新型コロナウイルスは世界経済にも大きな打撃を与え、そのダメージは2008年のリーマン・ショック越えとも戦後最悪ともいわれています。

こうした危機においてどのような行動をとるかは、その後の明暗を分けるもの。状況を冷静に見極め適切に判断・行動していけば、たとえ一時的に収入や事業の収益などが大きく落ち込んでも、V字回復を果たし、さらなる飛躍を遂げることも可能でしょう。

逆に選択を誤れば、苦境からいつまでも抜け出すことができず、傷口をどんどん広げることにもなりかねません。

そこで今回は、ビジネス教育者で多くの億万長者とも親交のある小林正弥さんから、成功者は絶対にやらないピンチのときのNG行動について教わりました。

成功者は絶対にやらない「ピンチのときのNG行動」8選

■1:歴史に学ばず収束時期を楽観視するのはNG

賢者は歴史に学ぶ
賢者は歴史に学ぶ

今回、新型コロナウイルスの影響で経済も社会の未曽有の危機を迎えているといわれますが、こうした混乱状況でまず大切なのは、歴史から学ぶことだと小林さんは主張します。

「今回のようなパンデミックは過去に何度も起こっており、よく引き合いに出される例として、およそ100年前に起きたスペイン風邪の大流行があります。

スペイン風邪の流行時期は1918年~1920年。その間、一時は収束のきざしを見せることもありましたが、その後、第二波・第三波の流行が訪れました。

これを今回の新型コロナウイルスに照らし合わせると、2020年5月下旬現在、自粛が解除されつつありますが、決して楽観はできません。コロナは完全に収束したわけではなく、秋冬に第二波がくる可能性はあるといえるでしょう。

しかしながら、歴史に学ばない人は、ただ新規感染者数の減少だけで『もう大丈夫』と安心してしまい、リモートワーク解除など安易に日常に戻ろうとする傾向があります。

他方で、歴史に学ぶ人は、ここで警戒を緩めることがありません。むしろ、成功している経営者たちは、秋冬の再流行に備えて、リモートワーク体制の充実化を図っているほどです。

もちろん、スペイン風邪の事例が今回のケースにそのまま当てはまるとは限らず、今後、何事もなかったかのように新型コロナウイルスが収束する可能性もゼロではありません。

とはいえ、リモートワークの推進は働き方の選択肢を広げ、生産性アップの可能性も秘めています。その仕組みを整えるための投資は、決して無駄にはならないのです。

備えあれば憂いなし。今、収束のきざしがあるからといって、コロナ以前に逆戻りするのではなく、歴史に学び、できる限りの準備を整え、働き方もライフスタイルもアップデートしていきましょう」(小林さん)

■2:SNSを何となくチェックするのはNG

SNSで時間も信用も失うおそれが…
SNSで時間も信用も失うおそれが…

新型コロナは何と言っても人類未経験のウイルス。得体の知れない不安から、気づくとSNSで情報チェックしているという人は多いのではないでしょうか?

もちろん、状況に適切に対処するためには、情報収集は欠かせません。しかし、明確な指針のないまま、ただ自分の気持ちを紛らわせるためだけに、SNSを眺めるのはNGとのことです。

「SNSは、不特定多数の人が発信している以上、信ぴょう性に欠ける情報が少なくないのも事実です。そうした情報をただ漫然と眺めていると、いたずらに不安を煽られ、気づけば膨大な時間を空費してしまうことになります。

何より怖いのは、デマを真実だと信じ込み、よかれと思ってリツイートなどで自ら嘘情報を拡散してしまうこと。だまされたと気づいたときには後の祭りで、自らの信用を大きく損なうことにもなりかねません。

とはいえ、SNSはテレビや新聞など他のメディアよりも速報性があり、無数の投稿のなかには非常に有益な情報もあります。漫然とチェックするのはNGですが、本当に信頼できる人物や企業、組織のアカウントに絞って、うまく活用しましょう」(小林さん)

■3:チーム・取引先・お客様とのつながりを疎かにするのはNG

ピンチのときこそ結束を強める
ピンチのときこそ結束を強める

「今回のコロナ騒動では、外出自粛の要請があり、人と人とが直接対面する機会が極端に制限されました。

このため、外食産業などは大きな打撃を受けたといわれていますが、すべてのお店が沈没したわけではありません。非常事態宣言下でも、お客様との常時接続を試みたお店は、ダメージを最小限に抑えたり、むしろ売り上げアップにつなげたりすることに成功しています。

