「呉服」は「=着物」なの?正しい意味を知っていますか?
日本で初めてのファッションショーって、いつ開催されたかご存知ですか?
1927(昭和2)年の本日・9月21日です。ということで本日は『ファッションショーの日』という記念日に制定されています。
日本初のファッションショーって、どんな内容だったのでしょうか?
「一般公募で集まったデザインをもとに作られた着物のお披露目」が目的で、3名の人気女優がモデルとなり、美しい着物姿を披露したそうです。会場は、東京・銀座の「三越呉服店(現・株式会社三越伊勢丹傘下の百貨店)」でした。
同店は当時「呉服店」の商号を名乗ってはいたものの、1904(明治7)年に「最先端の品揃えとサービスで、お客様に満足して頂ける百貨店を目指します」という『デパートメントストア宣言』をしており、
店内に食堂を開設したり、日本初のエスカレーターを設置するなど、日本初のファッションショー開催以前にもさまざまな斬新な試みを行っていました。
…というところで、本日1問目のクイズです。
【問題1】「呉服(ごふく)」って何?
「呉服」は現在では「=和服全般」のようにとらえられていますが、もともとは別の意味を持つ言葉でした。
「呉服」の本来の意味として正しいものを、以下の選択肢の中から選んでください。
1:中国から伝来した織り方で作られた織物
2:高僧の着る豪華な袈裟
3:特別な日に着用する晴れ着
…さて、正解は?
※「?」画像をスクロールすると、正解が出て参ります。
正解は… 1:中国から伝来した織り方で作られた織物 です。
「呉服」の「呉」は『三国志』に出てくる三国「魏(ぎ)・呉(ご)・蜀(しょく)」でも有名な、中国の「呉の国」からとったものです。昔、呉の国から日本に、繊細な絹を使用した「綾織(あやおり)」などの機織(はたおり)技術が伝来し、こうした技法や織機(おりき)で織られた織物を「呉服(くれはとり)=呉の国から伝来した機織(はたおり)もの」と呼びました。
綿や麻など、以前から日本にあった素材や織り方で織った織物は、絹よりも繊維が太いことから「太物(ふともの)」と呼ばれ「呉服(くれはとり)」と区別されたようです。
この、「呉服(くれはとり)」がいつしか音読みされるようになり「和装用の織物(おりもの)全般の総称」となったのが、現代にも続く「呉服(ごふく)」という言葉です。
「呉服屋」とは「織物=和装用の反物を扱う店」という意味なのです。しかし、衣服の主流が洋服になったことで、「呉服屋=和装全般を扱う店」というイメージができあがり、「呉服=着物」とカン違いしている方も多いようです。
「呉服=和装用織物、反物」であり、出来上がった着物のことは「呉服」とは言いませんので、ご注意ください。
…というところで、2問目のクイズです。
【問題2】「呉呉」ってなんと読む?
「呉呉」という日本語の読み方をお答えください。
ヒント:「何度も繰り返すさま。こまごまと念を入れるさま。」などの意味を持つ日本語です。
<使用例>
「せっかく着物を仕立てるのですから、採寸を間違わないよう、呉呉も気をつけてちょうだいね?」
…さて、正解は?
※「?」画像をスクロールすると、正解が出て参ります。
正解は… 呉呉(くれぐれ) です。
感染対策のニューノーマルな取り組みとして、最近では、オンライン・ショッピングが充実していますよね?例文のように、着物の仕立てのために自分で採寸したりなど、新たなミッションもいろいろ登場しそうですね。新たな方式に慣れるまで、見落としの無いよう、呉呉(くれぐれ)も注意して参りましょう。
本日は日本発のファッションショーが開催された『ファッションショーの日』にちなんで
カン違いの多い
・呉服(ごふく)
という言葉の意味と、
・呉呉(くれぐれ)
という難読漢字をお送りしました。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- BY :
- 参考資料:株式会社三越伊勢丹ホールディングスホームページ
- ILLUSTRATION :
- 小出 真朱