改めまして、ご挨拶させていただきます!

『Precious』、『MEN’S Precious』両誌で、長く時計関係の記事を担当させていただいてきたお陰もあって、近年は「ウォッチ&ジュエリージャーナリスト」という肩書でご紹介いただくことが多くなった、岡村佳代と申します。

毎年スイスで取材をする機会を与えていただいている新作時計のエキシビション、1月のS.I.H.H.(ジュネーブサロン)と3月のバーゼルワールド。時計関係の編集者やジャーナリストが集結するこのイベントでも、気づけば多分、女性ジャーナリストとしては敬愛する『世界の腕時計』の香山知子編集長に次ぐキャリアを重ねており、いつの間にか「ベテラン」枠に入れていただいているようです。畏れ多いことです。

もちろんそれは私の誇りでもありますが、いくつになってもなかなかゼロにならない乙女心のようなものは、ちょっと傷ついたりもして微妙。とはいえ、前身メディア『LIVErary.tokyo』から携わらせていただいているこのPrecious.jpで、こうして連載をもたせていただけるような「ベテラン」(笑)になれたことは、やっぱりうれしいので、これから私の「ジャーナリスト魂」をこちらで炸裂させていただく所存です!

スイスにて取材中の岡村佳代さん
スイスにて取材中の岡村佳代さん

よく耳にする「トゥールビヨン」とは?

さて、まずは連載タイトルにした『おしゃべりトゥールビヨン』について。「なんのこっちゃ!?」と思われる方も多いでしょう。

「トゥールビヨン」とは、フランス語で「渦巻」と言う意味。向きによって進み方が変わる機械式時計の精度を補正するために、時を刻む心臓部を一定の速度で回転させる機構のことです。

名門ウォッチブランド・ブレゲの創始者であり、伝説の天才時計師、アブラアン=ルイ・ブレゲが1801年に発明しました。現在では、くるくる回る機構が見えるように文字盤をくり抜いて、デザインの主役に据えるブランドがほとんどと言っていいでしょう。

そう、この連載は、時計や、ときにはジュエリーに関するいろいろなおしゃべりが、「清く」はないかもしれないけれど、楽しく美しく、「トゥールビヨン」のように回っていくというイメージなのです! 実は以前、ある時計専門のタブロイド誌で、同タイトルの連載をしていたのですが、私自身とても愛着のあるタイトルなので、ここで不死鳥の如く蘇らさせていただきました。

というわけで、その「トゥールビヨン」の具体例を一本、お見せしたいと思います。

シャネル「プルミエール フライング トゥールビヨン」¥25,025,000 〔ケース:ベージュゴールド×ダイヤモンド ケースサイズ:縦37×横28.5㎜ ストラップ:アリゲーター 手巻き〕※世界限定20本
シャネル「プルミエール フライング トゥールビヨン」¥25,025,000 〔ケース:ベージュゴールド×ダイヤモンド ケースサイズ:縦37×横28.5㎜ ストラップ:アリゲーター 手巻き〕※世界限定20本

世界的に女性の間で「機械式時計への意識」が高まっている昨今。女性のための見目麗しいトゥールビヨンも見受けられるようになりました。それらのなかでも群を抜いてエレガントなトゥールビヨンを世に送り出したのは、やっぱりシャネル! ガブリエル シャネルが愛したカメリアの花をモチーフにしたトゥールビヨンは、どんな大粒の宝石より強いオーラを放ちます。

『Precious.jp』がローンチされたとき、編集長の渡邉は私にこう言いました。

「『Precious』と『MEN’S Precious』を“お城”とするなら、Precious.jpは“城下町”です」と。

その意はこのPrecious.jpが「日本人向けのラグジュアリーの入り口」ということのようですが、この『おしゃべりトゥールビヨン』はこの城下町で――「ラグジュアリー、ときどき下世話」というバランスで繰り広げられる淑女と紳士(笑)の立ち話に加わっていただく感覚で、ゆるーく読んでくださったらうれしいです。

「人の時計やジュエリーをチェックする」という習性

すっかり前置きが長くなってしまいましたが、そんなわけで長年ウォッチ&ジュエリー界に身を置いてしまった私は、いつの間にか無意識に、「人の時計やジュエリーをチェックする」というあさましい習性を身につけてしまいました。街を歩いているときも、そしてテレビや新聞、雑誌を見ているときも。

特に、その人のパーソナリティを映し、センスや生き様みたいなものまでをも語るのが「腕時計」。華やかな女優さんやスター、知的なニュースキャスター、そして“ドヤッ”な時計を好まれる、野球選手やサッカー選手etc…。家や、スパのサウナで寛いでいても、テレビに腕時計をした人が映っていると、目を剥いてチェックしてしまうので、気の休まる時間がありません。

そんな私が昨年からすごく気になって、ウォッチウォッチングを続けてきたのが、政治家の先生たち。きっかけは昨夏の都知事選のヒロイン・小池百合子さんが、必ずオメガの「コンステレーション」をつけていることに気づいたことでした。

小池百合子さんの相棒はオメガの「コンステレーション」

オメガ「コンステレーション」を着用する小池百合子さん。 photo:Shutterstock/アフロ
オメガ「コンステレーション」を着用する小池百合子さん。 photo:Shutterstock/アフロ

都庁に初登庁した際も、小池百合子さんの手元には、選挙戦中からずっと付けていらしたオメガの時計「コンステレーション」が!

