「左手」って「ひだりて」以外になんと読む?「右手」も「みぎて」以外の読み方があるのです!
本日はまず、1問目のクイズから開始しましょう。
【問題1】「然様なら」ってなんと読む?
「然様なら」という日本語の読み方をお答えください。
ヒント1:ほとんどの人が、毎日のように自然に使っている言葉です。
ヒント2:「左様なら」とも表記します。
さて、正解は?
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正解は… 然様(さよう)なら です。
はい、お別れの際のあいさつの言葉です。こんな漢字を書くのですね!
「然」という漢字には「前に起こったことを示す」意味があり、
「然様なら」は「そういうことならば」という意味の「然様ならば」の略語で、
「そういうことならばお別れしましょう」という意味になります。
「然様(さよう)」は「然様でございます=そうです」のような表現にも使用されますので、前に起きた特別なことを表現する、というよりは、前提として起きたことをふまえてのクッション言葉的な意味合いで使用されることが多いようです。
ですので、お別れの挨拶である「然様なら」は「用事が完了したので」や「そろそろいい区切りなので」、「お別れです」というような意味合いで、より口語的に言い換えるならば「そろそろバイバイね~」的なニュアンスになるでしょう。
「然様」は「左様」とも表記しますが、字の意味合い的にふさわしいのは「然様」のほうであり、「左様」は「左」という字を「さ」とも読むことからできた当て字のようです。
「左」「右」など、日常生活に関係の深い漢字は、当て字として置き換えやすいのですね。「左様なら」がクイズの問題であれば、簡単に正解できてしまいましたよね?
さて、本日の1問目にこの出題をしたのは、実は「左」という漢字のほうにフォーカスしたからです。本日8月13日は、国際的な「左利きの日」なのです。
「左利きの日」は、イギリス・ロンドンの、左利き用品専門店が1992年に制定したもので、8月13日は提唱者の誕生日なのだとか。…と聞くと限定的なようにも思えますが、
「左利きの人の生活環境向上のため」「左利きでも安全に使える道具を作ってもらえるように」「左利きの子どもが学校で困ることのないように」などのコンセプトが注目され、世界的に知名度の高い記念日となったようです。
というところで、2問目に参りましょう。
【問題2】「左手」って、「ひだりて」以外になんと読む?
「左手」の「ひだりて」以外の読み方をお答えください。
ヒント:正解と対になる、「右手」の「みぎて」以外の読み方は「めて」です。
…さて、正解は?
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正解は… 左手(ゆんで) です。
「左手(ゆんで)・右手(めて)」という表現は、馬上で弓をひく時の手の使い方に関係する、古来の日本語です。
弓を持つ方の手、という意味で「弓の手」から「ゆんで(左手)」、
矢をつがえて的を定めたり馬の手綱を持って操るほうの手を「馬の手」という意味の「めて(馬手/右手)」と呼んだことから来ています。「馬」という漢字は「め」とも読むので先にできたのが「馬手(めて)」で、この作業をするには利き手を使う、という意味で「右手(めて)」という字があてられるようになったのでしょう。
「ゆんで・めて」…和の風情を感じる素敵な響きでもありますが、この言葉ができた時代に左利きだった人は、苦労されたかもしれません。
視点を変えれば、スポーツでサウスポーの選手や、両手を利き手とできる選手が手強いケースがあるように、この時代に「めて=左手」の武士がいたら、敵が意表を突かれ、大活躍したのではないか?とも想像できますよね?
国際的な『左利きの日』、「どちらが利き手か?」というテーマに限らず、多様な個性に目を向け、認め合うことの大切さを考えさせられます。
別々の個性を互いに思いやることは、社会の熟成・向上に不可欠な視点でしょう。
本日は、
・然様(さよう)なら/左様(さよう)なら
・左手(ゆんで)
・右手(めて)
という難読漢字の背景をおさらいしながら、「個性」と「社会」について考えてみました。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- ILLUSTRATION :
- 小出 真朱