ザラザラとした表面と色合いから、石を削り出したような箱。これは紛れもなく、コウゾ100%の和紙でつくった大小の箱である。
日本古来の手漉きがアートに!
ハタノワタルの和紙と箱
箱を製作したのは、和紙職人のハタノワタルさん。ハタノさんは仕事に就きはじめた頃、紙漉きに徹した寡黙な職人になろうとしていた。だが、仕事で出会った大工や左官などの優秀な職人は、むしろ、自分たちの仕事にプライドを持ち、いかに伝統的な仕事であるかを周囲に主張していた。
そこで、ハタノさんは、紙を漉くだけではなく、強度のある和紙を壁、床、天井などの内装材に利用。それだけではなく、日本古来の和紙の文化や特性を広めるために、日常的に役立てるもののひとつとして、箱をつくった。
長く受け継がれてきた日本の伝統的な技や仕事でも、ときに途絶えてしまうことを危惧したハタノさんは、今、「アートになった箱」も含めて、和紙を広く日本に伝えようとしている。
- TEXT :
- MEN'S Precious編集部
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- PHOTO :
- 池田 敦(パイルドライバー)