お店の営業はできなくても、たとえば、メルマガを発行したり、SNSで発信したりなど、オンラインサービスを活用すれば、大切なお客様と常につながることは可能です。

そして、宅配メニューをインスタグラムなどにアップし、さらにそこから注文を受ける仕組みを作れば、お客様にサービスを提供し続けることができます。

そして、忘れてはならないのは、直接の利益をもたらしてくれるお客様だけでなく、ともに働くチームのメンバーや取引先(飲食店であれば食材の仕入れ先など)とのつながり。非常事態においても、ビジネスを継続できるのは、彼らの存在あってこそです。

リモートワーク中は、ともすればチーム内や取引先との連絡を疎かにしがちですが、それが目に見えぬ溝を生み、のちに大きな落とし穴になるおそれはあります。今はオンラインミーティングやチャットのツールもいろいろあるので、こういうときこそ密なコミュニケーションを心がけましょう」(小林さん)

もっともわかりやすい事例として飲食店を挙げてもらいましたが、その他、あらゆる産業において、チーム・取引先・お客様はビジネスの基盤。今こそつながりを強化したいものですね。

■4:前向きに支出の見直しを行わないのはNG

支出とともに生活スタイルを見直すチャンス
支出とともに生活スタイルを見直すチャンス

経済的に混乱している時期は、足元を見直して収入と支出のバランスを図ることが不可欠。今回の新型コロナの影響で、収入が下がった人は、その分、支出を抑える必要があるでしょう。

この点、支出を減らすというと、我慢などネガティブなイメージが伴いますが、見方によっては、生活スタイルの改善という前向きな捉え方もできるようです。

「たとえば、家にある不要なものはメルカリで売ってしまう。そうすれば、お金が得られ、家の中がすっきり片付き、さらに自分にとって本当に必要なものを見極めることができるなど、いいことづくめです。

また、ほとんど利用していないのに、スポーツクラブなどに高い費用をかけているなら、それもカットしましょう。かわりに、自宅でYouTube動画を見てエクササイズをするなど、お金をかけない新しい楽しみ方を見つけます。

事業においても、『必要だと思い込んでいたけれど、実はこれ要らないのでは?』という無駄なコストは探せばいくらでもあるはずです。収入ダウンをただ悲観するだけ。あるいは見て見ぬふりで従来の金銭感覚のまま漫然と過ごすのではなく、いい機会だと思って支出のスリム化をはかりましょう」(小林さん)

■5:自分の本当にやりたいことにストップをかけるのはNG

今、飛ぶしかない!
今、飛ぶしかない!

収入に応じて支出を抑えることは大切ですが、だからといって、自分の本当にやりたいことにストップをかけることはありません。無駄遣いというのは、あくまで自分にとって必要のないことに、お金をかけてしまうこと。自分の挑戦にかけるお金は必要経費だといえます。

「今の仕事を辞めて転職する。副業を始める。独立して起業するなど、やってみたいけれど、二の足を踏んでいることはないでしょうか? 実は、非常事態である今こそ、本当に自分がやりたいことに挑戦するチャンスです。

というのも、大きなトラブルが起きていない平常時にはどうしても『今のままでいい』という現状維持バイアスが働いて、新しい挑戦はやろうと思っても、なかなか一歩が踏み出せません。

他方、失業や大幅な減収などで崖っぷちに追い込まれた人には、『今飛ぶしかない』という覚悟が生まれます。ある意味、ピンチが背中を押してくれるのです。

今は、在宅でパソコン一台あれば、ほとんど元手をかけずに副業や起業ができる時代。実際に私の知人でも、元々は金融機関にお勤めで、現在はヨガのオンライン教室のインストラクターとして活躍している人もいます。

自粛期間中だからといって『今は無理』と萎縮するのではなく、こういう時期だからこそ自分の本当にやりたいことを始めましょう」(小林さん)

■6:自分なりのストレスマネジメントを行わないのはNG

知らず知らずストレスをためこんでいませんか?
知らず知らずストレスをためこんでいませんか?

