個別の奨学金制度が用意されます。

■5:「デビアス グループ」は、ダイヤモンド産出国の女性支援機関に20万米ドルを寄付

長引く新型コロナウイルスによる生活環境の変化により、ジェンダーに基づく暴力が増えていることも世界各国が抱える大きな問題のひとつです。

ダイヤモンドブランドのフォーエバーマーク(FOREVERMARK)を傘下にもつデビアス グループは、これまでにもダイヤモンド産出国における新型コロナウイルス対策支援のために総額 500 万米ドル以上の金銭的支援および物資による支援を実施。

さらなる取り組みとして、ダイヤモンドの採掘を行うパートナー国であるボツワナ、カナダ、ナミビア、南アフリカの4 か国において、このような暴力に苦しむ女性を支援するために20万米ドルを寄付することを発表しました。

ロックダウンやソーシャルディスタンス戦略がとられている状況下で、ジェンダーに基づく暴力への被害者支援サービスが閉鎖されている場合がある一方、支援を続けている機関に対しては需要が増加し続けています。

今回のデビアス グループの寄付は、ダイヤモンド産出国における女性のシェルターや支援機関の許容量を増やし、差し迫ったニーズだけではなく、ロックダウンが終わった後の状況にも応えていくために使われます。


以上、「ロエベ」「ドルチェ&ガッバーナ」「ヴァレンティノ」「ボッテガ・ヴェネタ」「デビアス グループ」の新型コロナウイルス対策支援をご紹介しました。

出口がなかなか見えない日々にストレスを感じている人も多いでしょう。でも、この苦境を乗り越えるために尽力しているラグジュアリーブランドがたくさんあります。中には私たちが協力できるプロジェクトもあるので、ぜひこの機会にチェックしてみてはいかがでしょうか?

Precious.jpでは、今後もさまざまなブランドの新型コロナウイルス感染症対策への活動をご紹介していきます。

この記事の執筆者
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EDIT&WRITING :
谷 花生