フィレンツェのサルトリアを訪ねたり、地元の名士に招かれると、しばしば玄関先で、鼻先をくすぐる心地のいいにおいがする。その多くが、ほぼ間違いなくサンタ・マリア・ノヴェッラのポプリの香りだ。ポプリを詰めたネイビーやエンジ色の袋は、日本でもよく見かけるようになった。
心に入り込む、サンタ・マリア・ノヴェッラの神秘の香りの秘密
ポプリの製造は、フィレンツェ近郊の丘にある、サンタ・マリア・ノヴェッラが所有するハーブ園で栽培した植物を、まず乾燥させる。植物の詳細は企業秘密だが、ローズマリー、エニシダ、ひまわり、バラの花びらなど、10種類をブレンド。
そこに、ほぼ同じ種類の植物から抽出したエッセンスを加え、テラコッタの壺に入れ、数か月間熟成させたものがポプリとなる。しかし、現在は壺に入れて熟成させるのではなく、ポプリの均質性や高品質を保つため、専用の機械を使って熟成発酵させ、25日程度で完成する。
サンタ・マリア・ノヴェッラのポプリはこうして作られる
1612年に薬局として許可され、営業を開始したサンタ・マリア・ノヴェッラが、ポプリをつくり出したのは、17世紀半ばとされる。以来、数百年繰り返されてきた珠玉のレシピを用いたポプリは、時代や世代を超えて心に入り込む、神秘の香りだ。
- TEXT :
- MEN'S Precious編集部
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- PHOTO :
- 仁木岳彦
- EDIT :
- 矢部克已(UFFIZI MEDIA)