「“コロナ疲れ”をいう言葉をよく見聞きしますが、日々、悲観的なニュースが流れ、自粛生活が長引く中、誰もがストレスを抱えています。

それに無自覚なまま、知らず知らずのうちに食べ過ぎたりお酒を飲み過ぎたりタバコの本数が増えたりして、自分の健康を害するのは残念なこと。体調不良は仕事のチャンスを逃すことにもつながるので、自分なりのストレスマネジメントの方法を意識的に用意する必要があるでしょう。

たとえば、私の場合、人混みを避けつつ、妻と一緒に散歩することがストレス解消法になっています。どんなときにリラックスできるかは人それぞれですが、暴飲暴食やタバコなど自己破壊的な憂さ晴らしに頼るのではなく、心身に優しいストレス解消法を探してみましょう」(小林さん)

■7:自分のことばかり考えるのはNG

自分にフォーカスするとますます悩みが深まる
自分にフォーカスするとますます悩みが深まる

「新型コロナの影響で収入が減った。失業した。あるいは、今は何とか持ちこたえているものの、事業がかなり厳しい状況に追い込まれているなど、さまざまな経済的不安を抱えている人は多いことでしょう。

しかし、そこで『自分は一体これからどうなってしまうのだろう?』と焦点が自分にばかり向いてしまうと、ますます視野が狭くなり悩みは深まる一方かもしれません。こういうときこそ、ベクトルを自分から他者に向け、『他者(顧客)に貢献するために、自分には何ができるか?』を考えてみることをおすすめします。

というのも、他ならぬ私自身が、どん底に落ち込んだ際、他者貢献の発想によって救われることがあったからです。

東日本大震災の発生時、私は業務委託の仕事をすべて打ち切られ、収入がゼロになるという事態に見舞われました。

当初はもちろん、『なぜ自分は成功できないのか?』とベクトルを自分にばかり向け悩みもがき続けましたが、しかし、あるとき、億万長者の教えを受けて、他者貢献にマインドシフトしてみたのです。

その結果、浮かんできたアイディアは、『自分にはウェブ集客のスキルはあるのだから、それを使って顧客のビジネスに役立つこができるのではないか』というもの。自分が金持ちになるよりも、顧客をお金持ちにするために考えたそのときのアイディアが、今日まで続くビジネスのきっかけになっています。

もし、あのとき、自分にとって辛い状況をどう抜け出すのかばかり考えていたら、とにかくお金が稼げれば何でもいいと安易な仕事選びをしてしまい、その結果、物心ともに満足度の低い人生を送ることになっていたかもしれません」(小林さん)

小林さんの著作『億を稼ぐ勉強法』には、「人は自分のことを考えると悩み、顧客のことを考えると知恵が出る」という教えがあります。もちろん、切迫した状況において、自分のことで頭がいっぱいになるのも無理はありませんが、自分自身を救うためにも、他者のために何かできることがないか考えてみてはいかがでしょうか?

■8:他人を頼らないのはNG

他人を頼れないと孤独になる
他人を頼れないと孤独になる

「ワンマン社長などにありがちなのですが、何でも自力で解決したがり絶対に他者を頼ろうとしない自力思考の人は、ピンチの局面で、ダメージを拡大するおそれがあるでしょう。

一言、『助けて』と言えれば、周囲のサポートで状況を打開でき、上昇気流に乗ることすら可能なのに、他人を頼らない、頼れない人は、それができません。自分からお願いできないばかりか、親切な人が『何か手伝えることは?』と救いの手を差し伸べても、それをはねのけてしまい、自ら泥沼にハマり孤独にもなっていきます。

人を頼ることが苦手な自力思考の人は、非常事態の今こそ、自分を変えるチャンスです。他人の力や応援を借りながら、自分を超えた目標を達成する“他力思考”にマインドシフトしましょう。

まず、自分だけで問題を解決しようと頑張るのをやめる。周囲を信頼して『助けて』とお願いする。そして、助けてもらったら『ありがとう』と感謝する。この3つを実践し、困難な局面を乗り越えましょう」(小林さん)

新型コロナウイルスの影響による未曽有の危機ですが、考え方や行動しだいで、どん底からもきっと脱出できるはず。NGルートは回避して、成功者たちがやっていることを実践し、この苦境を乗り越えていきましょう。

小林正弥さん
ビジネス教育者、作家。株式会社教育スクールビジネス研究所代表取締役
(こばやし まさや)1983年、埼玉県生まれ。2006年、早稲田大学理工学部卒。「本業で結果を出して稼ぎ、結果の出し方を人に教えて稼ぐ」、ダブルインカムの手法を実践する「新・講座型ビジネス実践会」を主宰。「才能をお金に変える専門家」と呼ばれる。25歳で独立したものの全く稼ぐことができず、時給900円の日雇いのアルバイトを経験。家族の治療費のため、自分を最高値で売ることを決意し、1カ月後に毎月210万円の報酬が得られるようになる。その後、自分を「商品」として1億円プレイヤーとなる。著書に『自分を最高値で売る方法』『億を稼ぐ勉強法』『最速で10倍の結果を出す 他力思考』がある。
この記事の執筆者
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WRITING :
中田綾美
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