2016年、ディオールのウィメンズラインのアーティスティック ディレクターに、ブランド初の女性デザイナーが就任しました。

©Adrien Dirand
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これまでに多くの伝説的デザイナーたちが率いてきた、フランスを代表するブランド、ディオール。その歴史あるブランドの、ウィメンズライン、アーティスティック ディレクターに就任したマリア・グラツィア・キウリは、1946年にブランドが誕生して以来初の女性デザイナーとなりました。

マリア・グラツィア・キウリ @Maripol 
マリア・グラツィア・キウリ @Maripol 

ピエールパオロ・ピッチョーリとともに、長年ヴァレンティノのクリエイティブ・ディレクターを務めてきたマリア・グラツィア・キウリ。その類い稀なる才能で、それまでのヴァレンティノのイメージを一新し、伝統あるブランドに新たな命を吹き込みました。

©Dior
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そんな彼女のファーストコレクションとなった、2017年春夏プレタポルテコレクション。会場となった、パリ・ロダン美術館の中庭にある特設テント内のランウェイに登場したファーストルックは、フェンシングをモチーフにした白一色。フェンシングのユニフォームを思わせるキルトジャケットの胸元には、真っ赤なハートが刺しゅうされ、ミニマルなスタイルにアクセントを加えています。

©Dior
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また、フェンシングのモチーフとともに登場するのは、ムッシュ・ディオールが好んで使用していたミツバチのモチーフ。ディオールのアトリエで働くお針子たちの愛称でもあったミツバチは、イニシャルのCDとともにさりげなくあしらわれたり、フロント部分に大胆に刺繍されたりと、さまざまに形を変えて登場します。

©Dior
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さらに、ディオール独自のスタイルを踏襲した、バージャケットやウエストをきゅっと絞ったドレスからのぞくのは、スポーティーなランジェリー。ストラップには、「j’ador(大好き)」とブランド名の「Dior」をもじった言葉遊びで「j’adior」と刺繍され、ストリートウェアから影響を受けた、スポーティーかつ新鮮なスタイルへと昇華しています。

「ディオールらしさ」と「女性の強さ」が表現された、ディオールの最新コレクション。かつて創始者のムッシュ・ディオールは、「ニュールック」によって大戦後の重苦しいファッションから女性たちを解放し、夢を与えました。マリア・グラツィア・キウリ率いる新生ディオールが見せてくれる新しい夢の世界に、今後も期待が高まります!

この記事の執筆者
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クレジット :
文/難波寛彦