ご存知のように選挙に圧勝し、都知事に就任。以来、高い支持率を誇り続けている小池都知事ですが、今もその手首には必ずといっていいほど、オメガの「コンステレーション」をお見受けすることができます。調べてみると、それはステンレススチールとゴールドのコンビで、ダイヤモンドインデックスのクオーツモデル。おそらく1998年前後に発売されたタイプのようです。小池都知事の画像を発掘していくと、かなり以前から長い間愛用されていることもわかりました。

1988年ごろに発売されたオメガ「コンステレーション」 写真提供/OMEGA
1988年ごろに発売されたオメガ「コンステレーション」 写真提供/OMEGA

いろいろと調べた結果、小池百合子さんが実際に愛用されているモデルは、1998年ごろに発売されたもののようであるということが判明。現行モデルとの大きな違いは、ベゼルのサイドに施された、「コンステレーション」を象徴する4本の爪の形です。現行モデルより少し丸みを帯びたシェイプがフェミニンな印象で、20年近くの歳月を経てた今も、魅力は褪せません。

断らせていただきますが、私は人様に主張できるような政治的思想は残念ながら持ち合わせていないので、ここで「百合子バンザイ!」などと申すつもりはございません! でも、決して華美になり過ぎず、だけど信頼のおける一流ブランドの品格が漂うオメガ、そのなかでもコンビの「コンステレーション」をセレクトし、長年愛用し続けている小池百合子都知事の、完璧な時計選びのセンスには脱帽しました。

「政治家、それも女性政治家なら、これ以上はないセレクトだわーー」

小池百合子さんの時計に近い現行モデル。オメガ「コンステレーション プリュム」¥800,000 〔ケース:ステンレススチール×イエローゴールド×ダイヤモンド ケース径:24㎜ ブレスレット:ステンレススチール×イエローゴールド クオーツ〕
小池百合子さんの時計に近い現行モデル。オメガ「コンステレーション プリュム」¥800,000 〔ケース:ステンレススチール×イエローゴールド×ダイヤモンド ケース径:24㎜ ブレスレット:ステンレススチール×イエローゴールド クオーツ〕

ラグジュアリーなブルガリの「ルチェア」を着用する場面も

そんな小池都知事ですが、最近初めて違う時計をつけていらっしゃる写真を目にしました。それは6月28日に発表された、『第2回 ブルガリ アウローラ アワード』を受賞されたというニュース記事。『ブルガリ アウローラ アワード』というのは、ブルガリ ジャパンが昨年度創設した、「Inspiring Women~創造力と知性、そして才能に満ちあふれ、多くの人々にインスピレーションを与える女性~」の功績や活動を讃える賞。キャスター・滝川クリステルさんの推薦で今年度の『ブルガリ アウローラ アワード』に輝いた小池都知事の手元には、とってもシンプルなピンクゴールドとステンレススチールのコンビの「ルチェア」が! 胸もとの「ディーヴァ」のネックレスとともに、洗練された大人の女性のウォッチ&ジュエリーコーディネートが強いインパクトを残しました。

ブルガリ「ルチェア」着用の小池百合子さん。 Photo:Kazumi Kurigami
ブルガリ「ルチェア」着用の小池百合子さん。 Photo:Kazumi Kurigami
ブルガリ「ルチェア」¥730,000 〔ケース:ステンレススチール×ピンクールド ケース径:28㎜ ブレスレット:ステンレススチール×ピンクゴールド クオーツ〕
ブルガリ「ルチェア」¥730,000 〔ケース:ステンレススチール×ピンクールド ケース径:28㎜ ブレスレット:ステンレススチール×ピンクゴールド クオーツ〕

これらが小池都知事の私物か否かを調べてみたものの力及ばず、そのあたりははっきりわからずで申し訳ございません! でもこの受賞を機に、小池都知事の、成熟した女性にしかできないブルガリのウォッチ&ジュエリーコーディネートも、いつか拝見できたらいいなと少しワクワクしています。

長くオメガの「コンステレーション」を愛用し続ける一途さも、とても素敵で、それが小池百合子という政治家なのかもしれないけれど。

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この記事の執筆者
東京都出身。大学在学中から雑誌『JJ』などで執筆活動を開始。女性向け本格時計のムックに携わったことから、機械式時計に開眼。『Precious』などの女性誌において、本格時計の魅力を啓蒙した第一人者として知られる。SIHHとバーゼルワールドの取材歴は、女性ジャーナリストとしては屈指のキャリアの持ち主。好きなもの:海、ハワイ(特にハワイ島)、伊豆(特に下田)、桑田佳佑様、白い花、シャンパン、純米大吟醸酒、炊きたてのご飯、たまご、“芽乃舎”の野菜だし、“エルメス”のバッグと“シャネル”の靴、グレーのパーカー、温泉、スパ、素敵旅館、村上春樹、宇野千代先生、神社、日本の陶器(特に唐津焼)、朝ドラ、ドラミちゃん、長文のインタビュー原稿