「衣被」ってなんのこと?え?ファッション用品じゃないの?
本日8月19日は『俳句の日』です。わかりやすい語呂合わせですね。
俳句というと高尚なイメージがありつつも、日本人ならみな、学生時代に国語の授業などで、一度は「詠んでみた」ことがあるのでは?五七五の十七音に「季語」を入れて季節感を出す…という部分が大きな特徴ですよね?
そこで本日は『俳句の日』らしく、この季節の「季語」をクイズにいたします。
【問題1】「蜩」ってなんと読む?
「蜩」という日本語の、俳句の季語になっている読み方をお答えください。
ヒント1:俳句の季語になっていない読み方に「せみ」があります。
ヒント2:「朝夕に甲高い声で鳴く、セミの一種」のことです。
…さて、正解は?
※「?」画像をスクロールすると、正解が出て参ります。
正解は… 蜩(ひぐらし) です。
日暮(ひぐらし)とも表記します。
本日8月19日は、季語のくくりとしては、「夏」ではなく、「初秋」に入ります。
季語は、ひとつの季節を「初秋」「仲秋」「晩秋」などと3つに区切って細やかに表現するものと、
季節を通した「三秋(または三春・三夏・三冬など)」の季語として、おおらかに四季をとらえて表現するものがあります。
「蜩(ひぐらし)」は「初秋(二十四節季の<立秋>~<処暑>/8月7日ごろ~9月6日ごろ)」を表現する、細やかな季語になります。
「せみ」の表記としては「蝉」がポピュラーですが、こちらの漢字を使用すると、「ミ~ンミンミン…」と体を限りの大きな鳴き声でおなじみの「せみ」を指し、季語としては「晩夏」の分類です。
「蜩」の漢字を使うと、「ひぐらし」と読んでも「せみ」と読んでも「初秋」の季語になります。
季語として登録されているのは「蜩(ひぐらし)」という言葉ですが、十七音での表現上、「蜩(せみ)」と読ませても、この漢字を使用していれば「初秋」を表現できる、ということでしょう。
さて、2問目のクイズも、今の季語からお送りします。
【問題2】『衣被』ってなんのこと?
初秋の季語「衣被(きぬかづき)」とは、なんでしょうか?以下の選択肢の中から選んでください。
1:食べもの
2:着るもの
3:生きもの
…さて、正解は?
※「?」画像をスクロールすると、正解が出て参ります。
正解は… 1:食べもの です。
季語としては「衣被(きぬかづき)」と読むようですが、口語上は「衣被(きぬかつぎ)」という呼び方で呼ばれる事が多く、
「里芋の子芋を皮のまま茹でた料理」を指します。
食べる時に指で皮をむきつつ、少し塩をつけたりしていただく料理で、和食屋さんの突き出しなどにも提供されますよね?
里芋といえば、立派な大きさになると皮をむくのに難儀するものですが、まだ一口大の子芋を茹でた「衣被」は、指で簡単にツルっとむける、という工程も楽しいメニューです。
「きぬかつぎ」「衣被(きぬかづき)」という呼び方は、「昔の女性が外出の際に頭から小袖をかむっていた姿」に似ていることに由来します。
四季のある国ならではの「季語」には「日本」という国の古来の生活が盛り込まれています。現代は技術の発達で、「その時期にしか手に入らないモノ」が減っていますが、
「季語」を調べてみると「なるほど!あれは本来、この季節のモノなのね」と改めて確認できたり、
「日本人はこういう事にも趣を感じてきたのね」と発見できたり、楽しみながら教養を深めることができます。
本日は『俳句の日』にちなんで、この季節「初秋」の季語
・蜩(ひぐらし)
・衣被(きぬかづき)
をおさらいしてみました。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- ILLUSTRATION :
- 小出 真朱