政府の緊急事態宣言も終了し、経済再開に向けて多くのレストランや商業施設が再開した中、久しぶりに明るいニュースが飛び込んできた。JR原宿駅前に完成した「ウィズ原宿」のOPENだ。本来ならが4月25日の開業予定だったが新型コロナウイルスの影響で延期となり、6月5日にOPENするやいなや原宿の新名所として注目を集めている。

マンハッタンのような眺めが楽しめる「資生堂パーラー ザ・ハラジュク」

専用エレベーターで8階でおりると、竹下通り方面を見下ろすラウンジがある。ウェイティングバーやカフェとしても使えるユーティリティスペース。
専用エレベーターで8階でおりると、竹下通り方面を見下ろすラウンジがある。ウェイティングバーやカフェとしても使えるユーティリティスペース。

地上9階建ての建物は1階に「IKEA」や「ユニクロ」、3階部分は「EATALY」「AUX BACCANAL」などの飲食店があり、風が吹き抜けるテラスとなっている。しかしなによりもおすすめしたいのが8階に誕生した「資生堂パーラー ザ・ハラジュク」だ。

神宮の杜を見下ろしながら上質な料理と洗練されたイタリアワインのペアリング

神宮の杜を見下ろしながらのスプマンテ。特別のランチタイムにふさわしいアペリティーヴォだ。
神宮の杜を見下ろしながらのスプマンテ。特別のランチタイムにふさわしいアペリティーヴォだ。

今回「資生堂パーラー ザ・ハラジュク」OPENにあたり、店長となったのは銀座「資生堂ファロ」でシェフソムリエを努めていた本田康志さん。

イタリア・ソムリエ日本一を決めるJETカップ優勝歴もある有名ソムリエで、活躍の場を原宿に移し新たなイタリア・ワインの魅力を提案している。料理は資生堂パーラー伝統のフランス料理をベースとした洋食のスタイル。コンソメスープやカレーライスがあるのも資生堂パーラーファンには嬉しい限りだ。

OPEN直後「資生堂パーラー ザ・ハラジュク」を訪れると早速本多ソムリエが食前酒としてスプマンテをグラスに注いでくれた。極上のランチタイムにはぴったりのアペリティーヴォだ。

この日試したのは前菜、メイン、デザートからなるコース「楠」3,800円。ランチコースは2,800円(平日のみ)、3,800円、6,000円、ディナーコースは6,000円、8,000円、12,000円の3種類づつからなり、本多ソムリエによるドリンクペアリングはランチコース、アルコール4種4000円、ディナーコース、アルコール5種5,000円、6種7,000円、ノンアルコールペアリングもある。

前菜に登場した「ホワイトアスパラガス フランドル風」。アスパラガスと卵という定番の組み合わせには本多ソムリエ・セレクトの北イタリアのピノ・ビアンコを。
前菜に登場した「ホワイトアスパラガス フランドル風」。アスパラガスと卵という定番の組み合わせには本多ソムリエ・セレクトの北イタリアのピノ・ビアンコを。

最初に登場した前菜は「ホワイトアスパラガス フランドル風」、ほのかに歯ごたえを残し、柔らかく火を入れたホワイトアスパラガスには相性の良いボイルドエッグの組み合わせ。

レモンとバターで作るフランドル風ソースの酸味がなんとも心地よい。この料理に本多ソムリエが選んでくれたのが北イタリア、トレンティーノ・アルト・アディジェ州の「シュッテルスタイン ピノ・ビアンコ 2018 Schutterstein Pino Bianco 2018」清涼感ある、すっくりとクリアな印象が際立つ白ワイン。

しかし窓から見えるこの眺めはどうだ。眼下に見えるのは70万平米にも及ぶ広大な明治神宮の杜。しかも今年は明治神宮創建100周年にあたる記念の年なのだ。明治天皇と昭憲皇太后をお祀りする明治神宮創建にあたり、全国から10万本もの樹木が寄付された。以来神宮の杜は平穏と安寧を願う祈りの杜として広く親しまれているのだ。

メインの魚料理「キンメダイのポワレ ウイキョウのソース」キンメダイの上品な脂をウイキョウのソースと辛口白ワインがすっきりと洗い流してくれる。
メインの魚料理「キンメダイのポワレ ウイキョウのソース」キンメダイの上品な脂をウイキョウのソースと辛口白ワインがすっきりと洗い流してくれる。

続いて登場したメインの魚料理は「キンメダイのポワレ ウイキョウのソース」。蒸し煮にして火を入れたキンメダイはなんともいえない柔らかさ。上質な脂をウイキョウのソースが引き締め、後味爽やかな印象を残してくれる。

「キンメダイにはこのワインはいかがでしょう」と続いて本多ソムリエが選んでくれたワインはトスカーナ地方のボルゲリから「グラッタマッコ ヴェルメンティーノ 2017 Grattamacco Vermentino 2017」海辺に近い南トスカーナのヴェルメンティーノは非常にドライで切れ味鋭く、魚料理の余韻を最後まで楽しませてくれた。

デザートワゴンで登場する日替わりデザートから、パリ・ブレスト、シチリア風タルト、イチゴのジェラート。数種類盛り合わせで楽しむのが正解。
デザートワゴンで登場する日替わりデザートから、パリ・ブレスト、シチリア風タルト、イチゴのジェラート。数種類盛り合わせで楽しむのが正解。

コースを締めくくるデザートはワゴンからのチョイスなので、数種類試してみるのもいいかもしれない。上質な料理と洗練されたイタリアワインのペアリング、そして何よりもこの素晴らしい眺め。しばらくは「資生堂パーラー ザ・ハラジュク」が話題となることは間違いない。

そして次回は夜景を楽しめるディナータイムに訪れたい、そう思わせてくれるほど最高のロケーションなのだから。

Restaurant Information

  • 資生堂パーラー ザ・ハラジュク TEL:03-3475-1021
  • 住所/東京都渋谷区神宮前1-14-30 ウィズ原宿 8F
    営業時間/ダイニング ランチ 11:30~15:30(L.O.14:00)、ディナー 18:00~22:00(L.O.20:30)
  • ラウンジ 11:30~22:00(L.O.21:00)
    定休日/月曜日(祝日は営業)、年末年始
この記事の執筆者
1998年よりフィレンツェ在住、イタリア国立ジャーナリスト協会会員。旅、料理、ワインの取材、撮影を多く手がけ「シチリア美食の王国へ」「ローマ美食散歩」「フィレンツェ美食散歩」など著書多数。イタリアで行われた「ジロトンノ」「クスクスフェスタ」などの国際イタリア料理コンテストで日本人として初めて審査員を務める。2017年5月、日本におけるイタリア食文化発展に貢献した「レポーター・デル・グスト賞」受賞。イタリアを味わうWEBマガジン「サポリタ」主宰。2017年11月には「世界一のレストラン、オステリア・フランチェスカーナ」を刊行。