「草臥れる」ってなんと読む?由来に納得!の日本語です!
本日8月22日は、文豪・島崎藤村の忌日『藤村忌』です。学生時代『破戒』『夜明け間』などの代表作を暗記した経験、おありですよね?
本日は島崎藤村にちなんだ難読漢字クイズをお届けします。
さっそく1問目です。
【問題1】「草臥れる」ってなんと読む?
「草臥れる」という日本語の読み方をお答えください。
ヒント:「疲れて元気がなくなる」「気力や若さを失う」などの意味を持つ日本語です。
<使用例>
「私、草臥れた時ほど旅行に行きたくなるのよね。」
…さて、正解は?
※「?」画像をスクロールすると、正解が出て参ります。
正解は… 草臥(くたび)れる です。
「疲れて草に臥(ふ)す」状態に由来する言葉だと言われています。
『藤村忌』になぜこの言葉をクイズにしたかと言うと、島崎藤村のペンネームに関係があります。
「島崎藤村」の本名は島崎春樹さんで、「藤村」はペンネームです。由来について、藤村自身が雑誌のアンケートに「蕉翁が藤の花の句から思ひついた(松尾芭蕉の藤の花の句から思いついた)」と答えた記述が残っています。こちらの句です。
~ 草臥れて 宿かる頃や 藤の花 ~ 松尾芭蕉
この句を思い浮かべてペンネームを決めた時のシチュエーションは「傷心旅行中」だったという説が散見されます。藤村は若い頃、女学校高等科で英語教師をしていたのですが、教え子を愛し、自責の念から辞職しています。
その折、傷心旅行に出かけた際に「藤村」というペンネームを考えたのではないか?という説です。
平行して、その教え子の姓名に「藤」の字が入っているのでそこからとった、とする説、
当時傾倒していた評論家で詩人の「北村透谷(きたむらとうこく)」の名から「透」と「村」をとった、とする説なども散見されます。
さて、引き続き島崎藤村にちなんだ、2問目の日本語クイズです。
【問題2】「激る」ってなんと読む?
「激る」という日本語の読み方をお答えください。
ヒント:「強い感情がわき起こる」「湯が煮え立つ」などの意味を持つ言葉です。
「勝ち負けがからむと、血が激るわ~!」
…さて、正解は?
※「?」画像をスクロールすると、正解が出て参ります。
正解は… 激(たぎ)る です。
学生時代、音楽の教科書に『椰子の実』という曲が載っていませんでしたか?この曲の詩は明治時代に藤村が描いたもので、昭和に入って曲がつきました。
~ 名も知らぬ遠き島より 流れ寄る椰子の実一つ ~
という、歌い出しの部分は思い浮かぶ、という方も多いのでは?
この詩の後半に「激(たぎ)る」という言葉が出てくるのです。
~ 海の日の沈むを見れば 激(たぎ)り落つ異郷の涙 ~
海を漂い続けた「椰子の実」が、故郷を懐かしみながら、流れ着いてしまった異郷で熱い涙を流している…という、なんとも抒情的な詩です。
感動や勝利のシーンで涙が「激(たぎ)り落つ」ならわかりやすいですが、
異郷に流れた我が身を憂えての涙に「激(たぎ)り落つ」という表現を組み合わせるとは。凡人ではとても考えつかないですよね?鮮烈で、かつ、もの悲しさが迫ってきます。
今週末は、藤村の詩や小説に親しんでみるのも、素敵な過ごし方かもしれません。
本日は『藤村忌』にちなんで、
・草臥(くたび)れる
・激(たぎ)る
という日本語をおさらいいたしました。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- ILLUSTRATION :
- 小出 真朱