無骨なデザインとタフな機能を好む層の間で圧倒的な人気を誇るのが、ジープ「ラングラー」とメルセデス・ベンツ「Gクラス」、そしてランドローバー「ディフェンダー」だ。いずれも軍用車をルーツとし、なかでも「ディフェンダー」は2000年代前半に日本での正規販売が途切れたため(クルマ自体は2016年まで生産されていた)、復活を望む声は高かった。そして昨年11月、新世代「ディフェンダー」の先行予約が始まると、限定150台がわずか4日間で完売。期待の高さを裏付ける形となった。通常モデルの受注は今年4月から始まっているが、このたび日本仕様のラインアップが公開されたので、改めて詳細を解説しよう。
日本仕様はオンラインで発表
英国で1940年代から愛されてきた「ランドローバー・ディフェンダー」の新型がいよいよ日本市場に登場。さる2020年6月17日に、ランドローバージャパンは、オンラインで発表会を実施した。
ランドローバーはそもそも米国のジープの優秀性に感銘を受けたローバー社のモーリス・ウィルクの指揮の下、開発されたという歴史を持つ。
航空産業がさかんだった英国だけあってアルミニウムの技術に長けていたため、ランドローバー車も軽量アルミニウムボディを持ち、トルクがたっぷりあるエンジンと、悪路での接地性にすぐれるストロークの長いサスペンションによる走破性の高さをセリングポイントにしてきた(読者諸氏もご存知のとおり)。
ランドローバーとしてスタートし、その後、「90(ナインティ)とか「110(ワンテン)」などホイールベースの長さにちなんだ名称を与えられ、91年から「ディフェンダー」と名づけられた歴史を持つ。
今回のディフェンダーは、2016年で生産終了した初代ディフェンダーの後継として、19年秋に発表された。車名は「ディフェンダー90」と「ディフェンダー110」を引き継ぐ。
時間はかかるが自分好みの仕立ても叶う
特徴的なのは、スタイリングだ。よき道具はよきデザイン、という真理に忠実な初代のイメージを継承し、存在感のあるタイヤと、力強く張り出したフェンダー、それにフロントマスク、リア、そしてルーフと細部まで、ていねいに「ディフェンダー」のイメージをなぞっている。
デザインがなにより魅力的にみえるが、性能の高さもセリングポイントだ。とくにオフロードでの走破性は、深い渡河性能を含めて大きな特徴としてあげられている。
グレード展開は、製造開始から1年間限定の「FIRST EDITION」をはじめ、「S」「SE」「HSE」が用意される。加えて、豊富なオプションを使った4種類の「アクセサリーパック」(「EXPLORER PACK」、「ADVENTURE PACK」「COUNTRYPACK」「URBAN PACK」)が設定される。
価格は「90」が499万円から、「110」が589万円から。グレードはベーシックな「ディフェンダー」にはじまり「S」「SE」「HSE」と従来のランドローバー車のモデル構成に準じる。
高級SUVのつねとして、オプションで選べる範囲が広く、顧客は自分好みのディフェンダーを仕立てられる。だが、早い納期を実現するのも重要と考えるランドローバージャパンでは「Curated Pack」なる5つの仕様を先行販売する。
あいにく、エンジンラインナップの詳細は発表されなかった。ランドローバージャパン広報では、「秋の納車に向けて順次詳細を発表していきます」とオンラインの発表会で語っていた。
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- TEXT :
- 小川フミオ ライフスタイルジャーナリスト