8400馬力で12気筒の、めちゃくちゃ速いフェラーリ。その名も『812スーパーファスト』。フェラーリが伝統的につくり続けるV型12気筒を搭載するフロントエンジン・後輪駆動車で、桁外れのパワーを持つ。最高速度は340km/hだ。発表されたのは2017年。その後『SF90ストラダーレ』や『フェラーリ・ローマ』といった新しいコンセプトのモデルが誕生しているが、もし、あなたが仕事も遊びもファッションも“最高峰”を目ざし、トップ・オブ フェラーリに乗らんとするならコレだ。今も(量産モデルの)フラッグシップに君臨する名品である。

乗ってこその名品!

フェラーリ『812スーパーファスト』

● ボディサイズ:全長4,657×全幅1,971×全高1,276mm ● 車両重量:1,630kg ● エンジン:V型12気筒DOHC48バルブ ● 総排気量:6,496cc ● 最高出力:588kW(800cv)/8,500rpm ● 最大トルク:718Nm/7,000rpm ● トランスミッション:7速F1 DCT価格:¥41,280,000~(税込)(フェラーリ・ジャパン)
● ボディサイズ:全長4,657×全幅1,971×全高1,276mm ● 車両重量:1,630kg ● エンジン:V型12気筒DOHC48バルブ ● 総排気量:6,496cc ● 最高出力:588kW(800cv)/8,500rpm ● 最大トルク:718Nm/7,000rpm ● トランスミッション:7速F1 DCT価格:¥41,280,000~(税込)(フェラーリ・ジャパン)

ただ正直なところ、よほどの腕がなければすべてを味わい尽くすことはできない。クレバーな電子制御により、心地よく街中や郊外を流すことはできる。体の芯に響くエグゾーストサウンドに酔いしれながら、スポーツカーの操作性を満喫することもできる。高速道路を走れば、人馬一体となる比類無きアグレッシブさに全身が歓喜するほどだろう。だがこれらは序章に過ぎない。

長いフロントノーズの、それも極力車体の中心に近い位置に搭載された、珠玉のV型12気筒エンジン。高回転になるほど美しく鳴り響くサウンドを聴くために、男はアクセルペダルを踏み続けるのだ。
長いフロントノーズの、それも極力車体の中心に近い位置に搭載された、珠玉のV型12気筒エンジン。高回転になるほど美しく鳴り響くサウンドを聴くために、男はアクセルペダルを踏み続けるのだ。
操作系をステアリングホイールに集中させた、レーシングカー譲りのコクピット。メーターパネル内のモニターに、カーナビゲーションのマップを映し出すこともできる。とても見やすく、快適!
操作系をステアリングホイールに集中させた、レーシングカー譲りのコクピット。メーターパネル内のモニターに、カーナビゲーションのマップを映し出すこともできる。とても見やすく、快適!

ドライブモードを変えるとハイパフォーマンスな運転特性が顕著になっていき、あらゆる制御を解除するモードでは、レーシングカーそのものに化ける。もちろん使用はサーキットで。ローンチボタンひとつで、F1さながらに停止状態からの爆発的なスタートダッシュだってできる。まるで危険。そこがいい。攻略しうるクルマなら、ラスボスを倒したゲーム同様、飽きがくる。

フロントから写真のリアフェンダーまで随所に空気の流れを制御するデザインが。この大胆で力強くも優美なフォルムが、風を味方につける。いつの時代もフェラーリは速さを体現してきた。
フロントから写真のリアフェンダーまで随所に空気の流れを制御するデザインが。この大胆で力強くも優美なフォルムが、風を味方につける。いつの時代もフェラーリは速さを体現してきた。
丸型4 灯のテールライトも〝フェラーリ〟の伝統。ロングノーズ・ショートデッキの車体の随所に、アイコニックなディテールが取り入れられている。だれもがひと目で〝フェラーリ〟とわかる仕掛けだ。
丸型4 灯のテールライトもフェラーリの伝統。ロングノーズ・ショートデッキの車体の随所に、アイコニックなディテールが取り入れられている。ひと目でフェラーリとわかる仕掛けだ。

乗るたびに新たな挑戦をさせてくれてこその跳ね馬だ。だってこの名クルマ品は、贅沢な究極の大人のオモチャなのだから。気高く攻略し難いほどに、楽しいプレイタイムが永く永く続くのだ。

この記事の執筆者
TEXT :
MEN'S Precious編集部 
BY :
MEN'S Precious2020年夏号より
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PHOTO :
篠原晃一
WRITING :
林 公美子
EDIT :
櫻井 香