夏号の特集「男だからこそ美しい 洗練ゴールドの名品時計」では、日常のシーンを鮮やかに彩る名品時計の着こなしスタイルを披露した。ここでは、掲載された7本のゴールド時計の詳細を徹底レポート。第4回は、パネライの『ルミノール ドゥエ PAM 1042』だ。
雑誌メンズプレシャス夏号で紹介した名品時計の詳細をレポート!
パネライ史上最も薄いケースと芳醇な輝きのゴールド素材が、その歴史を塗り替える!?
第一次世界大戦のころから、イタリア海軍に時計をはじめとする精密機器を供給してきたという出自を持つパネライは、タフネスの象徴として男たちの心を掴み続けている。ただそれだけに、パネライにおけるゴールドというケース素材をイメージしにくい人も少なくないだろう。
しかし、そのケースの圧倒的な存在感と、ゴールドとの相性は抜群だ。
2019年末に発表されたこの『ルミノール ドゥエ PA M1042』。いかにもパネライらしい「ルミノール」の顔つきに、ラグジュアリーな迫力を添えるのは、独自に開発した金属素材「ゴールドテック™」だ。18Kに銅とプラチナ を配合した特別な合金は、通常のゴールドよりも銅によって赤味が強く芳醇なカラーニュアンスが与えられ、プラチナによって酸化による変色を押さえるため、美しい輝きの永続性を約束する。
そんな独特のゴールドが、パネライ史上もっとも薄い「ルミノール ドゥエ」のケースがもたらすひと匙のエレガンスと融合し、類稀な個性を発揮するラグジュアリースポーツウォッチに仕上がった。
そして『ルミノール ドゥエ PA M1042』に採用されているのは、自社工場で開発された最も薄い自動巻ムーブメントのひとつ、「P.900キャリバー」。3日間パワーリザーブ、日付表示搭載しながら、厚さはなんと4.2mm。エレガントなプロポーションを損なうことなく、現代を生きる男に必要な実用性もしっかり備えているのだ。
1860年にイタリア・フィレンツェで創業したパネライだが、「ルミノール」や「ラジオミール」を含むその製品は、イタリア海軍の軍事機密として長く門外不出とされてきた。その存在が白日の下となったのは、1997年。リシュモングループの傘下に入り、国際市場で鮮烈なデビューを果たしたのである。
あまりにもその登場がドラマティックであり、大ブレイクしたことから、当初は一発屋として終わるかもしれないと危惧する関係者も多かった。
しかし、例えば露出する媒体を限定するなど、綿密なマーケティング&PR戦略や、何より確たる歴史的背景と魅力的なプロダクトによって、それらの危惧は一蹴され、ラグジュアリーウォッチブランドとしての立ち位置をしっかりと築き上げたのだ。
軍用時計に端を発するブランドによる、ラグジュアリースポーツウォッチ
そして今日では、スイスの時計産業の聖地・ヌーシャテルに自社工場を構え、ムーブメントの開発から製造まで一貫して行うマニュファクチュールブランドへと成長している。
イタリアの色香とスイスの技術力を持ち併せる『ルミノール ドゥエ PAM1042』は、パネライの現在地をしっかりと示すと同時に、これまでと同じように男たちの憧憬を集めるだろう。
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- TEXT :
- 岡村佳代 ウォッチ&ジュエリージャーナリスト
- PHOTO :
- 水田 学(NOSTY)
- STYLIST :
- 菊池陽之介