「乱り」ってどういう意味?使い間違いの多い、要注意な日本語です!
本日7月28日は、日本文芸界に「推理小説」というジャンルを定着させたパイオニア・江戸川乱歩の忌日『乱歩忌』です。
江戸川乱歩が文壇に登場する以前は「推理小説」というジャンルは日本には存在せず、また、その系統の小説と言えば海外作品の翻訳ばかりで、当時は「探偵小説」と呼ばれていたのだそう。日本人の創作として初の「探偵小説」を執筆したのは乱歩で、彼は実際に探偵として勤務した経験も持っていたそうです。
作家として活躍すると同時に「探偵作家クラブ(のちの一般社団法人日本推理作家協会)」を設立、評論なども手掛け、有望な後進を発掘するプロデューサー的な手腕も発揮した乱歩は、紫綬褒章、勲三等瑞宝章などの勲章も受賞しています。…改めてすごい人だったのですね!
乱歩作品でおなじみの怪人二十面相、探偵・明智小五郎、少年探偵団などのキャラクターは、今もさまざまな作品にオマージュされています。筆者は小学生のころ、図書室にあった「怪人二十面相」の描かれた子供向けリメイク小説の表紙が怖くて、その前を通る時は、いつもドキドキしていました(笑)。
本日は「乱」という漢字にスポットをあてたクイズをお送りします。
【問題1】「乱り」ってなんと読む?
「乱り」という日本語の読み方をお答えください。
ヒント:「自分勝手/軽率/道理を無視する」などの意味を持つ日本語です。
<使用例>
「この会食はプライベートよね?乱りに会社名の領収書をもらうべきじゃないわ!」
…さて、正解は?
※「?」画像をスクロールすると、正解が出て参ります。
正解は… 乱(みだ)り です。
「みだり」という日本語には、ほかに「妄り/濫り/漫り」などの表記もあります。ヒントで上げたようなさまざまなニュアンスがあるものの「みだり=むやみやたらと」的な解釈がわかりやすいでしょう。
混同されがちな日本語に「みだら(淫ら/猥ら)」がありますが、「みだら」は「性に関して不真面目/淫猥」という意味ですので、1文字違いで大違いです。言い間違いにお気をつけください。
実は「みだり」という日本語は意味合いが広く「みだら」と同じ意味でも使えるのですが、
「みだら」という日本語には「性に関して不真面目/淫猥」という一つの意味しかありません。
ですので、
「あまり胸元のあいた服は、みだらな感じがして嫌だわ」という表現は「みだりな感じがして嫌だわ」と言っても意味がとおりますが、
「みだりに備品を使わないように」と「みだらに備品を使わないように」では、全く意味が違ってしまいます。
日本語の乱(みだ)れに、お気をつけください。
というところで、2問目に参りましょう。
【問題2】「霍乱」ってなんと読む?
「霍乱」という日本語の読み方をお答えください。
ヒント:「日射病のこと。夏に起きやすい急性の病気の古い呼称」という意味です。
<使用例>
「ジムで鍛えあげたボディが自慢の彼が病欠だなんて、『鬼の霍乱』ね」
さて、正解は?
※「?」画像をスクロールすると、正解が出て参ります。
正解は… 霍乱(かくらん) です。
ヒントの例文に登場した『鬼の霍乱』という慣用句、耳にされたことがあると思います。文脈的に意味の想像はつくけれど、正しい意味はよく知らない、という方も多いのでは?
『鬼の霍乱』とは、ふだん体が丈夫でいかにも強そうな人が体調を崩すことを「鬼が熱射病になるような、意外な体調不良」と表現することで、その意外性をきわだたせる意味を持った慣用句です。「かくらん」というと「混乱が起きるよう、かき乱す」という意味の「攪乱(かくらん)」を連想する方もいらっしゃるかもしれませんが、「鬼の霍乱」とは全く関係ありません。年配の方から「鬼の霍乱ね!」と言われた際など、カン違いしないようご注意を。
また「鬼の霍乱」は、立派な体躯を持った方をほめる意味よりも、体調不良に対して「あんなに丈夫な人が病気だなんて!」と、やや軽視したり茶化したりするような印象が強い言葉ですので、使い方にも注意が必要です。
ご自身やお身内の体調不良に関して「鬼の霍乱です」と表現して相手の気遣いを和らげる際には有効ですが、目上の方や第三者の体調不良に関しては、使わないほうが無難です。
本日は『乱歩忌』にちなんで、
・乱(みだ)り
・霍乱(かくらん)=熱射病/夏の急な体調不良
という日本語をおさらいしました。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- ILLUSTRATION :
- 小出 真朱